「子どもが頑張ったらご褒美」制度。アメリカでは意外とスタンダード!
「子どもをご褒美で釣るのは悪い」「ご褒美を与えて勉強させるのは良くない」「お金がご褒美だなんて、なおさら良くない」って聞くけど、それって本当!? アメリカでは意外と当たり前!子どもたちが通う、アメリカの公立学校の事例を紹介します。
「頑張ったらご褒美」は、アメリカでは意外とスタンダード
子どもたちの通うアメリカ公立小学校では、先生ごとのやり方で「頑張ったご褒美」制度を取り入れています。
昔ながらのよくある方法が、子どもたちが善い行いをしたり、テストでがんばって良い点数を取ったりしたら、“ご褒美としてキャンディーやチョコレートをひとつあげる”というもの。2年生くらいになると、「ポイント制度」や「バーチャルマネー」を取り入れる先生もいます。
クラス内バーチャルマネー制度とは、「やるべきこと(クラス内で決められた仕事)をきちんと対応するとお金が入り、やるべきでないことをするとお金が減っていく」という、バーチャルなマネーを使ったご褒美制度。
毎週金曜日には、子どもたちは教室で使っている机の使用料や税金などを払います。そして、それまでにお金が貯まっていれば買い物もできます。これが実際に教室の壁に貼られているリストで、どんな仕事をしたらいくらもらえるかが書かれています。
クラス内の仕事以外で「報酬」を得られる内容と金額はこちら。
そして、「罰金」が発生するのはこんなとき。
稼いだお金で買える「ご褒美」は、「友だちと一緒に座れる権利」などかわいいものもあれば、「テストの点数を5点追加できる権利」というものまであります。
ある日、娘が「お金を貯めて、ご褒美を買ったんだ!」と嬉しそうに話してくれました。娘が選んだご褒美は、「他のクラスに行って、本の読み聞かせができる権利」。娘はこの権利を使って低学年のクラスに行き、子どもたちと先生の前で絵本の読み聞かせをしてきました。
そうなんです、それが子どもにとってご褒美だったのです。Win-Winな発想ですよね!この活動、一つひとつコツコツと毎日すべきことをすれば、きちんと蓄積されていくという、
成果が可視化される取り組み
のようにも思えました。そして、「何で宿題をしなきゃいけないの?」と子どもに聞かれて答えるどんな説明よりも、子どもにとっては明瞭で説得力がある体験だと思いました。
他にもいろいろなご褒美制度があります
リーディングログ(Reading Log)
1カ月20冊以上の本を読んでリーディングログ(Reading Log)、つまり“読書記録をつけましょう”というもの。本は読んでもらっても、自分で読んでもOK。そして、目標の20冊を達成すると「よく頑張りましたね」ということで、ピザハットのピザ無料券などのご褒美がもらえます。
皆勤賞
毎日がんばって学校に行った、皆勤のご褒美はピザの無料券がもらえます。
成績優秀で賞
四半期ごとの成績が良かった生徒には、レストランの食事券がもらえます。
善い行いをしたで賞
静かに先生の話を聞く、宿題をきちんとやってくる、困っているお友だちを助ける、などの「善い行い」をすると、クリップ・チャートで記録され、一番上までクリップが到達すると、ご褒美としてこのトレジャーボックスから好きなものを選んで持って帰ることができます。
積極的に学校行事に参加したで賞
積極的に学校行事に参加すると、「ホームワークパス」という、“1回分の宿題をしなくてもよい”というチケットを貰えます。
公立図書館でも地元企業協賛でのご褒美制度
図書館では夏休み特別企画として、本を読んでリーディングログ、つまり読書記録をつける取り組みがあります。ゴールは「読書時間12時間」、または「本48冊」のどちらか。自分で読んだ本、読み聞かせで読んでもらった本、それから、オーディオブックでもOKです。
子どもたちがもらえるご褒美は、
- 図書館からのご褒美:メダル
- スポンサー企業タコベルからのご褒美:ビーフタコかビーンブリトー無料券1枚
- スポンサー企業ミシュランからのご褒美:地元プロ野球チームの観戦チケット1枚(試合前のパレードに参加したりTシャツをもらえる特典付き)
子どもたちが本を読むことを、地域企業も協賛という形で応援してくれているという、とっても素敵な発見がありました。
わが家では「頑張ったご褒美にお小遣い」制度を導入
わが家ではテストで満点を取ったら、100セント=1ドルのご褒美をあげています。「お金は数字、つまり、算数でもある。それから、経済になくてはならないもの」という考え方からです。
「子どもをご褒美で釣るのは悪い」「ご褒美を与えて勉強させるのは良くない」「お金がご褒美だなんて、なおさら良くない」などの話や文献は、日本ではよく耳にします。
でも、たいていの場合は「お金とは何か?」という定義がはっきりされていなかったり、そういう話や文章の文脈などから読み取れるのは「お金=悪」「お金に焦点をあてること=悪いこと」のようなイメージ。
しかし、アメリカの教育現場の様子を見て、「それは本当?」という思いを、次第に強く持つようになりました。
「頑張ったご褒美にお小遣い」制度での親子の気づき
子どもたちは、「ご褒美でお金をもらって嬉しい。」というのと同時に、「お金を手にすることって大変なんだな。」ということを子どもなりに身をもって学んでいます。この制度を通して、自分で努力して得たお金だからこそ、無駄遣いしないで大切に使う工夫を自分自身で考えるようになったように思います。
就学前の息子が自分で得たお金を計算して、お店でおもちゃを買おうとしたらレジで税金が加算され、手元のお金では足りなくて半泣きになったこともありました。
そのとき初めて、子どもたちは世の中には「税金」というものがあることを知り、親の私たちも「税金」とはなにか、子どもたちに話をする機会を持つことができました。
だから、「ご褒美がお金であることは必ずしもダメなことではないのでは?」「次への学びにつながっていく貴重な機会にもなるのでは?」と思います。
頑張ったらご褒美をもらうメリットを考えてみた
「ご褒美がなければ、頑張れない人間になってしまう。」という意見もあるのも事実です。でも、小さいときにご褒美をもらったときの感覚を覚えておけば、大きくなるにしたがって、
ご褒美を自分で見つけられる人間になれる
と思うのです。つまり、自分がやりたいことは「これなんだ!」とわかる感覚を、身につけていけるようになるのではないかと思うのです。
まとめ
私が小さかったときは、「根性だ!気合だ!」と小学校の担任の先生が事あるごとに子どもたちに言い、時には平手で顔を叩かれたり、木の1メートル定規でお尻を叩かれたりも。
でも、「そのやり方では通用しないのではないか?」という思いが大人になって親になった今、感じます。「怒られながらがんばる」「根性でやれ!と言われてやる」というやり方は、子どものやる気ベクトルはプラス方向に向くことはない気がします。子どもたちを通じてアメリカの教育現場から学んだのは、
何が良いやり方なのかは、それぞれの立場・環境・時代・子どもによって大きく変わると言うこと
それから、情報にあふれ、変化の多い時代に育つ子どもたちが、
将来、「自分で考える力」「自分で見つける力」をつけていけるよう導いてあげることは、机上の勉強と同じくらい大事なこと
と思う今日この頃なのであります。