5W1Hで遊ぼう!2種類の質問で子どもの表現力・思考力を伸ばす

5W1Hで遊ぼう!2種類の質問で子どもの表現力・思考力を伸ばす

普段の何気ない会話を少し工夫するだけで、子どもの表現力・思考力がグン!と伸びていきます。今回は簡単に会話に取り入れられて、しかも効果的な質問の仕方と遊び方を紹介します。

会話のキャッチボールは2種類の質問で

月曜日に登園してきた子ども達は、週末の楽しかった出来事についてよく話してくれます。友達同士でも「どこそこに行ってきたんだよ」という何気ない会話を楽しんでいます。

  • 「〇〇ちゃんと公園で遊んだ」
  • 「パパが〇〇の映画に連れて行ってくれた」
  • 「大きい馬に乗ったんだよ」

などなど…。旅行に行ってきた子なんかは、さらに饒舌にあれこれ話してくれます。おばあちゃんの住んでいる町に行ったことだったり、ホテルのプールで泳いだことだったり、話したいことは尽きません。

朝の登園時には子どもも教師もやるべき支度があってあまり時間的な余裕がないものですが、ひとつかふたつくらいは質問をして会話を楽しむようにしています。例えば、こんな感じです。

  • 「へえ、〇〇ちゃんと一緒に遊んだんだね。」
  • 「〇〇ちゃんは元気だった?」
  • 「遊園地は楽しかった?」
  • 「スイカを食べておいしかった?」
  • 「〇〇くんはプールで泳げるの?」

あるいはこんな質問もしてみます。

  • 「どこの公園に行ったの?」
  • 「何をして遊んだの?」
  • 「お天気はどうだった?」
  • 「何かおいしいものを食べた?」

ここで2種類の質問があることにお気づきでしょうか。

「〇〇ちゃんは元気だった?」以降の前半の質問は子どもが「YES」か「NO」で答えられるもの、もしくは選択肢を用意して選ばせる質問(専門的にはクローズドクエスチョンと呼ばれています)です。

後半の「どこの公園に行ったの?」以降は、子どもが考えて自由に回答する質問(こちらはオープンクエスチョンと呼ばれます)ですね。

クローズドクエスチョンに答えるのは簡単です。「うん、楽しかった」「いや、おいしくなかった」のようにYESかNOの返事をすればいいだけなので単純です。子どももスラスラ楽しそうに答えてくれます。

子どもにとってやや難しいのは、後半のオープンクエスチョンです。思い出したり、考えたりして自分なりに回答しなければなりません。行った場所を「(ばあばが住んでいる)山梨の公園だよ」とざっくり表現する子もいれば、「代々木公園だよ」ときっちり名称で答える子もいます。あるいは全然覚えていないという場合もあります。

5W1Hを意識して会話をしてみる

2歳や3歳の子どもには主にクローズドクエスチョンで質問することが多いと思いますが、4歳、5歳と成長すればオープンクエスチョンを使って会話を具体的にしていくと良いと思います。

オープンクエスチョンに答えるには、物事を筋道立てて考えて情報をまとめる力が必要です。慣れないうちは難しくても、コツをつかめば幼児にもできるようになります。そんな時に役立つのが5W1Hというフレームワークです。

5つのWとは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)です。これにHow(どのように)を加えたものが5W1Hで、会話や文章で情報を整理して伝えるコミュニケーションの基本になっています。

4歳、5歳の子どもと会話をするなら、5Wのうちのひとつに絞って質問すると答えやすいと思います。

旅行に行った帰り道や自宅に戻った時などは、5W1Hに沿って思い出しながら話し合ってみるのもいいですね。「旅行、楽しかったね」だけに終わらせず、具体的に「おじいちゃんと一緒に/牧場に行って/馬に乗った」ことが楽しかったね、のように会話することで、子どもの表現力がグッと上がります。

普段の生活の中でも、最初に紹介したような質問でぜひお子さんとの会話のキャッチボールをたくさんしてみてください。

ちなみに、5W1Hのうち子どもにとって最も難しいのはHow(どのように)だと思いますが、答えようとして頭を使うことが子どもにとって良いトレーニングになります。

子どもが何か作った時にはぜひ「わあ、どうやって作ったの?」「気に入ってるところはどこ?」「難しかったところは?」と興味を持って質問してみてください。きっと会話が弾むと思いますよ!

小学1年生から楽しめる「いつ・どこでゲーム」

5W1Hで遊ぶゲームもあります。私が小学生だった頃に学校ではやっていた「いつ・どこでゲーム」です。ゲームの呼び方は色々あるかもしれませんが、皆さんもやったことがあるかもしれません。

昔からあるゲームですが、今でも子どもたちに大ウケしています。紙と鉛筆以外に特別な道具もいらずにいつでも楽しめるので、子どもが文字を書けるようになったら家族で遊んでみてほしいと思います。初めて聞いたという人のために、簡単にやり方を紹介します。

ルールは単純です。「いつ」「どこで」「誰が」「誰と」「何をした」の5種類のカードを書き、シャッフルして短文を作るというものです。ふたり以上でできるゲームですが、3〜5人がちょうどよく楽しめると思います。

参加者それぞれが5種類のカードを1枚ずつ書いたら、全員分を種類別に集めます。参加人数が少ない時は、ひとり2枚ずつ書くとバリエーションが増えていいと思います(もしくは「誰と」の部分を省略して4種類にしてもOK)。

カードをよく混ぜてから参加者全員に5種類、1枚ずつを配って文章を作ります。つじつまが合わない文章になることもありますが、おかしなものができるほど盛り上がります。

カードの記入例はこんな感じです。みんながよく知っている人やキャラクターを登場させると、後でできる文章が面白くなります。

  • 「きのう」「学校で」「〇〇くんと」「ぼくが」「鬼ごっこをした」
  • 「夏休みに」「山で」「ぼくと」「いもうとが」「虫とりをした」
  • 「夜に」「おうちで」「トムと」「ジェリーが」「ケンカした」

これをシャッフルすると…こんな文章ができるかもしれません。

「夏休みに」「学校で」「トムと」「いもうとが」「鬼ごっこをした」

文字を書ける子ども向けの遊びですので主に小学生以上が対象だと思いますが、大人がカードを作っておけば年中・年長児と遊ぶこともできます。カードを並べて、はじめの文章を紹介した後でシャッフルします。できた文章を子どもと読んで楽しみましょう。

ひらがな練習中の年長さんなら、カードを自分で書いてみたいと言い出すかもしれません。そんなときは手伝いながら子どもと一緒にカードを書いてみるのも楽しいですよ。

ライター

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モンテッソーリ教育 堀田はるな

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

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