小3息子の暴言に追いつめられています。どうしたらいいの?

小3息子の暴言に追いつめられています。どうしたらいいの?

「クソばばあ」「キモい」など暴言を吐く小3息子、どう対応したらいい?

小3の息子は、「クソばばあ」「キモい」「だから嫌われるんだよ」など激しい暴言を母親に向けてきます。本当に追いつめられ、頭がおかしくなりそうです。どう考え、どう対処したらいいですか?(母子)

暴言のうちに対処しましょう。危険な兆候です!

今まで心を砕いて育ててきたわが子に、こんな暴言を吐かれたとしたら、母親としてこれほど苦しいことはないと思います。想像しただけで胸が痛くなります。「どうしてこうなったのだろう?」「どこで間違ったのだろう」と考え、夜も眠れない日が続いているのではないでしょうか。子育てには、どんなに頑張っても報われないことがありますし、むしろ報われないことが多いのではないでしょうか。
それにしても、どうしてこんな暴言を吐くのでしょうか? それが不思議で仕方がありません。おそらく理由があるはずです。
まず考えられるのは発達障害の可能性です。児童・思春期における暴言・暴力は、「その行為・行動を行えば、相手や物を身体的、心理的に傷つけるとわかっているにもかかわらず、傷つけられることを望んでいない相手(物)に対して損傷を与える行為であり、行為を受けた者に恐怖や威圧、不快などの苦痛を感じさせる行為」を指します。(1)
発達障害の中には衝動性が高く、情動コントロールができにくいことがあります。こうした子どもたちは叱責されることが多く、自分を否定的にとらえ、二次的障害になることがあります。生まれついての障害を一次障害とすると、否定的な言葉を浴びせられることで、社会やまわりに対してマイナスの感情をもつようになることを二次障害といいます。
こうした発達障害の場合には、なるべく早く専門家にみてもらうことが必要です。そして必要な支援を考えていくことです。叱責され続け、自己肯定感をもちにくい彼らは他者の受け入れを気にし、相手を試すために暴言を吐いたり、暴力をふるうことがあります。どちらにしても、こうした暴言が起きていることは、危険な兆候であることは間違いありません。児童精神科や心療内科などを受診してみるとよいと思います。できるなら児童精神科が専門的ですので、地域の病院を探してみてください。

いじめの場合も考えましょう!

自分の気持ちをうまく表出できないため、暴力をふるってしまう場合は、クラスでいじめられている可能性が考えられます。いじめを受けると、自己否定感にとらわれ、自分の存在そのものすら否定するようになります。そうなると、自分を生んだ母親そのものを否定し、攻撃を向けていくようになります。いじめはとても怖いもので、子どもの心を蝕んでいきます。自分の生きている意味を失い、へたをすると自殺したくなるのです。むしろ「死ぬことだけ」を考えるようになるのです。「いじめぐらいで死ぬことはないだろう」とか、「いじめで死ぬのは弱いヤツだ」という人もいますが、いじめられているときはその状況から抜け出すことしか考えられなくなってしまうのです。もし、いじめが原因で暴言につながっているとするなら、大至急対応する必要があります。
ただ、「いじめられているの?」と聞いても、「いじめられている」と答えることは、まずないと思います。文房具がいつのまにかなくなっていたり、学校から帰ってきて不機嫌な顔をしていたり、洋服が不自然に汚れていたり、擦り傷が増えていたら、いじめられている可能性があります。そうしたときは、仲良くしているクラスのお母さんに聞いてみるのも手です。
そして、いじめられていることがわかったら、担任の先生に相談してみてください。相談するときには、「○月△日に、□□があった」などの記録をとったものを持参しましょう。先生の中には、クラスにいじめがあることをわかっていないことがあるからです。担任の先生に一度学校の様子を含め、話を聞いたり、相談してみてください。どちらのケースの場合にも、早めの対応が必要です。どちらのケースなのかを考えてみてもらいたいと思います。

子どもから理由を聞き、場合によっては毅然と対処しましょう!

ここでは発達障害といじめのケースについてお伝えしましたが、その他のケースがないわけではありません。子どもの思いとずれた対応をしている場合にも、こうした暴言を吐くケースがあります。子どもの本音を探ってみてください。
「どこがキモいのか教えてくれる?」「どうしてそんな言葉を言うのか、お母さんにはわからないの。何かイライラすることがあったの?」「お母さんの対応のどこがムカつくの?」と聞いてみてほしいと思います。それが、学校でちょっとイヤなことがあったことで暴言を吐いていたり、「なんとなくムカついたから」などの理由であったら、「そうした理由でお母さんに暴言を吐くのは許せない!」ときちんと伝えてください。間違った方法で自分のストレスを解消し続けると、誤学習(誤った学習)をすることになり、問題行動が固定化します。おかしいことは「おかしい」と伝えることも、子どもの成長には必要です。

(1)「子どもと若者のこころのケアと看護」 https://capsychnurs.jp/gl/qa/cq07/

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プロフィール

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増田修治先生

白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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