子どもの自主性を引き出す!モンテッソーリ流「発見」の機会を増やす言葉がけ
「ここにあるよ」「こっちだよ」「忘れ物してるよ」…などなど、つい先に気がついた大人が子どもに教えてしまいがちです。でも、子どもは自分が発見したことにこそ自主的になれるのです。教えたい気持ちを抑えつつ、うまく子どもに発見させるには?
何かを発見すると、子どもたちの自主性が育つようです
私の勤務する保育園「子供の家」では、毎年子どもが種植えをして植物を育てています。今は朝顔がツルを伸ばしている時期ですが、先日初めて芽が出たときには子どもたちが「うわー芽が出ているよ!」「僕のはもう双葉になっている!」と興奮気味に話していました。
先生は子どもたちよりも早く通勤していますから、発芽していることは当然知っています。でもあえて子どもたちにそのまま伝えることはしません。子どもが自分で気がつくのを待つか、「今日は朝顔に水をあげたかな?」と促すかのどちらかです。
そのうち子どもたちの方から「先生、芽が出ているんだよ」と教えてくれるので、「へぇー、いくつ芽が出ていたの?」「どのくらい伸びていた?」などと会話を広げていきます。よく観察している子なら「ふたつ出ていたよ」などと質問に答えてくれますが、覚えていなければ「ええっとねぇ…」と鉢植えを見に戻っていき、今度はもう少し注意深く観察をしています。
「僕の朝顔はみんなのに比べて葉っぱの色が薄いね、どうして?」なんて、興味深いことに気が付く子もいます。先生にも理由は分かりません。たまたま陽のあたりが悪かったのかもしれませんし、単なる個体差かもしれません。「ほんとだね、どうしてだろうね。○○だったのかな?どう思う?」と一緒に考えてみます。
はっきりした答えが出なくてもいいのです。その不思議さ・おもしろさを子どもが自分なりのセンサーでキャッチして、感じたり考えることが重要なのです。誰かに教えられたことではなく、発見したこと(=自分で気が付いたこと)に対して、子どもは能動的・自主的に反応します。
子どもの世界には、日々このような「発見」がたくさん転がっています。自然の中から何かを見つけ出すことだけでなく、日常生活のちょっとしたことでも子どもが自分で気が付くようにすれば、子どもの自主性はぐんぐん伸びていきます。
その機会を増やすコツは、大人が良い「目」を持つこと。それから先走りせず、一歩引いてみることだと思います。今日はそんな「発見の機会」を増やす言葉がけの方法あれこれをお届けします。
「発見の機会」を増やす言葉がけ、あれこれ
「どこかなあ?」
公園に子どもとどんぐり拾いに行ったとき、蝉の抜け殻を探しに行ったとき、四つ葉のクローバーを見つけに行ったとき。大人が先に見つけてしまったとしても、「ほら、あったよ!」と教えないようにしてみましょう。
「どこかなあ?」「この辺かなあ?」とさりげなく場所を限定するのはありですが、子どもが「あった!」と見つけるまではグッと我慢です。ひとつ自分で見つけた子は、もっと見つけよう!と自分で探すようになります。「自分で気が付く」ことは、子どもが自主性を発揮する助けになります。家にいるときだって、こんな言葉がけはどうですか?
「ここらへんを見てみようか」
パズルのピースをどこに入れるかどうしても分からない…なんていうときも、大人が「ここだよ」と教えてしまっては子どもの楽しみが半減してしまいます。「ここらへんかなあ」と曖昧に伝えて、「あった!ここだ!」と子どもが自分で発見するまで放っておいてください。
自分でできたことは次のチャレンジのモチベーションにもつながります。あとは「ほんとだ、ここだったね」と子どもと一緒に楽しみましょう。
「次は何をするんだっけ?」
出かける準備をしているときや、お片付けをしているとき。やることの手順が決まっているなら「次は着替えだよ、早く!」というよりも「次は何をするんだっけ?」と聞いてみてください。子どもが自分で考えて思い出せるようにするためです。朝のやることリストをイラストにして子どもと一緒にチェックする方法もいいですよ。
「点検してみよう」
カバンや水筒など、忘れ物をしているときには「忘れているよ」というよりも「持ち物を点検してみよう」と言ってみてください。子どもと一緒に「カバン、水筒はあるかな?」と確認してみるのもいいですね。忘れ物に気がついた子どもは「あっ、水筒がなかった!」と自分で取りに行くようになります。
…こんなふうに考えてみると、普段の生活で関わり方を工夫できそうなことが思い当たりませんか?大人が指摘するより、子どもにたくさん気がついてもらえるといいですね。