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【不登校っ子への声かけ】登校したことをほめていい?保護者のNG行動3つ
子どもが登校を拒否し続けているとき、子どもだけでなく保護者の内面でも、ぐるぐると底の見えない感情がうずまきます。登校しない日が一度続くと、ふと登校できた日があっても、逆にどう対応していいか混乱してしまうこともあるかもしれません。
不登校が社会問題として常に取り上げられる中で、さまざまな情報があふれています。価値観もそれぞれです。何がいいのか悪いのか、身動きが取れない心地のまま、心配や不安を募らせている保護者も多いのではないかと思います。
不登校の子の登校について、小学校の通常級担任や特別支援教育コーディネーター、そして現在はスクールカウンセラーとして活動している経験からお伝えします。
登校したことは、ほめていい
何よりもまずは、登校できたことをほめてあげてください。教室に入れなくても、校舎に入れなくても、おうちから学校へ進めたなら大きな一歩です。とはいえ、大きく刺激すると逆効果になるので、少ない言葉、軽い声かけでちょうど良いでしょう。
■「頑張ったね」など、素直にそっとほめる・肯定する
■「学校に行った」事実ではなく、「行くために努力した」行動をほめる
■学校での出来事で「良かったこと」を一緒に探す
ただ、子どもにとっては、久しぶりの登校がポジティブな経験になったとは限りません。アウェーに感じていたり、周囲の視線や反応に傷ついてしまうこともあります。リアルな感情を忘れないうちに、子どもと起こったこと、感じたことを会話しておくと良いでしょう。子どもが「受け止めてもらえた」と安心することで、次のステップに進む活力になります。
保護者が意識したいNG行動3つ
子どもが登校したことに関して、保護者が過剰に持ち上げてしまうと、「不登校はダメなことだ」「不登校のぼく・わたしはダメな子だ」、と思わせてしまうことに繋がります。以下の3つの行動は意識してしないようにしましょう。
■登校したことに舞い上がってしまう
■「明日も行ける?」と次のステップを追求する
■学校にいけない日に、子どもの前でイライラしたりがっかりしたりする
こうした行動は、保護者にそのつもりがなくても、子どもを傷つける可能性があります。「ママやパパは、こんなに登校を喜んでくれるのに、自分はできない・したくない」「学校に行ってほしい親の気持ち通りにできないダメな子だ」と、子どもは否定的に解釈してしまうのです。
特に最後の「イライラしたり、がっかりしたりする」という行動には気をつけて、感情のコントールを意識してください。
もちろん、保護者もひとりの人間で、いつも完璧にできるわけではありません。相手が家族であれば気も緩みますし、難しく感じることもあるでしょう。保護者が感情を吐き出すことも大切ですが、子どもには見えないように、感じさせないようにできればベストです。
身近な理解者に聞いてもらったり、時にはSNSなど匿名の場で吐き出すなど、コントロールしていきましょう。
子どもはママパパにほめられたい
子どもにとって、保護者にほめられる行動を探る行動は本能にも近いものです。保護者の行動を見て、肯定されることを通して、社会で生きていく力を身につけようとします。
子どもの状態にもよりますが、不登校の日に家にいて、会話もないまま過ごしてしまうことはありませんか? 一回もほめない日が続くことはありませんか?
デリケートな子どもとの関わり方に迷いが出ることは仕方ありません。しかしながら、肯定される経験がないまま日々を過ごすと、自己肯定感も下がって、不安感も強くなります。家の中なら動けていたのに、部屋から出てこなくなるなど行動範囲が狭まることにもつながるので、声かけを継続していきましょう。
生きる力につながることを、どんどんほめる
不登校のお子さんがいる方の中には、「家にいるだけの生活で、ほめることが見つからない」と感じることもあるでしょう。実は家にいるだけでも、「生きている」「生活している」ことの中に、ささやかなほめポイントはたくさんあります。
■健康な生活につながること(寝る・起き、歯磨き、お風呂など)
■自立につながること(食べた食器を下げる、自分で料理を作るなど)
■成長につながること(知らないことを調べる、本を読むなど)
■社会性につながること(家族以外との交流など)
部屋から出られなかった子が、部屋から出てこられたらほめる。家から出なかった子が、ベランダに出たらほめる。ゲームを1本クリアしたら、勝敗数が一定を超えたらほめる。動画で覚えた新しい言葉や知識をほめる。こんなことでもOKです。
ほめるときも毎回「素晴らしい!」なんて大きなリアクションはいりません。「見てたよ、ありがとう」「そんなこと試してみたんだね、できたんだね」とささやかな声掛けで十分です。自分の行動に反応がある、一緒にいてくれる相手の存在を意識できることが、子どもの安心につながります。
「ほめ方」については、過去の記事でもまとめていますので、良ければ一緒に読んでみてくださいね。
■子どもがぐんぐん伸びる「心に響くほめ方」3つのポイント