4~5月が肝心!?見過ごしがちな「小学一年生の弟・妹がいる子」への接し方
例年に比べても暖かな春がやってきて、新一年生の入学にてんやわんやの家庭も多い時期。新入学はおめでたい一方で、一年生への寄り添いや仕事への影響など気を配らなければならないことが多く、ピリピリするパパやママも多いでしょう。
しかし実はこの時期、新一年生のいる家庭で気配りを必要とするのが、そのお兄ちゃんやお姉ちゃんです。忙しい4月から5月にかけて上の子のことがおろそかになると、その時はしのげるかもしれませんが、後々めんどうなことになるかもしれません。今回は、一年生の子がいる家庭でぜひ気を配りたい、お兄ちゃんやお姉ちゃんへの対応を紹介します。
一年生の弟・妹がいる子へ気配りが必要な理由
一年生が入学し、忙しくしている方のなかには「一年生だけでも大変なのに、どうして上の子にまで気配りをしなければいけないの?」と感じる方もいるでしょう。やっと手がかからなくなってきたのに、というのが本音かもしれませんね。ではこの時期に上の子を注視すべき理由を見てみましょう。
自己肯定感が落ちやすい時期だから
ひとくちに一年生の弟・妹がいる子、といっても幅は2年生から中学生、高校生まで、さまざまでしょう。しかし、そのなかで一つ共通しているのは「この時期の子どもは自己肯定感が落ちやすい」ということです。自己肯定感が落ち込むさなか、パパやママが一年生にかかりきりになってしまったり「もう大きいから自分でできるね」と放任したりすると、「自分はどうでもよいと思われているんだ」と勘違いしてしまうかもしれません。
通常、幼い子どもは「自分は何でもできる!」という万能感にあふれています。しかし10歳前後になると、子どもの自己肯定感がは一気に下がり始めます。これは子どもが客観性を身に付け、周囲と自分とを比較することで自分の劣ったところ、できないことに目を向け始める年齢だからです。一般的に、このような理由で自己肯定感が下がるケースは「10歳」と「中学一年生」に多いと言われています。しかしもちろん個人差があり、早い子では小学校一、二年生のころから思春期を通して、気をつけたいポイントといえるでしょう。
我慢を口に出さず飲み込める年齢だから
思ったことを口から出せる幼い年代を経て、子どもは「言いたいことを何でも言ってはいけない」と学びます。特に新一年生は学校で疲れてくることが多いため、家に帰るとママやパパにべったりになることも。弟や妹がパパやママに甘えているのを見て、「自分はお兄ちゃん(お姉ちゃん)だから、我慢しないと」と考える子も多いのです。
「上の子がおとなしかったり、特に甘えたいと言ってこなかったりするために、最近は下の子にかかりきり」というケースはありませんか?もしかして、甘えたい気持ちを口に出せずにいるのかもしれません。しかしそれが長引くと、ストレスから登校渋り、5月病など思わぬ問題を引き起こすこともあり、注意が必要です。
怒られることが増えがちな時期だから
小学校生活にもすっかり慣れた小学二年生から、中学生、高校生に至るまで、子どものことを「怒ってばっかり!」という親は多いものです。勉強をしなければいけないのにゲームをしていたり、衣類を片付けなかったりと、たいていの子は親から怒られる要素をいっぱい持っています。パパやママも小学一年生を抱えて忙しいところ、成長した子どもには「自分のことは自分でやってもらいたい。そのほうが子どものためにもなる」と思う気持ちから、「ちゃんとやってよ!」などトゲトゲした声を出してしまうことがあるかもしれませんね。
大人から見れば子どもの側に怒られる原因がありますが、子どもの目には「一年生の弟(妹)には優しく接しているくせに、自分には冷たく怒る」と映ってしまいがちです。こうなると親子間の信頼関係が崩れ、シナジーな関わりを取り戻すことが難しくなります。
4・5月は特に気をつけて!一年生の弟・妹がいる子への接し方
一年生にとっても最初が肝心ですが、上の子にとってもそれは同じです。この時期気をつけたい、上の子への接し方の注意点を紹介します。
学校生活の先輩として敬意をはらう
ぜひ、新一年生の子と一緒に、上の子を「一足先に学校を体験した先輩」として扱ってみましょう。「これはどうしたらいいの?」「こんなときどうするの?」など、学校ってどうなっているのかなあ?と思うことを上の子に教えてもらうのです。
小学校のことはパパやママもある程度知っているはずですが、あえて上の子に話を振って良いでしょう。いずれにしても親が小学校を卒業してから数十年が経過し、今の小学校のことは上の子のほうが良く知っています。教えてもらったら一年生と一緒に「すごいね!そうなんだね!ありがとう!」と感動してみせれば、上の子が例え中学生でも誇らしい気持ちになるものです。
手伝ってもらう→「ありがとう」を積み重ねる
新一年生が入学してしばらくは、猫の手も借りたいことが多いでしょう。持ち物の確認や、少し大きい子は家事など、上の子ができることは手伝わせることで、家族の一員としての重要性を感じてもらうことができます。
そして、お手伝いをしてくれた上の子には「ありがとう」と言葉で伝えることが大切です。決して「それくらい、やって当たり前」という解釈をしてはなりません。家族の一員として、家事をすることは当たり前であると同時に、やってもらった家事に感謝することもまた当たり前であると解釈するほうが、お互いに気持ち良く、また両親への感謝も育めるでしょう。
時には1対1の時間をとる
忙しいさなかではありますが、たまには上の子と1対1の時間を取るのがおすすめです。特に上の子がまだ小学生のうちは、寝る前の時間やお風呂の時間などを利用し、意識して対話の時間を作ると良いでしょう。
学校や勉強のこと、友達関係のことなど、近況を探ってみると思わぬ悩みを聞くことがあるかもしれません。特に悩みごとがなかったとしても、1対1になったことで子どもは「親が自分を見てくれている」と安心し、明日の活力にすることができるのです。
一年生がいるからこそ、上の子には上手に頼って
新一年生がいる家庭では、学習習慣をつけたり、持ち物を確認したりと、毎日がせわしなくなりがちです。しかしその陰で上の子をおろそかにしてしまうと、上の子の精神的な負担に気づかないこともあります。場合によっては上の子の友達トラブルに気づかなかったり、登校渋り、5月病、親への不信感などにつながったりすることもあるため、よく気をつけたいところです。少しだけでも上の子のために時間をつくり、4・5月だからこそ上の子に丁寧に接して、6月以降の生活がスムーズに回るよう工夫しましょう。