「運動会・発表会がイヤ」行事が苦手な子のやる気を引き出す対応は

「運動会・発表会がイヤ」行事が苦手な子のやる気を引き出す対応は

運動会や発表会などが近づくと、「イヤだなあ」「やりたくない」と言い出す子がいます。園での大きな行事、親としては楽しんで参加してほしいと思いますよね。
今回は私が幼稚園教諭だった頃の経験から、運動会・発表会が苦手な子のやる気を引き出す親の対応についてお伝えします。

運動会や発表会前の幼稚園の雰囲気は?

ところでみなさんは、大きな行事の前の幼稚園の雰囲気を想像できますか?
園によって違いがありますが、この時期、行事に力を入れている幼稚園では、連日練習に時間を使うようになります。先生たちは子どもが楽しみながら参加できるように、さまざまな工夫をしながら進めていきます。
行事を楽しみにできるよう盛り上げたり、練習にちょっとしたゲームを取り入れたり、練習の合間に外遊びを挟み、発散する時間を作ったり、他のクラスや学年の競技や出し物を見せてやる気を引き出したり…。当日まで集中力が途切れることのないよう計画をしていきます。みんなで力を合わせて、目標に向けて一生懸命に取り組むことは、とてもよい経験になりますよね。

自由な遊びの時間が少なくなって
でもクラスや学年の目標に向かって一丸となって動いているときというのは、子どもの自由な発想や自主性はいつもより発揮されない時間が続きます。子どもの元気の源は自由な発想や遊びなので、それができないとどうしてもストレスがたまりがちに。
また先生たちは子ども達をまとめようという思いから、いつもより厳しい声掛けになってしまうこともあります。
さらに、練習で「言われた通りにうまくやらなければ」という緊張の時間が続くと疲れが出てきてしまうのです。

■行事練習が負担に感じるタイプの子もいる
特に「人前で発表すること」にまだ興味のない子は、練習に前向きになれない場合が多いです。また自分のやりたいことがはっきりしたタイプの子は、一斉活動の時間が長いと苦痛に感じやすいです。そのような子たちは普段の自由な場面ではすごく積極的に行動し活躍していたりするのですが、行事の練習期間は様子が違うことがあります。

子どもの「やりたくない気持ち」を認めてあげて

それでは、緊張の時間が増え、疲れた子ども達に、親としてできることはなんでしょう。私の経験から子ども達にしてほしいことをお伝えします。

やる気が出ない子に励ましの言葉はNG!?
やる気のないわが子に対し「運動会、ママも楽しみにしてるね!」「がんばればきっと上手になるよ!」と励ますママやパパは多いと思います。このような声掛けでママやパパが楽しみにしてくれていると知り、やる気がでればいいのですが…。
実はその行事の楽しさや行う意味などの動機づけは、すでに園でも行っています。先生たちも日々たくさん励ましたり誉めたりしているのです。それでもどうしてもやる気がでない…実はそんな自分に本人が一番困っている状態だと思います。

■共感と労いの言葉をかけてあげよう
そこでママやパパには、「そっか、やりたくないか」と、まずその子の気持ちを受け止めてあげてほしいのです。
さらにイヤだと思う原因を聞いて、「うんうん、それはイヤだよね」と共感。そして「イヤでも、毎日幼稚園で練習してすごいと思うよ」と労ってあげましょう。
まわりの「一生懸命やって当たり前」という雰囲気に疲れがでている子どもにとっては、「ママやパパだけは自分の気持ちを認めてくれている」と思えることでとても安心します。きっと「もう少し頑張ってみようかな」と気力が戻るはず。

■先生に子どもの状況を相談してみて
共感したりイヤだと思う原因を聞いてみて、どうしてもつらそうだな…と感じた時は遠慮せず先生に相談してくださいね。
園ではガマンして取り組んでいても、自宅で本音を話すこともあります。子どもの本音を知ることで、園でもその子が前向きになれるような対応を考えることができます。
例えばお遊戯の時、前の方で踊るのは不安だけれど、後ろの方ならみんなの様子を見ながら安心して踊れるということもあるかもしれません。
踊ること自体どうしてもイヤという子には「まずはみんなの様子を見ているだけでも大丈夫」というように、一度目標を下げてあげることも子どもの安心に繋がります。

ご褒美でやる気を出すのダメなこと?

やる気が出ないわが子に、「行事をがんばったら〇〇を買ってあげる」という約束をするのは即効性がありそうな方法ですよね。
けれど「ご褒美がなければがんばらない子になってしまうから、ご褒美はよくない」という考えもあります。確かに行事があるごとにご褒美をあたえていては、本来の目的に対する達成感を味わうことができなくなってしまうでしょう。
でも私は、場合によってはご褒美を与える時があってもいいのではと思っています。
ご褒美が目標になってがんばれることも
どうしても運動が苦手な子もいますし、ダンスが大嫌いな子もいます。現時点では「人前で発表すること」がどうしても楽しめない子もいるでしょう。その子たちにとっては、「今回の行事に関してはご褒美が目標になってがんばれる」ということもあると思います。
ご褒美めあてでも、参加している中で少しでも運動やダンスなどの活動自体にも興味をもったり楽しさを見いだせたらいいですよね。
幼稚園でも、運動会ではメダルやトロフィーなどの賞品を用意しています。私の勤務先では、先生が子ども達のがんばりを称えながらひとりひとりに手渡していました。本番までの子ども達の成長に感動し、ついウルウルしながら…。
そちらも楽しみにしていてくれると、先生としてはとても嬉しいです!
■体調管理も忘れずに!
あと、忘れてはいけないのが、体調管理です。子どもは疲れが気持ちにとても影響するので、しっかり休むことで情緒が安定し前向きになることもあります。行事前の子ども達は疲れがたまっています。練習が続く日の降園後はゆっくり過ごし、週末のお出かけもほどほどにするのがいいと思います。

終わった後はたくさんほめてあげよう

毎日の練習や心の葛藤を繰り返しながら迎えた運動会や発表会の当日。本番を終えたら、ぜひたくさんほめてあげてください。
「うちの子は特に活躍しなかった」と思ってしまうパパやママもいるかもしれません。けれどそう感じるのは、まわりと比べているからだと思います。
もし「やりたくない!」と言っていた子が、当日なんとか運動場やステージに立ち、泣きそうな顔になりながらも参加していたとしたら、まずはそこに立てたことがすごいこと。大きな成長です!
「よくがんばったね!嬉しかったよ!」と盛大にほめてあげてほしいと思います。参加できたということが自信になり、ママやパパを喜ばせることができたということ分かれば、次の行事では少しやる気がアップするはずです。

いろいろな子がいる中、大きな行事はひとりひとりにとっての成長の機会になっていきます。まわりと比べてどうだったかということではなく、ひとつの行事を通してのその子自身の変化を見つけてほめてあげてくださいね。
小学校、中学校…と行事への参加は続きます。幼児期に行事で、まわりより優れていることや目立つ活躍があることをゴールと考えると、子どもも親も行事がストレスやプレッシャーになるかもしれません。大切なのは、行事を経験していく中で「みんなで協力するって楽しい!」という思いや「人前で発表する達成感」を少しずつ知っていくこと。幼稚園時代の行事でそれらを体感し、積み重ねていくことがその後の成長に繋がっていくと思います。

ライター

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&あんふぁん編集部 &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

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