小さな頃から大切にしたい「自分のことは自分で行う習慣」
小学校の先生の経験者であり、自身もママとして子育てに奮闘する4人によるリレーコラム「ママ先生といっしょ」。先生目線で、ときにママの目線で。入学準備や、入学後の困りごとや悩みの解決方法の糸口を探ります。苦しいことがあっても、笑顔で突き進めるヒントが見つかるかも。
今回はあすか先生による入学準備です。
何歳からでも始められる入学準備。前回に引き続き生活を整えることです。前回は睡眠について書きました。わが家では入園と同時、というよりも子どもが小さなころから「自分のことは自分で」を大切にしています。学校と園では様々な違いがあります。睡眠と同じように、入学前から家での習慣は変わらないことが安心につながると思い、わが家で行っていることをお伝えします。
小学校生活と園生活の違い
園と学校の生活の違いはさまざまありますが、その一つに「自分で考えて動く」ことが増えます。基本的に、小学校は30人を1人の先生が見ます。帰りの支度も最初は丁寧に行いますが、教えた後は自分で行います。子どもたちはできるようになります。同時に家庭にお願いすることも増えます。時間割を見て準備をする、ハンカチ、ティッシュの補充、宿題等多くの準備があります。
しかし、これらは学校だからあるわけではないと思います。園による差はあれ、着替えやタオルを入れ替える、など準備があるのではないでしょうか。それを園のときは当たり前のように家の人がやっていたのに、小学校に入っていきなり「自分でやりなさい」、では子どももびっくりしてしまいます。学校でも家でも小学校になったらいきなり全部やる、では変化が多く疲れてしまうと子もいると思います。だからこそ入学前から「自分のことは自分でやる」という習慣がついていることで、変化が少なく子どもの安心につながると考えています。
子どもの自ら育つ力を大切にする
入学前に無理やりやらせたら早いのではないか、と不安になった方もいるかもしれません。しかし、大丈夫です。子どもは自ら育つ力をもっています。入学前の子ども達は「自分のことが自分でできるようになる」という「自立」に向かって毎日成長している時期なのです。子どもをよく観察していると「自分でやりたい!」という時がやってきます。
わが家では、その時に、自分でできるような工夫をすることを大切にしてきました。例えば、自分で園の準備ができるようなお仕度コーナーを用意しました。園に持っていくリュックや靴下など準備するものはこの場所に置いてあります。入園前、観察していると、「リュックに自分でいれたい」など親がやるのを嫌がり、自分でやりたい、と主張をするときがあります。そのタイミングがチャンスです。子どもの「やりたい」という願いをかなえていくことが結果として入学準備にもつながっています。
助けてと言える力は大切なこと
自分のことは自分で、と書いてきて矛盾しているように見えるかもしれませんが、自分にはできないことがあるから助けてほしい、と周りに頼れることも大切です。小学校は1人で生活するわけではありません。例えば朝の支度も多くの学校は6年生がお手伝いをしてくれます。優しく助けてくれるはずです。冒頭に書いた帰りの支度も学級内で終わったらお手伝いしてくれる子もいます。集団生活だから助け合うことができるのです。
自分でできるよう働きかけを家庭でしていくことは大切にしていますが、わが子も「手伝って~」と甘える日もあります。そんなときは、一緒に行っています。甘えを受け入れることが自立につながるからです。大人の私たちであっても、分からないことを上司に聞いたのに、「それは自分で考えて!」と突き放されたら悲しいですよね…。私は親として、子どもを1人の人間として関わることを大切にしています。周りを頼りながら自立していくサポートをこれからもしていきたいです。
親の心を満たすことを1番大切に
1年生が自分のことができるのは当たり前のことではなく、6年間の保護者の方の積み重ねがあるのだ、と実感しています。そして、子どもができるように育ちをサポートすることは想像以上に忍耐力を使います。私も、手出し口出ししたくなる瞬間は山ほどあります。しかし、グッとおさえて見守る、その積み重ねで「自分でできるようになる」と実感しています。ゆっくりと一生懸命成長していく子どもを待つためには親の心のゆとりがないと難しいです。特に働いたり、集団生活が始まったりすると時間の制約もあり待つことが難しい日もあります。そんなときは「ごめんね、今日はママがやるね」そんな日があってもいいと思っています。
子が初めての1年生なら親も初めての1年生。入学準備に慌てすぎず、子どもを観察し、育ちをサポートしていく中で一緒に親も成長していくことが大切だと思っています。心がいっぱいのときは、まずはおうちの方自身を満たすことを大切にしてほしいなと思います。私自身もわが子と一緒に日々成長していきたいなと思います。子どもの発達に合わせて入園から自立に向かうことで、少しでも安心した学校生活になりますよう願っています。