子どもの人生は子どものもの!自分らしく主体的に生きる力の育て方
めまぐるしく変容する社会の中で、子どもが自分らしく生きるために必要なのは、自ら考え、判断し、行動する力=主体的に生きる力。子どもの未来に関わる「小学校教育」「SDGs」の視点から、主体性の大切さ、またそれを育むヒントを探してみませんか。
イラスト/杉浦さやか
自分らしく主体的に生きる力の育て方
Point2 SDGs
2015年、今年6歳になる子どもたちが生まれた年に国連サミットで採択された「SDGs」にも、主体性を育む手掛かりが。子どもたちと一緒に取り組むことで、見えてくることがあるかもしれません。
未来へ視野を広げ問題に向き合う力を養う
SDGsとは、持続可能な開発目標のこと(別項参照)。耳にしたことのある人は多いかもしれませんね。でも、自分にとっては遠い話と思っていませんか?
しかし、少し想像力を膨らませると、最近増えた洪水などの異常気象や、少子化によって進む超高齢社会…。このままだと、子どもたちが大人になる未来はどうなってしまうだろう…と心配になりますね。未来は、誰かが変えてくれるわけではありません。「自分たちで変えていく」ものなのです。
SDGsは、園児と一緒に取り組めることがたくさんあります(別項参照)。できることを積み重ねていくのが大切です。小さいうちから、主体的に社会に関わる重要さを体験できる絶好の機会になりますよ。
親が自分の価値観を見直すきっかけにも
親にとっても、SDGsに取り組むことは今までの自分の価値観を見直す良い機会になります。商品を購入するときに「1円でも安いものを」と選んでいては、発展途上国の不適切な賃金で働く児童労働などを減らすことができません。「もしわが子がその立場だったら」という視点を持ち、「社会や環境にいい商品を選ぶ」。子どもと共にそういった価値観を育てていきたいですね。
SDGsを学ぶことは、例えばプラスチックをむやみに消費しない、長時間労働はNGといった、世界の風潮、トレンドを学ぶことにもなります。それは子どもにとっての将来的な力につながります。
社会が大きく変動する中、今の子どもたちには、何が課題なのか問題設定をし、解決する手段を見つけて実行する、答えがないものに対してどうアプローチしていくかを探るといった、主体的に動く力が求められています。SDGsはまさに「自ら考え、変える」がキーワード。まずはできることから、親子で始めてみませんか。
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★SDGs(Sustainable Development Goals)
「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。2015年の国連サミットで採択されたもので、2030年までに達成を目指す17の目標が掲げられています。
[17の目標]
1. 貧困をなくそう
2. 飢餓をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう
今すぐにできるアクション
幼児期からできることもたくさん。たかまつさんに、今すぐ取り組めることを教えてもらいました。
[家の中でできること]
- 余った食事は冷凍しよう
- 食器の汚れは拭いてから洗おう
- 冷蔵庫の中身を確認しよう
- 使っていない家電はコンセントから抜こう
- 人がいない部屋の電気は消そう
- 早く寝よう
- トイレのふたを閉めよう
- 防災バッグを用意しよう
- ゴミは分別しよう
- 裏紙を使おう
[家の外でできること]
- マイバッグを持とう
- 期限切れに近いものから買おう
- 訳ありの野菜を買おう
- 詰め替え用を買おう
- 地元で買い物をしよう
- 階段を使おう
- 歩いて移動しよう
- ポイ捨てはやめよう
- スーパーでリサイクルしよう
- ボランティアに参加しよう
主体性を育てるために今から親にできること
社会問題の現場を体験させる
朝早くゴミを拾う、炊き出しなどのボランティアに参加するなど、子どもと一緒に社会問題の現場を体験しましょう。自分の身近に、そういった場があるということを知ると、社会問題を「自分ゴト」と捉えて考えるきっかけになります。
視点を変えて考えさせる
“自ら考える”ためには、まず客観的に物事を捉えることが大切です。「〇〇ちゃんの立場だったらどう思うかな」「何で反対する人がいるのかな」「何でママが怒っているのか分かる?」など、ほかの視点で物事を考える経験を積ませましょう。
点の情報を広げてあげる
ただニュースを見ているだけだと、情報を“点”として受け止めているだけ。自分にどう関係があるのか、将来にどうつながるのかが分かりません。洪水のニュースを見たら、「何で増えてきているの?」「もっと増えたらどうなるのかな」と一緒に考えてみましょう。