園で、家庭でどう考える?“withコロナ”時代のコミュニケーション

園で、家庭でどう考える?“withコロナ”時代のコミュニケーション

大人も子どもも生活が一変し、人と触れ合う機会が減っている現在。しかし人とのつながりは、園時代の子どもの成長に欠かせません。
そこで、幼稚園と家庭の双方にアドバイスを行っている井戸ゆかりさんに子どもと園・園と親・親と子どものコミュニケーションをどう考えていけば良いかを聞きました。
あんふぁん読者と、園の先生からの生の声もあわせて紹介します!
イラスト/田仲由佳

井戸ゆかりさんの画像

井戸ゆかりさん

東京都市大学人間科学部教授。2021年3月末まで東京都市大学二子幼稚園にて教育アドバイザーを務めたほか、渋谷区子ども・子育て会議会長、調布市保育巡回指導などを通してママやパパの子育て相談にものっている。主な著書に『保育の心理学:実践につなげる、子どもの発達理解』(萌文書院、2019年、共著)

子どもたちの園での学びに制限が出ないよう 先生たちは心掛けています

私は今年の3月まで、都内にある幼稚園の教育アドバイザーを務めていました。このコロナ禍で園の先生が大事にしてきたのは「子どもたちが安心して生活できる場を確保すること」「なるべく今まで通りの園生活を維持すること」だと、自身の園や周りの園の様子から感じています。

通常より2カ月遅れの開園となった昨年、年中・年長児を見ていて驚いたのは、大人が思っていたよりも、友達との共同生活にすんなり戻っていけたことでした。年少・年中時に普段の園生活で培ったコミュニケーション力の大切さを、私たちも改めて実感したのです。

どの園も子どもたちのコミュニケーションの機会や学びの機会を確保するために、まずは毎日の換気や消毒などの基本的な対策を徹底して行っています。運動会や発表会などの行事についても「今まで通りにはできないから、やらない」のではなく。「今まで通りは難しくても、できる範囲でやりたい」という思いのもと、園ごとにさまざまな工夫をしています。

午前保育のみの日を増やしてご飯は家で食べる・行事は学年ごとに区切って行うなど、制限をかけなければならない場面はどうしてもあります。しかし、それも感染リスクを減らし、安全を確保した上で、子どもたちの日々のコミュニケーションの機会を得るために必要なことであると、ママやパパには知って、理解してもらいたいと思います。

【家庭へのアンケート】

コロナ禍での子どもの様子についてあんふぁん読者856人に聞きました!

2021年1月13日~2月2日あんふぁん読者に実施。有効回答数856

Q. 子ども同士、子どもと先生のコミュニケーションが以前より減っていると感じますか?

はい

● 先生との触れ合いが「ぎゅー、のつもりね!」など、フリだけになっている。気を付けてくれていてありがたいけれど、子どもは寂しいだろうなと思う。

● 行事の規模が縮小されている。それはそれで一つの経験とも思うが、大人数の中で感じることや学ぶこと、特に会話を通じての学びが減っていると感じる。

いいえ

● 行事は縮小されたが、普段の園生活では子どもたちに不安が広がらないように、先生方が工夫してくれていると感じる。

● お友達と共有のおもちゃが使えなくなるなど遊び方に変化はあるが、楽しく遊んでいるし、子どもは満足していると思う。

Q. マスク生活が続くことで、子どもに悪い影響が出ていると感じますか?

はい

● もともと恥ずかしがり屋なわが子。マスクのせいで余計に拍車がかかってしまった。多分相手の表情がはっきりと見えないせいだと思う。

● マスクで声が聞き取りにくいため、人の話を頑張って聞こうとしない・どうせ聞こえないから話さないなどの影響が出ないか不安に思うことがあります。

● 「あの子はマスク外してるのに、どうして私は外したらダメなの?」と聞いてきます。家庭によって考え方の違いがあるので、子どもなりにモヤモヤするようです。

いいえ

● 逆に、マスク生活や手洗い習慣などを通じて、社会のルールやマナーを知る機会になっていると思う。

● 言葉の遅れを気にする声もあると聞くが、家で親がちゃんと会話をして働き掛ければ何も問題ないかなと思っています。

● 「今日はこのマスクがいい!」と自分で選ぶのを楽しみにしています。子どもは意外と状況を受け入れているように感じます。

【幼稚園へのアンケート】

コロナ禍での園の取り組みについて36園の先生たちに聞きました!

2021年1月18日~31日「園ふぁん」FAXにて実施

Q. 子どもたちとのコミュニケーションで心掛けていることは何ですか?

● 目で感情を伝え合えるように、会話をするときは子どもたちの目線の高さに合わせています。体調の良し悪しも目に出ることがあるので、日頃から目元をよく見て健康観察をしています。

● 子どもたちとの関わりは今までと変わらないように心掛けていますが、マスクで表情が伝わりにくいので、「すごいね」「うれしい」「楽しい」「悲しい」など、今まで以上に気持ちを言葉で伝えるようにしています。

● さようならのときのハグを、ジャンケンやエアータッチに切り替えました。コロナ禍ならではの楽しいコミュニケーションとなっています。

● スキンシップが必要な場合は、先生が子どもより低くしゃがみ、前からでなく後ろからぎゅっと抱き締め、背中を手のひらで軽く「とんとん」と押してあげています。

● いつもより高めの声を出しています。低い声だと「先生、怒っているのかな?」と間違えられてしまうかもしれないので。

Q. コロナ禍の今、家庭にお願いしたいことは何ですか?

● 子どもに熱があったり咳き込んだりしている場合は、他の園児にうつさないためにも症状を隠して登園させず、ただの風邪でも休ませる配慮をしてほしいと思います。

● 「手洗いをしない・マスクを付けないと、コロナになっちゃうよ」「コロナにかかると治らず死んでしまうよ」というような、子どもが怖がる過剰な脅しをしないでもらいたい。

● 園行事などは変更や中止をせざるを得ない場合もあります。保護者の方の思いに添えないこともあると思いますが、そのことを子どもに呟いたりせず、直接園に伝えてほしいです。

● 万が一周りの子が感染してしまった場合、わが子には「治ったら大丈夫だからね」「良くなってよかったね」と、相手の子を思いやる言葉を伝えてほしいです。誰もがかかる可能性があるので。

● 感染症の発生源を探すような質問を子どもにしないで。大人同士の会話も、子どもはよく聞いているので気を付けてほしい。

ライター

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&あんふぁん編集部 &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

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