「読み書きが苦手なんじゃ?」と思ったら ママ先生による一年生の成長を支えるサポート法

「読み書きが苦手なんじゃ?」と思ったら ママ先生による一年生の成長を支えるサポート法

小学校の先生の経験を持ちながら、自身もママとして子育てに奮闘する4人によるリレーコラム「ママ先生といっしょ」。先生目線で、ときにママの目線で、入学準備や入学後の困りごとや悩みの解決方法の糸口を探ります。苦しい事があっても、笑顔で突き進めるヒントが見つかるかも。今回は、はるな先生。「読み書き」にまつわるつまづきについて解説します。

読み書きが苦手なサインに気づいたら

一年生の学習も本格化し、「授業が難しい」と感じる子が増える10月。入学当初は微笑ましかった「読み間違い」や「書き間違い」が、徐々に気になり始め、不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、字を書く際に形が崩れたり、読む速度が他の子に比べて遅かったりすると、「うちの子、大丈夫かな?」と心配になりますよね。また、「てにをは」などの間違いも、積み重なると「一体、どうしたら出来るようになるのだろう?」と頭を抱えてしまうこともあるかもしれません。しかし、読み書きには個人差があり、焦らず、お子さんのペースに寄り添いながらフォローをしていくことが大切です。今回は、そんな不安を解消するために、読み書きが苦手かもと感じた時のお子さんの見つめ方、そして具体的なサポート方法について解説します。

「読む」ことへのアプローチ

読み間違いが多かったり、読むスピードが遅かったり、読むこと自体を嫌がったり…「読み」に関するお悩みはさまざまです。しかし、こうした課題の原因としては、大きく分けて「音韻認識」と「目の動き」の二つが考えられます。「音韻認識」とは、「あ」という文字を見て「a」という音を思い浮かべたり、発音したりする力のことを指します。これが苦手なお子さんは、文字を見て音に変換する事自体に精一杯なので、文字を言葉のまとまりとして捉える事が難しく、ゆっくりと読んだり、読み間違いが多い傾向があります。このような場合は、音読の宿題はぜひ一緒に唱えてあげてください。そして、カルタや逆さ言葉遊び等、楽しく文字を読む機会を生活の中に設け、文字から音、音から文字への変換をスムーズに行えるようサポートできると良いと思います。
「目の動き」が苦手な場合は、文章を読む際に、指でなぞったり、定規をあてたり隣の文を隠したりすることで、今どこを読んでいるのか見やすくする事が有効です。単純に文字を大きくすることで読みやすくなるお子さんもいますので、様子をよく観察しながらどの方法がお子さんにフィットするか試してみると良いでしょう。また、目を上下左右、斜めなどさまざまな方向に動かすゲーム「ナンバータッチ」等のビジョントレーニングを楽しみ、眼球の動きを鍛えることも有効です。

「書く」ことへのアプローチ

字の形が崩れたり、筆圧が弱かったり、書くスピードが遅かったりと、「書く」ことの悩みも多岐に渡ります。こうした場合も、原因としてはいくつかの要素が考えられますが、その一つに「手先の運動スキル」が挙げられます。鉛筆を使って書くには、指や手首を細かくコントロールする必要があり、この動きがまだ未発達なお子さんは、文字を書く際に手がうまく動かず、字形が安定しないことがあります。こうした場合は、鉛筆で書く練習を重ねるよりも、折り紙や粘土遊び、ハサミやビーズを使った遊びなど、楽しく手先を使う活動を積極的に取り入れることがおすすめです。手先の機能が高まってくると次第に書字も安定してきますので、書いた字の中から上手なものを見つけて褒め、字を書くことを嫌いにならないよう声をかけていくことも大切です。
また、「私わ教科書お学校え持っていきます。」の様に「は・を・へ」の書き間違いについて悩む親御さんも少なくありません。しかし、これは先程紹介した「音韻認識」が身についているからこその間違いであり、子どもからしたら何がいけないのかが、とても分かり難いものです。これに関しては、『例外』であることをしっかりと伝え、「◯◯は」「◯◯を」「◯◯へ」の様に【言葉にくっつく時】は「wa」の音でも「は」と「o」の音でも「を」「e」の音でも「へ」と書くことを教え、使い慣れるのを見守ると良いでしょう。

長い目で見守り、自信を育むサポートを

子どもの読み書きの成長には個人差があり、一朝一夕にはいきません。だからこそ、もどかしさや不安を感じることもあるかもしれませんが、大切なのは、短期間での成果を求めるのではなく、長い目でお子さんの成長を見守り、温かいサポートを続けることです。拙さやちょっとした進歩も全部ひっくるめて、お子さんの成長過程を楽しみながら、日々のサポートを重ねていきましょう。何よりも、お子さんができたことや、以前よりも上手にできるようになった部分に注目し、笑顔で「すごいね」「上手になったね」と親御さん自身が喜び、声をかける事が、お子さんの自信を育む大きな力となります。読み書きの練習を親子の楽しいひと時にしよう。子どもと遊びながら、ついでに読み書きの力も鍛えちゃおう。そんな気持ちで取り組んでみていただけたらと思います。そして、お子さんがつまずいたり間違えたりした時は、明るく寄り添い、失敗を恐れず安心して挑戦できる雰囲気を作る事が、お子さんの粘り強さを育むのではないかと思います。子どもは自分のペースで少しずつ成長するものです。お子さんを信じて、温かい眼差しで見守りながらお子さんの成長を支えていきましょう。

ライター

ママ先生はるな先生の画像

ママ先生 はるな先生

公立小学校教員。小学校1年生と年長児、0歳児のママで、現在は育休中。小学校1年生の担任経験が豊富かつ特別支援教育にも精通しており、Instagramでは年長から小学校1・2年生までの子どもたちにまつわるさまざまな課題について、子どももママ・パパも笑顔になれるようなちょっとした工夫を発信中。

学び・遊び・教育:新着記事

電子書籍

幼稚園児とママ・パパの情報誌

親子の保育園生活を応援する情報誌