「音読がキライ、苦手」な子に試してほしい効果的なかかわり方
毎日「音読」の宿題がある学校は多いと思います。その音読にお子さんは進んで取り組んでいますか? それともイヤイヤやっていますか? 音読を嫌がるわが子を見ていると、「文章を読むことが苦手だと国語だけではなくほかの教科の学習でもつまずいてしまうのでは」と心配になることもあるかもしれません。
今回は、文章を読むことに苦手意識があるお子さんのために、親がどんなサポートができるのか考えていきたいと思います。小学校の通常級担任や特別支援教育コーディネーターとして活動した経験から、詳しくお伝えします。
文章を読むのが苦手な理由
「うちの子はおしゃべりはとても上手なのに、なんで文章を読むことは苦手なのかな?」と疑問に思う人もいますよね。文章を読むことが苦手な理由は次の2つが考えられます。
・視覚過敏 →文章が揺らいで見えたり滲んで見えたりする
・同時に複数のことをするのが苦手 →文章を目で追いながら意味を理解するのが難しい
そのほかにも紙と文章のコントラストがきつく感じて、読むことが嫌いな子もいます。人によって苦手な理由は違うので、なぜ読むことが苦手なのか、その子が抱える困り感が何なのかを見つけることが大切です。苦手な理由が分かれば、支援できることが見えてきますよ。
音読は無理せず少しずつ
宿題の定番である音読も、読むことが苦手な子にとっては苦痛ですよね。少しでも読みやすくなるように工夫をしながら、無理せずに取り組んでみましょう。すぐにできる工夫として次のようなものがあります。
・紙や定規をあてて、一行だけ見えるようにする
・一文ずつ家族と交代しながら読む
・家族と声を合わせて一緒に読む
・本人が読みたいページを選んで読む
少し手を貸してあげるだけで読みやすくなるお子さんもいます。また、音読の範囲が決まっていても必ずその通りにしなければならないことはありません。その日の調子に合わせて読む量を調整するのもおすすめです。大事なのは、「自分で読めた!」という経験を重ねること。その成功体験がお子さんの自信になっていきます。もし、音読する範囲を減らすのなら、授業にも支障が出ることもあるので、あらかじめ先生に相談しておきましょう。
読み聞かせも効果的
文章を読むことが苦手な子は読むだけで体力を使いきってしまうことも。そうなると文章をただの文字の集まりとして読むだけになってしまい、話の内容を理解できていない可能性があります。
そこで、読書だけでなく親が読み聞かせをするのも効果的です。読み聞かせをすることで話の内容に集中しながら文章を見ることができます。さらに読み聞かせには次のメリットがあります。
・耳からストーリーをインプットすることが脳の活性化になる
・文章を頭に入れてイメージする練習になる
・文章を読まなくても「本が好きな子」に育つ
文章を読むことに苦手意識があっても「お話を聞くのが楽しい!」という気持ちを育てることはできます。読み聞かせを通して、お子さんの心と脳を鍛えましょう。文を読むのが苦手なお子さんは、自分から本を開くことはあまりないので、読書のきっかけとして読み聞かせがおすすめですよ。
読み聞かせのときにおすすめの声かけ
読み聞かせでお話を聞くことに慣れてきたら、内容についてお子さんに問いかけをしてみるのもいいですよ。
「○○はどうして△△したんだっけ?」
「最初に行った場所はどこだっけ?」
「持って帰ったのは何だったかなぁ?」
このように、クイズ形式ではなく「忘れちゃったから教えてくれる?」という問いかけ方をするのがおすすめです! 問題を出すような問い方では、試されているようで子どもも身構えてしまいます。「教えて~」と気軽な雰囲気で聞きましょう。
この問いかけを繰り返していくことで、お子さ
「正解」は求めなくて大丈夫!
読み聞かせの中で「問いかけ」をしたときに、子どもの答えが間違っていることがあります。そこで大切なのは、訂正しないことです。その理由は次の2つです。
・大切なのは正しい答えよりも考えて答えるまでの過程だから
・正解にこだわりすぎると読み聞かせも嫌いになってしまう可能性があるから
内容が間違っていても答えを出せただけでお子さんは立派です。「教えてくれてありがとう!よく聞いてたね!すごいね!」とがんばった過程を褒めることが大切です。
「間違えたままでいいの?ちゃんと正解を教えてあげた方がいいのでは?」と不安に思うかもしれませんが、この「問いかけ」の目的は正解することではなく、お子さんがちゃんと話を読む力や内容を確認する力を育てることなので心配いりません。しばらくして同じ本を読んで同じ質問をしてみるということを繰り返すうちに、だんだん正しい答えに近づいていきますよ! 正しい答えがわかったときにはたくさん認めてあげてくださいね。その経験がお子さんの成長につながっていきます。