「友達にいじわるされた」と話す子どもに言ってはいけないNGワード
幼稚園や保育園の子ども達は、毎日たくさんの友達と関わって遊んでいます。だからこそケンカになることもあります。
自宅に帰ってきたわが子が、「友達にいじわるされた」と話してきたら、とても心配になってしまいますよね。そんな時、子どもにどんな言葉をかけていますか? 今回は「友達にいじわるされた」と話す子どもに言ってはいけないNGワードをお伝えします。
日々の子ども達の様子
私が保育士として働いていたころも、日々の園生活の中で、子ども同士の思いがぶつかることはあり、止めに入って仲裁したり、時には少し離れて見守ったりしていました。ケンカしても、その直後から仲良く遊んでいるほほえましい姿がよく見られていました。
でも、自宅に帰ってから1日のできごとを思い出し、「いじわるされた」とママやパパにお話することもあるようです。翌日、保護者から話を聞いたり、連絡帳を見て子どもの発言を知ることがありました。
「あなたが○○したからだよ」と注意する
子どもが「悪口を言われたり、叩かれたりした」と話たら、まず「原因はなんだろう?」と考えますよね。わが子にもなにか落ち度があったのではと考えるのは当然のことかもしれません。
でも、子どもが相手にいじわるされたと言っている時に「あなたが○○したからだよ」と結論づけて注意してしまうと、子どもは、「慰めてほしかったのに注意された」「味方になってくれない」と感じてしまいます。今後トラブルがあっても親に話さなくなってしまうかもしれません。
ですから、まず「それはイヤだったね」と共感し味方でいることが大切。すでに相手と仲直りはしているものの、ただママやパパに聞いてほしかったということもよくあります。
そのうえで必要であれば、「相手を怒らせること、なにか思い当たることはない?」と聞いてみましょう。もし子ども自身にも原因があったとしたら、想いも受け止めながら次はどうしたらといいか一緒に考えるといいと思います。思い当たることがなければ、先生に園の様子を聞いてみましょう。
「いじわるな子だね」と相手の子を悪く言う
子どもはまだ物事に対して主観的な見方しかできません。自分が感じたことだけを親に話すので、わが子の話だけを聞いていると、「その子はなんていじわるな子なんだろう!」と思ってしまうこともあるかもしれません。けれど、実際に本人に会ってみると、とても素直でいい子だったということはよくあるものです。
相手のことをよく知らないまま、「いじわるな子だね」と親が言ってしまうと、子どももそう思い込んでしまいます。自分はなにも悪くないという考えになり、相手の気持ちに歩みよろうしなくなってしまいます。
わが子の話だけを鵜呑みにせず、先生に様子を聞くことや、子ども同士で遊んでいる姿を見るなどして、どのようにトラブルになっているのか客観的に状況を把握しましょう。
「関わらなければいい」とアドバイスする
「今日もいじわるされた」と家で話し、何日もトラブルが続いている場合、「ほかにもたくさん友達はいるんだから、その子と関わらなければいい」と親としては思うかもしれません。でも、それができないから子どもは悩んでいるのだと思います。
トラブルになる子とは、好きな遊びが似ていたり、仲のいい友達グループが一緒だったりと、近くにいることが多いのです。関わらないようにするとなると、好きな遊びを諦めたり、仲のいい友達と離れて遊ぶことになってしまいます。それでは子どもにとって解決にはならないと思います。
自然とほかの遊びを見つけたり、ほかの友達と仲良くなって離れるのならいいですが、そうでない場合は、「関わらない」というのは子どもにとってとても難しいことだと知っておきましょう。
幼児期は、コミュニケーションの練習をする時期
子どもが「いじわるされた」と話したら、早く解決してあげたいと思うかもしれません。でも、幼児期はコミュニケーションの方法を学ぶ時期です。ケンカして、また仲良くなって、自分と違う考えがあること、相手の気持ちに寄り添うことを知っていきます。だから基本的には子どもが自分で解決できるように見守ることが大切です。
友達とトラブルになった時、解決策はひとつではなく、話し合うこと、言い返すこと、譲ること、離れること、先生に言うことなど、その時々によって、また相手によって変わると思います。親が子どもの話をよく聞き共感してあげることで、子どもはホッできて、どうしたらいいか考え行動することができます。どうしてもうまくいかない時やこじれた状況が長引いていると感じたときには、先生に相談しサポートしてもらうのもいいと思います。
幼児期には、まわりの大人にあたたかく見守られる中で、いろいろなタイプの友達との付き合い方を経験していってほしいと思います。