子ども同士のケンカ「ごめんなさい」を言わせて終わるより大切なこと
公園や児童館などの子どもが集まる場所に行くと、起こりがちな子ども同士のケンカ。その時によく見かけるのは、すぐにママが仲裁に入り、自分の子どもに「ごめんなさい」と言わせて解決する姿。
元保育士の私としては、「ああ~!もったいない!」と思ってしまいます。
ケンカは子どもにとって成長のチャンスなのです。
そこで今回は、保育の現場でやっている、子ども同士のケンカの時、「ごめんなさい」を言わせるより大切なことをお伝えします。
ケンカは成長のチャンス
ケンカは、人に思いを伝えた結果、ぶつかってしまうから起こります。思いを伝えることは、人と関わっていく中で必要なことですよね。
たくさんケンカをすることで、ぶつかった時どのように解決するか、引き出しがどんどん増えていくのです。また、どんな伝え方をすればケンカにならないかということも、少しずつ学んでいきます。
ケンカをして仲直りする経験を積み重ねていくと、コミュニケーションが上手になり、人と関わることが好きになります。
そのため保育の現場で先生は、ケンカは成長の機会ととらえて対応しています。
子どもの気持ちを代弁しよう
まだ言葉の話せない年齢の子どもは相手を叩いたり、大声をあげたりしてケンカになることが多々あります。
物の取り合い、自分の行きたい所にいたからなど、大人にとっては些細なことでも、子どもにとっては大きなこと。
うまく言葉にできないためケンカに発展します。その時になにより大切なのは、大人が子どもの気持ちを代弁することなのです。
オモチャの取り合いでケンカになり叩いてしまった場合、「これが欲しかったのね」「ひっぱられて嫌だったね」など、まずは子どもの気持ちを汲み取り代弁します。
子どもは、気持ちを理解してもらえて落ち着くとともに、自分の気持ちを伝える言葉を知ることができます。
その上で「次は、貸してって言ってみよう」など方法を伝えるとよいです。
代弁することをせず、「叩いてはダメ」と教えたり、「ごめんね」を言うことだけを教えても、子どもは解決方法を学べず、同じことを繰り返してしまいます。
自分たちで仲直りできるようにしよう
言葉が話せる年齢になったら、ケンカになった時、なるべく自分たちで仲直りするようにサポートしてあげましょう。
言葉で相手に気持ちが伝えられるようになっても、やりたい事が一緒で「これぼくの!」「わたしが先!」とケンカになることがあります。
このようなケンカは、ケガに繋がらないように気をつけながら見守りましょう。ケンカをしながら、言葉で相手を説得したり、お互いに納得する方法を考えたりと、たくさんのことを学びます。
子どもだけでは解決方法が見つからない時は、大人の出番。「順番にするのはどう?」「〇分になったら交代は?」など提案してあげましょう。ケンカがヒートアップして泣いたり暴れたりしてしまう時には、「いやだったね」と共感して、気持ちを整理してあげると落ち着きます。
平等だけが解決策じゃない
子どもたちが話し合ってお互い納得した方法は、大人から見ると平等でないことは多々あります。
例えば、2人の子どもが10個のカラーボールのオモチャを取り合ってケンカをして、最終的に1人の子は8個。もう1人は2個になったとします。
大人は半分の5個ずつ分けたくなってしまいますが、子どもが納得しているならば、口出しは不要です。カラーボールの数が少なくても「赤いボールさえもらえれば、2つでもいい」と取り引きをしていたりします。
今回は相手に多くゆずると自分で決めた場合もあるでしょう。自分の欲求と相手の欲求の折り合いをつけて納得しているのです。
またお互いすごく怒っていたのに、いつのまにかその内容を忘れて、ケロっと仲直りしていることもありますよね。特に問題解決しているように見えなくても、ケンカした相手とまた笑いあえるのも、とてもよい経験。
ケンカの際大切なのは、「ごめんなさい」を言って終わりにしたり、平等に解決することではなく、お互いが納得することです。
子どものケンカ、前向きに見守ろう
子ども同士のケンカの時に大人がすべきことは、子どもの気持ちを代弁すること、また子ども同士で仲直りできるよう見守りサポートすること。
私は、保育士として勤務をしている時もそうでしたが、今はわが子が友達とケンカを始めると、「がんばれ、がんばれ」と思いながら見守っています。相手の子にケガをさせないか神経をつかうこともありますが、ママの出番は最小限に。
そして仲直りのあとには「よく言えたね」「いい考えだね」と、どちらの子も誉めることも。「ごめんなさい」の言葉は、悪かったと思った時には、自分から心を込めて言えると理想だなと思っています。
ケンカはお互いにとって成長につながる経験になるので、すぐに止めてしまうのはもったいない!
これからも前向きに柔軟に見守っていきたいと思います。