「不思議」「面白い」が栄養源知的好奇心の育て方
子どもたちの成長のカギとなるだけでなく、将来的に豊かな人生の源にもなる知的好奇心。
そんな大切な知的好奇心の育て方について、脳科学のスペシャリスト・瀧靖之先生に聞きました。
イラスト/てづかあけみ
自他との区別がつく2、3歳が伸びるとき
脳の発達のピークは、部位によって異なります。
生まれてすぐに発達するのは、見る、聞く、ぬくもりを感じるといった感覚をつかさどる部位です。この時期は、子どもが信頼できる人にくっつくことで安心する「愛着形成」が大切な時期。精神だけでなく、脳の発達にも関わると言われています。
2、3歳ぐらいになると、自他の区別がつき、周りの人は自分と違う気持ち持つことが分かってきます。併せて出てくるのが、外に対しての興味。好奇心が伸びてくるのがこの時期です。
3〜5歳は運動をつかさどる部位(運動野)の発達がピークに。全身を使う運動や、指先で細かい動作を行う楽器演奏などの経験を積むことがおすすめです。
「大変さ」よりも「面白さ」が勝る!
知的好奇心とは、自分の身の回りのものに対して、「不思議だ」「面白い」と思い、「もっと知りたい」と探求できる力のことを言います。そのための努力や、粘り強さ、忍耐力なども含めて、知的好奇心なのです。
私の周りの医者や研究者、経営者などはみんな知的好奇心の塊。「もっと知りたい」と物事に取り組むときに、「大変さ」よりも「面白さ」が勝っているんです。
知的好奇心を土台に育つ力とは?
感情と記憶は密接に関係
楽しいことはすぐに覚える
知的好奇心が生まれると、その対象への記憶力が高まると言われています。脳の中で感情をつかさどる「扁桃体(へんとうたい)」は、記憶に関わる「海馬」と構造的にも隣り合わせで、密に連携しています。楽しく、ワクワクすることはすぐに覚えられ、イヤイヤの場合はなかなか覚えられないのは、それが理由だと考えられます。
好奇心の幅が広がり
主体的な学習につながる
知的好奇心を伸ばしてあげることで、例えば、恐竜に興味を持つ子どもは、そこから動物、植物、宇宙、乗り物、音楽、サッカーなどへと、どんどん好奇心の幅が広がっていきます。学習面でも「なぜこうなるのか知りたい」と興味を持って取り組むことができ、それは主体的な学習につながります。
頑張って結果を出す経験が
自己肯定感を高める
イヤイヤ勉強をしていると、テストで悪い点が出たときに挫折してしまうことも。でも好きで楽しく学んでいると、結果に関係なく続けることができます。主体的な学習は、学業成績がアップする可能性が高いのです。そして、「頑張ることで結果を生み出す」という経験を積み重ねることで、自己肯定感を高めることができます。
幸せな人生のカギ = 知的好奇心
「もっと知りたい」とさまざまなことに取り組み、新しいことを知って「面白い」「楽しい」と感じながら生きることは、幸福感にもつながります。
つまり、「日々幸せだ」と感じて生きる豊かな人生のカギとなるのが、知的好奇心なのです。