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子ども×生き物=? 生き物愛を育てよう
飼育を通して、命を学ぶ 家族とペットが幸せに暮らすことで 子どもは大きく成長する
在宅時間が長かったコロナ禍を経て、ペットを飼う家庭が増えたといわれています。ペットの飼育は、子どもの発達に良いと耳にすることもありますが、心配な点もありますよね。
日本獣医生命科学大学教授の濱野佐代子さんに、子どもと一緒にペットを育てるメリットや飼う前に考えるきこと、実際に飼育する時の注意点などを教えてもらいました。
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日本獣医生命科学大学教授。博士(心理学)。獣医師、公認心理師、臨床心理士。
発達心理学や人と動物の関係学が専門で、アニマルセラピーやペットロスなどを研究。著書に「人とペットの心理学」(北大路書房)、「新 乳幼児発達心理学〔第2版〕」(分担執筆、福村出版)などがある。
ただ“飼う”のではなく 愛情のある関係が大切
ペットのいる生活は、子どもの発達にさまざまな良い影響を与えますが、ただ飼えばよいのではなく、愛情や信頼のある関係性が必要です。年齢に合った範囲で、お世話を手伝うことで責任感が養われたり、言葉の通じないペットの様子を毎日見ることで、観察力が磨かれたり…。
相手の気持ちを推し量る力や、自分より弱いものを守ろうとする力も育まれます。また、ペットを抱っこしたり、なでたりすると、癒やしの効果も。ペットから受ける無条件の愛情は、子どもの心のよりどころになってくれるかもしれません。さらにペットには、人と人をつなぐ力があります。家族の絆が強くなったり、ペットを介して近所付き合いが生まれたり、結果的に子どもの心の発達に良い生活環境になるのです。
子どもとペットが良い関係を築くには、大人の関わり方が大切です。子どもは親の行動をよく見ていますから、乱暴に扱わないのはもちろん、しっかりと動物の生態を学び、愛情を持って飼育しましょう。そうすれば、子どもはお手本にしてペットをかわいがるのではないでしょうか。
最期まで大切に飼えるか 家族みんなで話し合いを
ぺットを家に迎えるには、事前の準備が重要です。どんな生き物で、どんな世話や飼育環境が必要になるのか、最期まで大切に飼えるのか…、家族でよく話し合ってください。
未就学の子どもにとって「死」をすぐに理解することは難しいと思いますが、もし途中で捨ててしまったらペットは生きていけないこと、たった一つの命であることなどをお話してみてください。
子どもが「飼いたい」と言っても、お世話の最終的な責任はパパ、ママにあります。子どもの希望や飼いやすさだけで選ばずに、家族みんなが納得し、飼育に責任を持てるペットを選びましょう。大好きなペットとの毎日は、かけがえのない時間になると思います。
子どもと楽しく安全に ペットを飼うために
飼育中のトラブルや事故を未然に防ぎ、子どももペットも家族の一員として楽しく安全に暮らすためのポイントを濱野さんに聞きました。
Point1| 子どもと一緒に生き物の習性を理解しよう
子どもの動物との接し方にヒヤリとすることもありますよね。
生き物によって、喜ぶこと、嫌がることは違います。まずは大人が学び、「急に手を出さないで」、「触ったら手を洗おう」などと、子どもに伝えましょう。
もし関わりが難しい場合は、無理に仲良くさせるのではなく、時間をかけて見守りを。餌やりなどを子どもに手伝ってもらい、ペットにとってうれしい時間を一緒に過ごすのはおすすめです。動物についての情報収集は、信頼のおける情報源かを確認しましょう。
Point2 | できる範囲で子どもに手伝ってもらおう
餌を準備したり、掃除をしたり、大人と一緒に犬の散歩をしたり、子どもがペットの世話に参加できると、「できた!」という達成感ややりがいにつながります。
小さい頃からその年齢にできる範囲で関わっていくと、成長と共にできる世話が増えていくでしょう。ただし注意したいのは、子どもとペットだけにしないこと。
かまれるなど万が一の事故を防ぐために、世話する時や触れ合う時は、必ず大人が見守りましょう。
Point3 | ペットが亡くなったら、子どもに寄り添って
子どもの年齢にもよりますが、「自分のせいで死んじゃった」などと死因と関係なく自分を責めることがあります。
亡くなったことを隠さず、配慮しつつ子どもの分かる範囲で死因などの事実を説明してあげましょう。また、大人が子どもと一緒に悲しむことも重要です。
埋葬する、葬式をするなど、各家庭の希望に沿った方法で弔い、「さようなら」をする機会を作りましょう。
未就学児が死を理解することはまだ難しいとする研究もありますが、感じ取ることはできます。ペットの死に遭遇し、悲しみ、乗り越える経験が、命の大切さを実感するきっかけになることでしょう。
大切に飼うために知っておきたい 犬&猫の年間飼育費用(目安)
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● 食費(おやつ・サプリメント含む) 7万7086円
● 病院代(治療費、ワクチンなど) 10万1521円
● そのほか(トリミング料、日用品など) 17万8746円
合計 35万7353円/年
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● 食費(おやつ・サプリメント含む) 5万2203円
● 病院代(治療費、ワクチンなど) 4万4642円
● そのほか(トリミング料、日用品など) 6万3921円
合計 16万766円/年
出典:アニコム損害保険株式会社「2022年ペットにかける年間支出調査