自分は子どもに厳しすぎる? 甘すぎる? 「しつけ」に悩めるパパにアドバイス

自分は子どもに厳しすぎる? 甘すぎる? 「しつけ」に悩めるパパにアドバイス

自分はもしかして子どもに厳しすぎる? 反対に甘すぎるかも…。「しつけ」っていったい何が正解? そんな子どもの「しつけ」に悩めるパパに向けてのアドバイスを、大阪教育大学教育学部教授で大阪教育大学附属天王寺小学校長の小崎恭弘さんに聞きました。

子ども=未熟な存在、「しつけ」について悩んでいない人はいません

子どもを育てるときに一番悩むのが「しつけ」についてではないでしょうか? 子育ての講演会や相談会、雑誌の対談などでも、いつもたくさんの質問や悩みを聞きします。「きちんと座ってご飯が食べられません」「人見知りがひどくて他の人にあいさつができません」「自分で着替えや片付けをしようとしません」などです。

「しつけには全く悩んでいない」という人は誰一人いません。やはりみなさん、しつけにはいろいろな思いや悩みを持っているようです。それが分かるだけでも、少し安心しませんか? 「うちの子だけが特別にできない」のではなく、どの子どももまだまだ成長の途中で、未成熟な存在なのです。経験や学びが少ないのが、子どもという生き物なのです。だから子育てに大きな意味があり、しつけが求められるのです。

そもそも「しつけ」ってどのようなもの?

では、その「しつけ」とは一体どのようなものなのでしょうか。しつけは漢字で「躾」と書きます。まさに「身」を「美」です。子どもたちが社会や集団の生活の中で、他者と気持ちよく生きていくため身に付けておいてほしい仕草や振る舞い、言葉の使い方などの所作全般です。 子どもたちは生活の中で、特に最も身近な家庭や親との関わりを中心に、それらの所作を身に付けていきます。当然ですが、パパたちの普段の接し方や何気ない仕草、言葉遣いも大きく影響を及ぼします。そこは少し意識してほしいです。

「厳しすぎる」「甘すぎる」極端なしつけはNGです

絶対的に正しいしつけのあり方などは存在しません。子どもの性格や親の思い、育つさまざまな環境により、しつけのあり方も千差万別です。とはいえ、「体罰を加える」「暴言を使う」ことは、決して許されるものではありません。

その上で、パパたちの行うしつけで気をつけてほしいことがあります。それはあまりに極端な関わりやしつけはやめてほしいということです。極端というのは、「厳しすぎる」と「甘すぎる」ということです。

■厳しすぎる
子どもたちを自分の思い通りにコントロールしようとします。そしてそれができないと、怒り出したり突然子どもを無視したりします。子どもに対して自分自身を絶対的な存在とするように求める関わりです。

■甘すぎる
子どもたちの言葉や思いを受け止めすぎて、子どもに振り回されている関わりです。「いや!」と言われればすぐに諦めてしまったり、買ってほしいと言われると何でも買ってしまうなど、子どもの忠実な僕(しもべ)のような関わりです。

この両者共に、とてもバランスを欠いた関わりだと言わざるを得ません。子どもはあやふやな生き物です。機嫌の良いときもあれば、そうでないときもあります。また、それがすぐに変化することもしばしばです。そのような変化の大きい子どもに対応する親は、バランス感を持った柔軟な関わりが求められます。

ステキなしつけのあり方って?

しつけの一つの語源は、和裁の「しつけ糸」です。本縫いをする前に形を整えるために、仮縫いをするときに使う糸です。最終の形になるその前段階で使用されるものです。最後の形が決まれば、その糸は抜かれて、そして捨てられてしまうものなのです。そのために初めから、細く弱い糸が使われます。

つまり、親のしつけは、子どもが社会に出る前段階の時期に、ルールや身だしなみを「強く」ではなく、「柔らかく」伝えることが大切なのでしょう。そして子どもが自ら身につけたときに、親のしつけも捨て去られるものなのです。そのように考えると、あまりに強固な姿勢や伝え方は必要ないのかもしれません。「パパ自身が気持ちや行動に余裕を持って、柔らかく丁寧に伝えていくこと」が、しつけの本質なのかもしれません。パパのしつけ、そんな形を意識してみませんか。

教えてくれたのは

小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。
http://kasei.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/teachers/5.html

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大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘

大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。

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