クラスに意地悪な子がいます。どう対応したらいいですか?

Q 小2の男子です。クラスの意地悪な子に対して、どう対応したらいいですか?

小学2年生の男の子です。クラスに意地悪な子がいます。子どもには「相手にしなくてもよい。でも嫌な気持ちになったときは、その子にも、先生にも、親にも話してほしい」と伝えてあります。 他にもよい対応方法がありませんか?教えてください。
(きくみおかあさん)

A 意地悪をする心理とは?

子どもたちの中には、教師から見ても「意地悪な子だなぁ~」と思う子がいるのは事実です。そうした子どもたちには、いくつかのパターンが見られるように思います。
一つは、家族、特に両親のどちらかが両方が意地悪な場合です。それは、遺伝するということではありません。親の意地悪な行為を日頃から見ていることで、誤学習をしてしまうのです。親は、子どもにとってのモデリング的な存在です。そのモデルとなる身近な人が、日頃から他人の悪口を言っていたり、他人の気を悪くするような行為をしていたりすることで、「人との付き合い方はそのようにすればいいんだな!」と学んでしまうのです。このことは、私が書いた論文「『2019年調査』との齟齬が見られる項目の再調査を通して、学級・学校経営上の課題の明確化をすると共に、長期休校後の学校再開後の変化について考える」(※1)にも似たような事例を挙げています。
次に、欲求不満状態にある時です。家でネグレクトされていたり、兄弟姉妹などと比べられたりすることで不満がたまり、他者に悪口を言ってしまうことです。
また、これが一番難しいのですが、「子どもの思いと違った怒られ方や褒められ方をしている」という場合です。子どもたちというのは、良いことをした時も悪いことをした時も、心の中で「こんな風に怒られたい」「こんな風に褒められたい」という思いがあるのです。その子どもの持っている思いとすれ違っている場合に、子どもが欲求不満状態になる可能性があります。
最後に、「○○ちゃんって、良いなぁ」という形で、相手をうらやましがっている場合も、思わず意地悪をしてしまうことがあるものです。
子どもは生まれつき「意地悪な子」「優しい子」と分かれて生まれてくるわけではありません。それどころか私は、全ての子が「優しい子」として生まれてくるのではないかと思うのです。なぜなら、人間は他の人と協力することで生き残ってきたと考えられているからです。
相談者さんの言われている子が、どのような意地悪をするかが分からないので、どれが原因かが分かりませんが、子どもは「意地悪な子になってやろう!」と考えていることはないと考えてもらいたいです。

「意地悪な行為」であることを理解してもらいましょう!

小学校2年生での意地悪ですが、「相手にイヤなことを言う」「人の物を勝手に使ったり、勝手に借りたりする」「すぐに手を出す」などのことではないかと思います。
たぶん、本人としては、自分がやっていることが他の人をイヤな気持ちにさせていることを知らないか分かっていないのだと思います。ですから、その行為が「意地悪だと感じさせるようにしていくこと」が大事だと思います。
「そのやっていることは、僕(私)はイヤだな!」とか「それって、意地悪っぽいと思うな」と伝えていくことです。そして、やられた自分がどんな気持ちがするかを、自分の言葉で話すことです。
それでも変わらない時には、担任の先生に相談すると良いと思います。先生は、そうした意地悪な行為については、意外と分かっているものです。ただ、どのくらいみんなに迷惑がかかっているのかは分かっていないことがありますから、それを伝えていってほしいと思います。
あとは、距離をとることも大切です。意地悪が続く場合は、付き合い方を考えてみてもらいたいと思います。みんながある程度距離をとるようになれば、その子も気がつくはずです。少しずつ距離をとっていくのも、身を守る方法だと思います。

※1「『2019年調査』との齟齬が見られる項目の再調査を通して、学級・学校経営上の課題の明確化をすると共に、長期休校後の学校再開後の変化について考える」
(白梅学園大学教職教育・研究センター 教職課程研究 第5号 pp21-62)

プロフィール

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大学教授

増田修治先生

白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

【近著】
「子どものココロが見えるユーモア詩の世界 -親・保育者・教師のための子ども理解ガイド-」(ぎょうせい、1980円)発売中。

ライター

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&あんふぁん編集部 &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

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