「乱暴な子」へのクレーム、先生や相手の親にどう伝えるのがいい?

たくさんの子どもたちが集団で過ごす幼稚園では、先生の見ていないところで友達とのトラブルがおきてしまうことがあります。お家で「また〇〇くんに叩かれた!」と話すことが続いたら心配になりますよね。
「乱暴な子」に困った時、先生や相手の親にどう伝えれば子どもを守ることができるのでしょうか。
今回は、問題解決に繋がる伝え方を、元幼稚園教諭としての視点からアドバイスをお伝えしたいと思います。

先生への伝え方は?

子どもがモヤモヤした思いを抱えて帰って来るということは、先生の気づいていないところでトラブルが起き、解決できないまま過ごしているということです。
そこで、先生に伝える時は「よく〇〇くんに叩かれています」と伝えるだけでなく、子どもに詳しく話を聞いて「具体的に伝える」ことで園での対応がしやすくなります。

■どんな時にトラブルが起きるか伝える

先生の視界に入りにくくなる外遊びの時間に起きるのか、集まりの時間そばにいる時に手を出されるのか、一緒の遊びをしている最中にケンカになっているのか…など、具体的にどんな時にトラブルが起きているのかを伝えましょう。
先生は大勢の子を受けもっているため、つきっきりでひとりの子を見て、目を離さないというのは難しいです。けれどポイントを絞って一定の時間、注意深く見守ることならできます。
誰とどんな状況でトラブルになっているかによっても園の対応は変わります。例えば年中の子が、年長の子数人に叩く蹴るなどの乱暴をされていることがわかった場合。これは見守ることではなく、すぐに止め、二度と同じことがおきないようにするべきことです。

■子どもの思いを伝える

そのトラブルに対して、子どもがどの程度悩んでいるのかを伝えましょう。
幼稚園としては、トラブルを知ってもすぐに先生が介入せず、まずは見守り、子ども同士で解決できるよう促すことが基本になります。
なぜなら、大人が頭ごなしに叱ることでは根本解決にならず、見ていないところで同じことを繰り返すからです。「乱暴な子」には、してはいけないことを伝えるとともに相手の気持ちに気づけるようなきっかけを作ります。やられてしまう子は、回避できるような行動がとれるようにしていきます。どちらもすぐに変わることはできないので、時間をかけていろいろな方法でアプローチをしていきます。
その場しのぎではない心の成長を促す指導を続けていくと、ケンカが絶えないクラスでも、3学期には落ち着いて仲良く過ごせるようになっていきます。

やられる側が深く悩んでいる場合は別
けれどすぐに止めるべき時もあります。それは、やられる側がそのこと深くに悩み、登園を嫌がったり、家で元気がなかったり夜泣きをしたりなど、明らかに情緒不安定になっている場合です。そこまでつらい思いをしているのであれば、前向きな気持ちを取り戻せるように一度守ってあげる必要があります。
園では元気に過ごしているように見えると、まずは見守るという対応をすることも多いです。家で深く悩んでいる様子があれば、それを伝えることで園での対応が変わる場合があります。

相手の親への伝え方は?

「相手の親に伝えて乱暴なことをやめてもらいたい!」と考えることもあるかと思います。わが子がこんなにもイヤな思いをしているのだから、相手の親にも自分の子の状況のことを知って受け止めてほしいと思いますよね。
けれど相手の親に直接伝えることで、解決につなげていくのは難しいと思います。
子どもはその場で叱られなければ理解しにくいこと、そして「乱暴な子」にもそうしてしまう理由があるからです。
言葉でうまく言えないから手が出てしまう、気持ちが不安定でイライラしてしまう、まわりの気を引きたい…など本人もいろいろと葛藤しています。そのため親から叱られたところですぐにやめることは少ないです。もし一時的にやめたとしても、イライラが募ってしまい状況がさらに悪化してしまうことも考えられます。

直接ではなく幼稚園に間に入ってもらいましょう
直接伝えることで親同士のトラブルに繋がってしまうこともあります。「子ども達が仲良くできるように一緒に考えよう」というスタンスで相談するのはいいかもしれませんが、それは相手の親との信頼関係ができている場合のみできることだと思います。
基本的には幼稚園に間に入ってもらい、相手の親と先生でその子に必要なアプローチを考えていく方がよい方向に進むと思います。

いろいろなタイプの子との関わりが成長のきっかけに

クラスに乱暴な子がいるととても心配ですよね。
しかし、その子と関わることで一時的にイヤな思いをしてしまったとしても、子どもの成長にとってプラスになることもあります。
自分と合わない子はクラスに必ずいるものです。その相手に言い返すのか、仲良くなれるように行動するのか、距離をとるのか、誰かに相談するのか…なんらかの行動をしてトラブルを回避していかなければなりません。子ども達はこの先、自分なりの方法で自分の居場所を見つけられるようになっていくことが必要です。
幼児期は大人が手厚く見守りながらコミュニケーションの練習ができる貴重な時期です。手厚く見守っていくために、親と先生が連携しておくことはとても大切です。ぜひ具体的な状況や子どもの思いを先生に伝えてくださいね。

大人は子どものSOSのサインを受け止め、時には先生と連携して守りながらも、最後は子ども自身が乗り越えていけるように見守っていけるといいですね。

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元幼稚園教諭、元保育士、9歳と6歳の兄妹のママ。のんびりタイプの私に対し活発過ぎるわが子たち。自分の時とはまったく違う景色の子ども時代を追体験しているようで、とても新鮮な毎日です! チャイルドコーチング、チャイルドカウンセラー、家族療法カウンセラーの資格取得。オンラインでの育児相談や子育てが楽しくなるイベントを開催しています。「気軽に話せるママ友みたいな専門家」が目標です♪ 詳細は下記のBLOGページでチェックしてくださいね!

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