お疲れ気味の親子に。子どもへの関わり方と今読みたい癒やしの絵本
緊急事態宣言の解除から約2カ月、新しい生活様式での生活の疲れがそろそろ出てくる頃だと思います。疲れている自分を認めて、大人も子どももゆったりと過ごせるといいですね。今日は心を癒やす子どもとの関わり方と癒やしの図書を紹介します。
大人も、子どもも、お疲れ気味のこの頃です
新型コロナウイルス感染拡大による非常事態宣言が解除されてから約2カ月。みなさんもきっと新しい生活様式での疲れを実感されていることと思います。
一日中マスクを着用し、人との物理的な距離を保ち、場所によっては会話さえも遠慮するなど外出時には何かと気を使っています。
テレワークで外出を減らした人も、同僚との情報共有のやり方を試行錯誤するなど、誰もが未経験の事柄になんとか対応して生活しています。疲れていて当然です。
大人がこれほど疲れているのですから、子どもたちも同じように疲労しています。新型コロナに加えて、長雨で外で遊べないストレスもあります。
私は幼児保育施設に勤務していますので毎日子どもたちと接しているのですが、子どもの疲れを感じる機会が増えています。表面的には元気に過ごしているように見える子どもたちですが、行動をよく見るといつもと少し違う点があります。具体的には、こんなことです。
- イライラしやすい
- 所作が雑になる
- 集中力の低下
- 自分を見てほしがる…など
マスクをしていると相手に声が伝わりにくい(同時に聞き取りにくい)ため、いつもより大きな声で話すようになります。マスクはただでさえ息苦しいもの。無意識に必要最低限の言葉で話そうとするうち、言い方に乱暴になる場合があります。
所作が雑になったり、集中力が低下することも疲れていれば当然です。いつもはごく自然にできていることがうまくできない様子を見ると、大人は少なからずイライラしてしまうかもしれませんね。でも一番がっかりしているのは子どもです。
いつもは自分のペースでじっくりと活動している子が、やけに保育者の気を引きたがったり、見てほしいというサインを出すときは「こんな自分も認めて欲しい、味方でいてほしい」と思う気持ちの現れだと感じます。
子どもは(大人も然りですが)疲れを自覚していないことが多いです。今は通常よりも疲れていることを前提に、親子ともに生活を少しスローダウンするといいですね。
例えば、あえて何もしない日を意識的に作ってみるのはいかがでしょう。大人もイライラしがちなこの頃、子どもとの向き合い方を少しおさらいしてみましょう。
子どもの心の疲れを癒やす関わり方
「スペシャルタイム」を持つ
子どもは「自分だけを」見てほしいと思っています。兄弟・姉妹と「平等に」愛されるよりも、自分だけ「特別扱い」されることに満足します。
家族と協力して、週に1回でも、短時間だったとしても、親を独り占めできる「スペシャルタイム」を用意してみましょう。一旦満足すれば、しばらくは忍耐強くいられます。
気持ちをまるごと受け止める
「〜がいいと思ったんだね」「〜がしたかったのね」「〜が好きなのね」「〜が嫌だったのね」とありのままの気持ちを受け止めます。どんなときでも否定されず、認めてもらうことで子どもは安心して気持ちを表現できます。
それが理不尽なことだったり単なるワガママだったとしても、一旦は「そうか、あなたは〜だと思ったのね。よくわかったよ。」と子どもの気持ちを受け入れてください。
良くないことを言っている場合は、子どもも案外自覚しているものです。受け止めてもらったことで満足すれば、大人の言うことを素直に聞く準備ができます。子どもが落ち着いてから「でも私は〜だと思うな」と大人の気持ちを素直に伝えてみてはどうでしょうか。
静かに語りかける
子どもが興奮しているときや騒いでいるときには、ついついこちらも大声になってしまいますが、あえて静かに話してみるのはどうでしょう。
私はよく子どもたちと「静かに話すゲーム」をしています。「小さい声で話すから、よく聴いてね」と言ってから、あえてとても小さい声で話します。子どもたちは必死に聞き取ろうと、いつの間にか集中して耳をすまします。
どんどん声を小さくしていって、最後は聞こえるか聞こえないかぐらいのささやき声(無声化)になりますが、子どもたちは一層楽しそうに聴き、「…どう、聞こえた?(ささやき)」と聞くと「うん、聞こえたよ(ささやきで)」と答えてくれます。
音量を落とすことで心が落ち着き、子どもたちはとてもスッキリした表情になります。ソファやベッドでゆったりと落ち着きたいとき、寝る前の時間に取り入れると良いと思います。
優しく触れる
子どもは見る・触る・聴く・味わう・嗅ぐなどの感覚に対する刺激にとても敏感です。大人にくらべて言葉が未発達な分、感覚から多くの情報を得ています。
タッチケアが心の安定につながることは言うまでもないことですが、手のぬくもりや優しい手触り、マッサージなどが興奮を鎮め、リラックスの時間を作り出します。
無条件の愛情を
子どもが何か良いことをしたときだけ「お利口さんだね」「偉いね」「上手だね」と褒めることを「条件付きの愛情」と言います。子どもは一時的に喜びを得ますが、同時に「良い子でいないと愛されない」ということを学ばせることになります。
特に何もなくても「今日も〜くんが元気でうれしいよ」「大好きだよ」と伝えてみましょう。子どもの気持ちが安定し、自分に自信を持てます。
疲れに効く。優しい気持ちになれるオススメ図書
子ども向け
- 「よるくま」
酒井 駒子(著)/偕成社
「ママあのね・・・きのうのよるね」 ベッドに入ったぼくが話しはじめる。それは昨日の夜、ぼくのところにやってきたくまの子のこと。ぼくはいなくなってしまったくまのお母さんを探しに出かける。ママとぼくの会話でストーリが展開するとても親しみやすい本です。「よるくま」が最高に可愛くて、何度もくりかえして読み返したくなります。Amazon.co.jp 詳細ページ
- 「ライオンをかくすには」
ヘレン スティーヴンズ(著),Helen Stephens(原著),さくま ゆみこ(翻訳)/ブロンズ新社
突然街にやってきたライオンを、小さな女の子アイリスは自分の家にかくまうことにしました。おとうさんやおかあさんに見つからないように、アイリスはどうやってライオンを隠しておくのでしょうか。優しいアイリスの奮闘をついつい応援してしまいます。Amazon.co.jp 詳細ページ
- 「おやすみなさいフランシス」
ラッセル・ホーバン(著),ガース・ウイリアムズ(イラスト), まつおか きょうこ(翻訳)/福音館書店
そろそろ眠る時間、ベッドに入ったフランシスですがなかなか眠くなりません。居間でお茶を飲みながらケーキを食べている両親が羨ましくて、「寝室に何か怖いものがいる」と理由をつけて起きてきます。そんなフランシスに根気よく接するお父さんのと優しいやりとりについ微笑んでしまいます。Amazon.co.jp 詳細ページ
大人向け
- 「センス・オブ・ワンダー」
レイチェル カーソン(著),上遠 恵子(翻訳)/新潮社
著者が毎年、夏の数ヶ月を過ごしたメーン州の美しい海岸と森を舞台に展開される物語。まだ幼い甥のロジャーと一緒に雨の中を海岸まで出かけ、コケの感触を楽しみ、星空を眺め、鳥の声や風の音を聴きます。満月の夜、じっと静かに夜空を眺めながら「ここに来てよかった」としみじみとつぶやくロジャー。美しい自然と幼い子供との神秘的な交流が詩的な美しい文章で語られています。本文中に使われている写真もとても美しく、幼い自分の感性を思い返し、心が優しく洗われる本です。Amazon.co.jp 詳細ページ
- 「星の王子さま」
サン=テグジュペリ(著),Antoine de Saint‐Exup´ery(原著), 河野 万里子(翻訳)/新潮社
砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった…。子供向けの絵本と思いきや、深く、哲学的な内容はむしろ大人向けであると思います。やや難解で哲学的なストーリーとも取れる内容ですが、「いちばんたいせつなことは、目に見えない」と言う不変のメッセージを伝えてくれます。Amazon.co.jp 詳細ページ
疲れているときに無理は禁物です。「ああ、いまは疲れているな」と自分の体と会話をしながら、ゆっくりとお過ごしください。