「未来の教育」について大人が熱く語り合う! 大阪・関西万博「TEAM EXPO 2025 テーマセッション」の開催レポート

「未来の教育」について大人が熱く語り合う! 大阪・関西万博「TEAM EXPO 2025 テーマセッション」の開催レポート

こどもりびんぐは、2025年4月に開幕する大阪・関西万博「TEAM EXPO 2025」プログラム/共創パートナーとして、2024年8月22日に、TEAM EXPO 2025 テーマセッション「未来の教育デザイン~これからの教育の“可能性”を考える~」を開催しました。
同イベントは、大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」の実現を目指し、「未来の教育」についてさまざまな展開事例を踏まえて多角的に語り合い、参加者同士で共創の機会を創出。そこから新たなアイデアの創造・発信を行うことが目的になっています。

第一部は大阪大学大学院経済学研究科教授の堂目卓生先生による基調講演のほか、主催者、そのほか各社のピッチ登壇で構成。第二部は、「これからの教育」をテーマにした参加者のグループディスカッションを行いました。
今回は、その様子をレポートします。

主催/2025年日本国際博覧会協会、いのち会議、国立大学法人大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)、小学館集英社プロダクション、こどもりびんぐ、ワンダーファイ

「誰一人取り残さない、命を大切にする社会」に向けて重要なこととは?

会場は窓から堂島川の流れを眼下に大阪市内を一望できる大阪大学中之島センター5階ホール「創る場」。
当初想定していた定員を超える50人以上の参加者が集まりました。

まずは2025年日本国際博覧会協会、広報・プロモーション局企画部共創推進課参事・深澤一宏さんから、「TEAM EXPO 2025」についての紹介がありました。

※「TEAM EXPO 2025」の詳細はコチラの記事でも確認できます

続いて堂目先生が、「目指すべき社会を実現するために~『いのち』に立ち返った構想~」をテーマに基調講演を行いました。
先生自身が近代経済学史の研究に明け暮れる中で、偶然訪れた障がい者施設と同施設の考え方「世の中から排除されている人たちこそ、人間を解放し、社会の未来に貢献する可能性を持っている」に大きな衝撃を受けたこと。そこから生まれた目指すべき社会の姿、『「助けを必要とするいのち」と「助けるいのち」との共助社会』について、現在実践している大阪・関西万博「いのち会議」について、熱い口調でお話いただきました。
誰一人取り残さない、命を大切にする社会に向けて、重要なのは「できる」か「できない」かではなく、「なす」か「なさない」かという話に、参加者一同熱心に聞き入る様子が見られました。

大阪大学大学院経済学研究科教授の堂目卓生先生は、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ長、「いのち会議」事業実行委員会副委員長としても活動。著書『アダム・スミス-「道徳感情論」と「国富論」の世界』(中央公論新社)ではサントリー学芸賞を受賞

これからの時代、子どもたちの必要な力って? 育て方は?

次に主催者による下記のピッチ登壇を行いました。

■小学館集英社プロダクション「未来を力強く生き抜くための力を養う小学館の探究楽習Ⓡ」
教育コンテンツ開発室・奥野亮太さん

今注目のエデュテインメント(エデュケーション=教育+Entertainment=娯楽・遊び)を軸に、これからの時代に必要な「自ら課題を発見し、他者と協力して解決していくための能力」を育む教育の一つの学習法として「探究学習」を提案。学校教育向けに、EXPO教育プログラム制作、)STEAM教育補助教材制作、「キッズデザイン賞2024」を受賞したVRを使った小学生向けオンライン探究学習プログラムなど、同社のさまざまな事業の実績を紹介しました。学校教育と企業活動をつなぎ、子どもたちのよりよい教育を目指す、未来への想いで締めくくられました。

■ワンダーファイ「新時代における考える力の伸ばし方」
代表取締役・川島慶さん

自身が世界各地で子どもたちに触れ合ってきた原体験をベースに開発した、同社の思考力を育む人気アプリ「シンクシンク」、デジタルとアナログを組み合わせたSTEAM領域の通信教育「ワンダーボックス」を紹介。

さらに、AI時代、変化が激しい時代と言われるが、大切なことは変わってきたのか?人類長い歴史から見ると変わらないのではないか。大切なことは、「必要性を感じること」「好奇心 ≒ 知的わくわく(もっと楽しく面白くしたい)」「自分で考えること」(思考錯誤)の3つではないか。さまざまなエピソードを交えながら話は進みました。

「考える力」とは、子どもたちが誰しも持っているもの。それを引き出し、開放する、それが教育の役割であり、大人たちは、子どもたちが「考えることが好きでい続けられる」ために体験や環境を提供する、縁づくりをサポートするべき。通常ならマイナスに思われがちな、子どもたちの「ふざけ、いたずら、ずる、脱線、ぼー」といった行為は、「自分のやり方で」「自分のやりたいように」やっているということ。「考える力が開放されているんだな」と思ってもらえたら…という話が印象的でした。

通信や生成AIなどの最新技術、教育の現場での活用法とは?

さらにバラエティーに富んだ参加各社のピッチ登壇が続きました。
最先端の技術×教育という、一見難しそうなテーマですが、かみ砕いて分かりやすく紹介いただきました。

■西日本電信電話(NTT西日本)「IOWNでつなぐ・ひらく未来」
ビジネス営業本部マーケティング戦略部ビジネス戦略部門CXデザイン担当担当部長・西村宜子さん

大阪・関西万博で展開するNTTパビリオン、さらにそこで提供される、映像や音声だけではなく、離れた空間そのものや、離れた場所にいる人やものの感覚を共有する体験について、話していただきました。

それらに用いられているのが、次世代情報通信基盤「IOWN」。場所・教室は違ってもまるで隣にいるように会話ができたり、オンラインでも臨場感のある遠足ができたり、国際交流がスムーズにできたり…。教育現場でのIOWNの可能性や活用法の提案もありました。

※NTT西日本「IOWN」の詳細はコチラの記事でも確認できます

■ソニー・グローバルエデュケーション
代表取締役社長・加藤直樹さん「デジタル時代の教育:AIを活用した学習の事例共有」

これからの時代、生成AIをネガティブにとらえるのではなく、積極的に活用することの大切さについて、また、同社が提供する、AIなどの最新技術を使いながら正解のない問題を探究する力を育成する教材「LOGIQ LABO」について紹介。
AIと共存する時代を生きる子どもたちに必要な力とは? AIを使いこなすために、物事の本質を見極めながら、自らのアイデアを表現する力なのではないか…。AI時代のヒントが散りばめられた内容でした。

第二部のグループディスカッションでは、参加者は7チームに分かれ、各チームごとに円を作り車座方式で実施しました。
グループディスカッションのテーマは「これからの教育」。『私たちなら○○ができる。』の「○○」に入れる文言をグループで決め、最後に発表することをゴールに設定しました。

多様なアイデアがぶつかり共鳴する、熱意とエネルギーに満ちたグループディスカッション

各グループでは、まず参加者が一人一人話す時間を設け、簡単な自己紹介とともに自社・団体の教育に関しての強み、また現在の教育についての自分が思う点数(100点満点)を共有。その後、『私たちなら○○ができる。』のゴールに向けて、各チームでディスカッションがスタートしました。

教育現場の現状や課題に対する意見交換から、自分たちの持つリソースやコンテンツを活用した新しいアプローチや解決策の提案まで、活発な議論が繰り広げられました。ディスカッションでは、具体的なアクションプランがいくつも提案され、それが活発な意見交換でその場でブラッシュアップされていく…。その様子は、見守っている側としてもとてもワクワクし、気分が高揚するものでした。

さまざまな業界から、多彩な専門ジャンルを持った人が集まり、一つの円になってディスカッションすることで、お互いに刺激を与え合い、学び合い、つながりあうことができた貴重な場となったようです。
終了後も、参加者同士でさらに意見を交わす姿が見られ、イベントの余韻がその後も続くの熱意とエネルギーに満ちた一日となりました。

参加者からは「新しい視点で教育を考える貴重な機会だった」「ほかの参加者との意見交換が非常に有意義だった」といった声が寄せられました。

今回のイベントを通じて得られたアイデアや提案が、「未来の教育」に向けての新たな事業や取り組みの糸口やヒントになることを願っています。
今後も、こどもりびんぐでは、「TEAM EXPO 2025」プログラムを通じて、教育をはじめとするさまざまな社会的課題について議論を深め、2025年、さらにその先の子どもたちのよりよい未来に向けて、活動していきます。

ライター

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「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

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