歩くのが遅く、登校班に迷惑をかけている小1の息子。どう働きかけたらいいの?

困ったら増田先生に聞いてみよう!放課後相談室

Q.小1の息子は歩くのが遅いので、登校班に迷惑をかけているようです。ひとりで登校させるか悩んでいます。どうしたらいいですか?

小1の息子は何事もはじめるまでにダラダラして、スイッチが入るのが遅く、かつ次の行動へ移るのも遅いです。歩くのも遅いので、集団登校で登校班の子に迷惑をかけているようです。ひとりで登校させたほうがいいかなと悩んでいます。担任に相談したところ「ひとりが集団登校しないことを許すと、みんなそうなってしまうし、せめて低学年のうちは集団で登校してほしい」と言われました。また「ほかの子に遅れを取っていないか確認するために、お母さんも一緒に登校してほしい」とも言われています。ただ歩くのが遅いだけなのですが、もっと早く歩く、または準備をするための声かけ、やる気になる働きかけを教えてください(ちーかま)

A.わが子だけが悪いと言えない場合がある

歩くのが遅いとのことですが、どのくらい遅いのでしょう。みんなと一緒に歩いているときに、ほかのことに気を取られてしまうタイプということはないでしょうか。もしそうなら、気の散りやすさを変えていく必要があると思います。

併せて気をつけなくてはいけないのが、お子さんだけが悪いとは限らないということです。低学年の保護者は登校班のことで悩んでいることが多いのです。

登校班の班長さんが、どんどん早く歩いていってしまって、低学年の子がついていけなかったり、置いてきぼりにされてしまうことは、よくあることです。また1年生は先頭の班長さんのすぐうしろに並ぶことが多いのですが、そのときに、世話好きの班長さんの場合はよいのですが、そうでない場合はちょっと大変になります。

例えば6年生の子どもが班長さんだったときに、登校途中で同じクラスや、仲のよい友達を見つけると、そちらへ行ってしまったり、そちらのペースに合わせるために、自分の班のペースをあげてしまったりすることがあります。

そうした意味で、わが子だけが悪いのかを見極めることも必要です。もし面倒をあまり見てくれない班長さんだった場合には、学校の先生に伝えて、指導してもらう必要があります。

ペースを上げる練習を
班や班長さんに責任がなく、わが子のペース自体が遅いという場合はペースを早くする練習をしていく必要があります。しかし「早くしろ」と言ったからといって、早くなるものではありません。「早くするというのはどういうことか」を具体的に教えていくことが必要です。

まずは一緒に散歩しましょう。そのときは、お子さんのペースで一緒に歩いてあげましょう。そして「ここに花があるね。キレイだね」などと言いながら、歩くことを楽しむことを大事にしてください。ペースの遅い子は、大抵歩くこと自体が好きでなかったり、苦手だったりすることが多いので、まずは歩くことを好きにさせていくことが大切です。

次に「あっ、あそこに○○がある。一緒に見に行こう」などと言って、ちょっと走りを入れてみてください。そうした経験から、急ぐことを経験させていってもらいたいと思います。

その次に、ちょっとペースを上げて「目標のあそこまで5分で歩いてみよう」と言いながら、わが子にとってちょっと早めのペースで、一緒に歩く練習をしてみるといいと思います。

大事なことは、子どもの欠点を早急に直そうとしたり、特訓主義にならないことです。子どもは余計に歩くことが嫌いになってしまいます。

徒歩遠足をしてみよう
最近は、自動車で移動することが多くなっているので、子ども達全体が歩くことを面倒くさがる傾向が見られます。

あてもなく子どもと一緒にブラブラ歩いてみてください。そうした時間が、今の子どもには必要なのです。がんばっていろいろな所に出かけるよりも、ゆったりした時間・家族の時間をもつことが、どれだけ子どもの情緒を育てるかを想像してみてほしいのです。

また「今日は○○まで家族で徒歩遠足しよう!」などと、イベントにしてみてもいいと思います。がんばって歩いたあとに、家族みんなで楽しくサンドイッチを食べるなんて、最高だと思いませんか? ご褒美は家族みんなの笑顔と、おいしい空気、ちょっとした食べ物、それで十分なのです。

欠点だと思えることを、ちょっと発想を変えて、家族みんなのプラスに転化していくことが、子育てには大切です。特にコロナ禍で子どものうつ症状が問題になっています。原っぱなどの広い空間なら、感染症の心配をしなくてもよいのですから、うつ症状の改善にも役立ちます。マイナスをプラスに変える。この発想がこれからの時代には必要なのです。

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増田修治先生
増田修治先生 あんふぁんサポーター
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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