寝かし付けはどうしても「ママ、ママ」モード…。パパが成功させるには?
子育てには積極的に参加しているつもり!でも寝かし付けだけは、どうしても「ママ、ママ」となってしまいどうも苦手…、そんなパパも多いのでは。そこで、今回、大阪教育大学教育学部教授で大阪教育大学附属天王寺小学校長の小崎恭弘さんに、パパの寝かし付けのコツを聞きました。
ママの体調がすぐれない。こんなときは、パパの出番です。「ママ先に休んでいいよ。あとは任せて」って、かっこいいパパです。さあ子どもの寝かしつけをしましょう。
しかし…、うまくいきません。子どもがいつも以上に寝付きません。そしてママが突然恋しくなって「パパいやー」「ママー、ママがいいー」と泣き叫びます。つらい!このときのパパの苦悩、本当によく分かります。子ども以上に「ママ助けてー」と叫びたくなります。
それまでは結構楽しく、そしてうまく過ごしていたのに、なぜ? なぜ寝かし付けだけはだめなのか? 子どもに聞いても答えは返ってきません。泣き声だけが響き渡るだけでしょう。
なぜ寝かし付けはママではないとだめなの?
なぜ寝かし付けは、ママではないとだめなんでしようか? 一つの理由は、子どもの中で「寝るのはママ」と決まっているのでしょう。つまりママと一緒に寝ることが、指を吸いながら、シーツのラベルを触りながらといったことと同じで、儀式として固定化されているのです。パパがだめなのではなく、ママでないとダメということです。
実は子どもたちは、この固定化された儀式をいろいろなシーンで持っています。保育園や幼稚園でのお別れのときに手をパッチンとする、トイレには戸を開けて入る、電話は必ずバイバイと言って切る…。何気ないことですが日常生活の中に、そのような儀式が点在しているのです。
別の言い方をすれば、これは家族の中のルールなのです。子育てする中で、いつの間にか固定化されたルールが、たくさんできあがっています。そしてその暗黙のルールに、生活や子育て自体が縛られているのです。
「寝るときはママと一緒」は家族で作ったルール、変更可能です
そこでぜひ考えてほしいのは、そのルールを作ったのは誰かということです。パパやママの子育ての中、また子どもが育つ中で、家族で作ったルールなのです。ということは、家族の中で変更することが可能でもあるのです。
そのルールを、絶対的なもののように思っていませんか? 「子どもはママとしか寝ない」とパパが思い、決めつけている限り、その変更は難しいもの。だから絶対的なものとは思わず、変更可能なものと考えましょう。
段階を踏んで「パパと寝るのが楽しい」と思ってもらおう
ただ、突然のルールの変更は、子どもにとっても負担ですし、難しいものです。ゆっくりとその変更を進めましょう。いきなりパパと二人で寝るのではなく、ママとパパと子どもと一緒に寝る。そしてそれが子どもにとって楽しいものとなる。その上で、初めて変更が可能になると思います。
寝ることについて、パパが楽しいと思えること、ママとは少し違う関わり方やアプローチを意識すると良いと思います。例えば、懐中電灯で遊ぶ、お化けごっこをする、テントを張ってその中で寝る、など。そういったことを積み重ねながら、「ママも楽しいけど、パパも楽しい!」と、子どもに思わせてあげてください。パパと一緒に寝ることが、楽しい形に変化することで、一緒に寝ることができます。パパにとっても、子どもにとってもすてきなことだと思いませんか?
教えてくれたのは
小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。
http://kasei.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/teachers/5.html
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学び・遊び・教育
大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。