パパの時間と娘の時間をイーブンにしてみたら

パパの時間と娘の時間をイーブンにしてみたら

あんふぁんWebをご覧のみなさん、こんにちは! 子育てポータルサイト「パパしるべ」の編集長の杉山です。

“共働きの子育て家庭は忙しくて時間が足りない”という話はよく聞きますが、仕事をしているかどうかは別として、親になるとどうしても子どものことを優先させてしまうため、どんな親でも時間が足りないと感じていると思います。

犠牲にしてしまうのは?

特に犠牲にしてしまうのが「自分の時間」。
例えば、週末。パパやママは少しでもリラックスしたい。子どもたちはできるだけ遊びたい。この相反する親子の要望は、なかなか相まみえることはできません。しかし、多くのケースでは、子どもの遊ぶ時間に親が付き合うということになりがち。平日忙しくて親子の時間を充分に取れていないという人は特に、その時間を取り戻そうとしてしまうと思います。ついでに言うと、たまった家事もあります。結果的にパパもママも、自分のリラックスする時間を充分に取ることができないままに次の週へ突入。ああ、なんということでしょう。

確か長女が小学校の低学年だった頃、まさにそんな負のループに陥っていました。本業の放送作家という仕事は自分でスケジュールを組むことができるメリットがありますが、一方で、明確な「休日」というものがなくて、平日週末を問わずに仕事をする24時間営業でもあります。もう20年以上そんな生活なので慣れているといえばそうなのですが、ちょっと一休みと思ったときに娘の要望をかなえるミッションが降ってくることも少なくありません。それにできる限り応えているうちに疲れがたまっていました。

「オレのやりたいことにも付き合ってくれない?」

ある土曜日の朝のこと。
長女と朝ごはんを食べていると、またもそのミッションが降ってきました。「映画を観に行きたい」。当時彼女がハマっていた女の子たちが悪を倒す週末朝のアニメが映画化されたとあって、そりゃ観たいという気持ちはよーく分かります。でも、ここのところ毎週末のように長女の「行きたい」とか「やりたい」をやっていたし、仕事も忙しいタイミングだったのであまり気乗りしません。でも、娘というものがいつまでパパとおでかけしてくれるかわからない、なんてことを気にしていたその頃(結果的には18歳の今でも全然一緒に出かけるのですが)。ここはガマン…とは思うのですが、なかなか。
正直なところ、僕のホンネは「あー昼から飲みに行きたい」でした。
お酒を飲むことがストレス解消になるタイプなんです(苦笑)。中でも、仕事をしないと決めて昼から飲むお酒のおいしいことといったら!なんてことを考えていた訳です。しかし、そんな思いを飲み込んで、結局は長女を連れ立って映画館へ向かいました。
その道中、携帯で映画のことを調べていた時に目に入ってきたのが、上映時間71分。心の中では「おー、71分も付き合わないといけないのか…」と思ったのですが、ちょっとした妙案が浮かんで、長女にこう持ちかけてみたのです。
「君が観たい映画に71分付き合うから、オレのやりたいことにも71分付き合ってくれない?」


子どもの要望と親の要望をイーブンに

一瞬きょとんとした長女でしたが、すぐに「いいよ!」と色よい返事をいただきました。多分、その時はよく理解していなかったと思います。滞りなく映画を見終えた後、いつもならどーっと疲れが来るのに、その日は違いました。時刻は昼3時くらい(だったと思います)。これから長女と一緒に飲みに行くのです!!!そう思うとなんだか生き生きしてきます。その日は学生時代の仲間がやっている下町のおでん屋さんへ。いやーうまい!大満足!と、思ったら長女も隣で「これおいしい!」と大興奮。あれ?長女も大満足?まあそれはそれでいいことです。

結果、夕方早い時間にはご飯を終えて帰宅し、ひとっ風呂浴びてぐっすり。すごくいい時間でした。その時に気づいたんです。娘のやりたいことは大事だけど、自分のやりたいことも大事。どちらかの要望にばかり応えているとどこかで限界が来てしまうんだと。

子どもたちが笑っているためには、自分たち夫婦が笑っていることはとても大事だと考えています。そのためには、自分たちのメンテナンスも大事なんですよね。ただし、親の都合で進めすぎるのも良くない。偶然生まれたものですが、わが家では娘の要望と親の要望をイーブンにすることが基本となりました。娘にもそれをしっかりと伝えましたが、納得してくれました。なぜなら、彼女にとっては「パパやママのやりたいことに付き合ったら、自分のやりたいこともできる」ということになるからです。

「子どものことを人として尊重する」ことにつながる

そして、同じように決めたのは、親の「なんかイヤだからダメ」という伝家の宝刀的な断り文句を、子どもにも開放しました。親になると、子どもから何かを要望されたときに、うまく説明できないけどイヤ、ダメだと思って止めたりすることありますよね。自分が子どもの頃に親に言われた記憶もあります。でも、子どもにだって「うまく説明できないけどイヤ、ダメ」ということはあるはずです。というか自分が子どもの頃にありました。そんなときに必ず「なんでイヤなの?なんでダメなの?」と聞かれましたが、親に向かって「なんでイヤなの?なんでダメなの?」と聞くと、だいたい「なんでも!」とバッサリ切り捨てられました。その「なんでも!」というのを子どもが言ってもOKにしたのです。
「子どものこうしたい」と「親のこうしたい」。「子どものイヤ!」と「親のイヤ!」。
この二つを同じくらい大事にすることは、「子どものくせに」と「大人なんだから」という呪縛から解き放ってくれると感じています。そしてそれこそが、最近多くの人が言う「子どものことを人として尊重する」ということにつながる気がします。また、家族の中でそういう経験をすれば、きっと家族以外の人たちに対しても「尊重する」ということを大事にできるのではないかと思います。

と、それっぽいことを書きましたが、結局は自分が飲みに行きたいことをどうやったら正当化するか、というお話しだったのかもしれません。どうか今これを読んでいる皆さんも自分のやりたいことやリラックスできることを正当化できる言い訳を探してみてください。きっと穏やかに過ごせるはずです!たぶん!

教えてくれたのは

杉山錠士
1976年、千葉県生まれ。
兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。
18歳と10歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。
地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「主夫の友アワード」「娘のためのパパ家事スクール」「パパ家事サイエンス」「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、パパ向けスクール「スゴパパ工場」工場長。
■著書
*新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~(主婦の友インフォス情報社)
*急に「変われ」と言われても(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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