【就学時検診】緊張や不安から嘔吐した娘が、笑顔で入学式を迎えた理由

【就学時検診】緊張や不安から嘔吐した娘が、笑顔で入学式を迎えた理由

小学校の先生の経験者であり、自身もママとして子育てに奮闘する4人によるリレーコラム「ママ先生といっしょ」。先生目線で、ときにママの目線で。入学準備や、入学後の困りごとや悩みの解決方法の糸口を探ります。苦しいことがあっても、笑顔で突き進めるヒントが見つかるかも。
今回はりな先生の実体験。年長さんを対象に、そろそろ始まる「就学時健診」。親として、いったいどんなところに気をつけたら良いのでしょうか?

次女とは違い、少し繊細なところがある長女。直前まで笑顔だったのに、就学時健診中に2回も嘔吐。状況から考えると、緊張や不安が原因。そんな娘が笑顔で入学式を迎えられるようになった理由をお伝えします。

だんだん曇っていく娘の表情

就学時健康診断、当日。直前まで、学校までの道のりを楽しく歩いていました。しかし、待機場所の体育館に到着した途端、娘の表情が曇りました。痛いところはないと言い、熱もない。

もしかしたら、これは緊張や不安が身体に表れたのかもしれない。私は教員側として就学時健康診断の進行をしていたときのことを思い出しました。娘と同じように、不安そうな子、緊張している子がたくさんいました。初めての場所、これから何をする場所なのか理解が曖昧なままであること、たくさんの知らないお友達や先生。

少し繊細な娘には広い体育館も何だか怖い場所のように思えてしまったのかもしれません。

その日私は娘にちゃんと寄り添えないまま、同じ教員として「少しでも先生方に迷惑をかけずにスムーズに終えること」を考えながら、手を引いていました。

しかし、ふと気付くと娘は青白い顔で吐きそうな顔。急いでトイレに向かい、ビニール袋を用意したところで、嘔吐。

娘に寄り添えていなかった

養護の先生が気付いて処理を手伝ってくださり、熱や他の症状がないこと、感染症ではなく精神的なものであることを確認していただき、休みました。前回こちらの連載で、「聴く」ことの大切さについてお伝えしましたが、その時の私は「早く、スムーズに終わらせたい」という自分の気持ちが前のめりになり、娘の話が聴けていませんでした。

休んでいる間に話を聞きましたが、緊張や不安モードに入ってしまった娘に笑顔は戻りませんでした。

学校を出ると、みるみる表情が明るくなり、その後も翌日以降も元気でした。「学校に対して緊張や不安など、マイナスな感情を抱かせてしまった」と反省しました。

話をよく聴き、作戦決行!

ここからが、大切。そのまま入学式を迎えるとまた同じようなことが起きるかもしれない。まずは娘とよく話し合いました。娘は「学校は大きいし、なんだか暗いし、行ったことがないし、うーん…」と話してくれたので「学校をより身近に」と一緒に作戦を立てました。

後日、休みの日に、大好きな自転車に乗って学校に行きました。まずは学校の周りをゆっくり散歩。意図的に「うちの近くにもこのお花咲いているね」「いつもお買い物するところがあそこに見えるね!」と声も掛けました。

そして開放されていた遊具で遊び、巨大に見えていた体育館をちらりと覗き、草花を観察し…と娘のペースに合わせてのんびり学校を探検しました。妹と鬼ごっこを始めたときには、いい笑顔をしていました。学校に入れない場合は、ホームページを見て学校内をイメージし、近くまでドライブしていたかもしれません。

とにかく「安心できそうな、身近な場所」と思えるように、数回繰り返しました。

「安心できる、身近な場所」と感じて、笑顔で迎えた入学式

「いろんなお医者さんが身体のことを見てくれるよ!」「学校の中に入れるのが楽しみだね!」と話してはいましたが、いざその場に行ってみると不安になってしまった娘。そこにもっと早く気付けばよかったです。作戦の後は、「楽しそうなイメージ」がもてたようで、入学式前に自然と学校の話が出てきました。緊張や不安はまだあったようでしたが、以前ほどではなくなり、当日は笑顔で入学式に臨みました。

笑顔で入学式を迎えられました


教員の時、就学時健康診断の終わりには「また会えるのを待っているね!」と声を掛けていました。もしも、不安な気持ちが残ったまま入学することになっても大丈夫です。職員全体で新たな出会いを楽しみにしていますし、返事の仕方やトイレの仕方など一つひとつ教えます。

お子様にとって学校が「安心できる、身近な場所」となりますよう、願っています。

ライター

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ママ先生 りな先生

りな先生こと平野里那(ひらのりな)。元小学校教諭。小1、年中の姉妹のママ。4年半の育休後、高学年を担任しながら家族も大切にして人生を楽しめるママ先生として過ごし、Instagram(@rina_mama_sensei)にて仕事と家庭の両立のコツを発信。現職中に「先生がママ先生になったら読む本」を共著で出版。読売新聞「♯30代の挑戦」掲載。現在は300人を超える「ママ先生の会」を運営しつつ、ママ先生、ワーママを対象にコーチングを軸においたスクールを経営。

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