絵本専門士が伝えたい10年後に生きる読み聞かせの力

絵本専門士が伝えたい10年後に生きる読み聞かせの力

「本が好きになる」「文字に早く親しむ」ことは、読み聞かせの魅力の一つ。でも、親子で楽しむ読み聞かせの時間は他にも大事な力を秘めていると、絵本専門士の近藤さんは言います。「いい絵本の選び方が分からない」というママこそ、今回の特集は必見です!

イラスト/杉浦さやか

あんふぁんママに聞きました

わが子には「本好きになってほしい」半面、ママは読書が苦手、または好きでも苦手でもないと答えた人が約半数。読み聞かせをする理由には「ママ自身も絵本が好きだから」「親子のスキンシップの一つだから」という回答もありました。

※2020年9/2〜10/7あんふぁんWebアンケート。有効回答数1135
近藤麻智子さんの画像

近藤麻智子さん

絵本専門士として、大人向けの絵本セラピー®のワークショップや親子向けイベントを主宰。絵本を通じた子どもとの関わり方やお薦め絵本を雑誌・講演会・セミナーで紹介している。4歳と0歳の男の子のママ。フリーアナウンサー。

「生きる力」のヒントが絵本には詰まっています

「絵本の読み聞かせで育つ力は、大きく3つある」と絵本専門士の近藤さん。

1つ目は「想像力」。絵をじっくり見ることで子どもたちはお話に没頭し、物語の世界を生きられます。2つ目は「コミュニケーション力」。親子でやりとりしながら絵本を楽しむことで、会話力が自然と育ちます。3つ目は「自己肯定感」。ママやパパが時間をかけて向き合ってくれることで「自分は愛されているな」と実感し、親子の絆も育まれます。これらは子どもたちが10年後・20年後の将来を生き抜くために必要とされる「生きる力」に直結するものです。

もちろん、文字に早く親しんだり知識が付いたりすることも絵本の魅力の一つですが、それはあくまで「副産物」。「でもママたちを見ていると、お勉強的な側面を重視するあまり、読み聞かせの時間がしんどくなっていないか、少し心配です」

無理せず楽しく!

絵本選びのプロセス

1.図書館で絵本を10冊借りてみる

まずは、値段も内容も気にせず手に取れる図書館へ。数冊は子どもに選ばせてみましょう。「文字が多くて読むのが大変そう」「内容が簡単過ぎる」など、子どもの選書へのマイナスワードは口に出さず、絵本を選ぶことが楽しいと思える雰囲気作りを。

2.もう一回借りたい本を聞く

返却期限が来たら「この中に、また読みたい本はあるかな?」と聞き、貸出予約が入っていなければ延長したり、もう一度借りたりしましょう。もう一度読みたい本を聞くことで、「動物が出てくる話が好きなのかな」「この作者の絵が好きなのかも」と、わが子の興味・関心が分かります。

3.何度も借りた本は購入する

繰り返し読み、物語の世界を旅して楽しんだ本の中には、子どもたちの居場所が出来上がっています。いつでも手に取れるよう書店で購入することをお勧めします。「自分だけのお気に入りの本」は、大きくなってからも子どもたちを支えてくれる宝物になります。

どれが「いい絵本」か知っているのは子ども自身

ママたちからよく聞くのは「ネットでレビューの高い絵本を買ったのに、うちの子は全く興味がないんです」というお悩み。情報があふれる現代では、どこかに「これを選べば正解」という絵本が存在するのではと思ってしまいがちですよね。しかしどの子にとっても「いい」絵本というものは存在しません。なぜならおままごとが好きな子、昆虫が好きな子、絵を眺めるのが好きな子というように、何に一番興味を持っているかはその子によって違うからです。

上にまとめたのは、近藤さんが4歳の息子の絵本を選ぶときのプロセス。「この方法は手間も時間もかかります。でも結果的にはわが子の興味を知る良い機会になり、お気に入りの一冊に出合える可能性も高くなります。図書館や書店に親しみを持つ意味でも、大切にしたい過程です」。

今のその子にとっての「いい絵本」は、子ども自身が知っているもの。親子で何度も読み返したくなる絵本に出合えることを願っています。

2020年度のあんふぁんは、「幼児期の子どもが“今持っている力“を見つけて育てることが将来を生き抜く力になる」と捉え、「見つけよう コドモノチカラ」をテーマにさまざまな情報を発信しています。

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