担任に反抗し、暴言を吐く小2の息子。どう対応したらいいですか?
Question 小2の息子は1年生の頃から担任に「うるせー」と言って反抗しています。この先どうしたらいいですか?
小2の男の子です。落ち着きがなく、わんぱくな子なのですが、1年生の頃から気に入らないことがあると担任に「うるせー」と言って反抗しているようです。保育園時代は女の先生で、受け入れてもらっていた部分が多いのですが、小学校ではそういった暴言が目立っています。教室を飛び出すことはないですが、気に入らないことがあると、先生だろうが構わず暴言を吐きます。家ではそこまでではないのですが、この先どうしたらいいか悩んでいます(はやと)
Answer 「かまってちゃん」の典型か、発達に困難さを抱えているかのどちらかです
保育園時代は先生に受け入れてもらった部分が多いとのことですが、その頃から暴言や暴力があったような気がするのですが、いかがでしょうか? 保育園時代は、先生が「どうしたの?」と丁寧に聞いてあげれば、おさまるタイプだったのではないかと思います。
もしそうなら、典型的な「かまってちゃん」です。「いつも自分を見てほしい」「いつも自分をかまってほしい」「自分だけを特別視して」という思いが強いからです。だから、先生がほかの子のことを見ていたり、自分が後回しになるとキレたりするのです。「見てほしい願望」が強すぎるがゆえの問題行動です。
家庭ではどうでしょうか? 王様や女王様になっている場合は、集団生活に溶け込むのがとても大変になります。
あるお母さんは、子どもがキレると怖い(ヒステリーを起こす)ので、「ジュース」と言ったら「ハイハイ、これね」とジュースを持っていく。そしてご丁寧にストローまで添えていたのです。「お菓子!」「ハイハイ」、「ごはん!」「ハイハイ」という形で、すべてが上下関係になっていました。つまり家庭では王様・女王様になっていたのです。こうした子育ては一番してはいけないことです。
また勉強をしてもらうために、親が言うことを聞く姿もよく見聞きします。家庭は子ども達が最初に接する社会です。小さな社会が、自分の思い通りにならないことを教えなくてはいけないのです。
赤ちゃんのときは、何でも親がやってあげましたし、やってあげなければ死んでしまいます。しかし、子育ては子どもが大きくなるのに合わせて、変えていかなくてはいけないのです。徐々に自分でできることを増やしていく。そして、できることについては、「自分でやってほしいな。今お母さん(お父さん)は、○○をしていて忙しいから、自分でやってくれないかな」と言うといいのです。
家庭において、きちんと役割を与えることも大事です。新聞を取ってくるお手伝いがありますが、大きくなったら変えないといけないのです。「新聞を取ってくる」というのは、お手伝いでもなんでもありません。お手伝いとは、「それをしなければ、みんなが困る」というものをさせることです。例えば「米とぎ」とか、「庭そうじ」、「玄関の片づけ」、「お風呂そうじ」と「お湯はり」など、探せばいくらでもあります。「米とぎ」や「お風呂そうじ」などは最適です。もし、子どもが「米とぎ」を忘れてしまったら、家族みんながおかずだけでがまんするのです。お風呂にお湯をはり忘れたなら、全員がシャワーにするのです。つまり「あなたがお手伝い(仕事)をしてくれないと、家族みんなが困るんだよ」ということを教えることです。それは、子どもに家庭での役割を与えることでもあるのです。
「かまってちゃん」のときには、まずは家で自分がやるべきことを一緒に考えて決めることです。そして、そのお手伝いを続けていくことを、納得の上でさせていくことです。
発達に困難さを抱えているか、感情コントロールが効かない場合
こうしたときには、アンガーマネジメントを教えていくことです。つまり、怒りを抑える方法を教えるのです。
例えば、お友達を見るときにも、「時間がかかる子」と見るのではなく、「仕事が丁寧な子」として見るように教えていくことです。相手を別の角度から見る方法を教えていくのです。
先生に怒ったとするなら、「どうして怒ったのか?」「そのとき、先生は何をしていたのか?」というふうに、先生の立場になって考えさせるのです。気に入らないときは、どんな様子だったのか、自分の思っていることが先生に伝わるためには、少し待ってから「先生!」と声をかけるようにするなど、具体的な方法を教えていくことです。
「困った、困った」と言っていても、子どもは何も変わりませんし、成長しません。具体的に子どもが変わっていくための手立てを考えていくことが必要です。
発達の困難さから起きている場合も同様です。ただし、時間がすごくかかることを覚悟してもらいたいと思います。困難さを抱えている子は、自分でもどうしたらよいか分からず、困っていることが多いのです。
「困った子」は、実は「困っている子」なのだと、大人が見方を変えていくことも、とても大切です。
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増田修治先生
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。