「いじめ」は犯罪、警察へ通報できる!子どもを守るために知っておくこと

「いじめ」は犯罪、警察へ通報できる!子どもを守るために知っておくこと

「いじめ」に関するニュースに胸を痛めている保護者は多いと思います。被害者が受けた内容を聞いて「これは犯罪じゃないの?」と思うことはありませんか? そして、もし自分の子どもが悪質な「いじめ」を受けていると知った時どうすればよいのか、子どもを守るためにきちんと対処できるのか心配になることもあるでしょう。
今回は小学校の通常級担任や特別支援教育コーディネーターとして活動した経験から、詳しくお伝えします。

このニュースを知っていますか

「重大ないじめの際には、学校は速やかに警察へ相談・通報すること」というお知らせが、2023年2月に文部科学省から出されました(「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について」)。内容は学校へ向けて出されたもので、簡単にまとめると「学校でのいじめが犯罪行為にあたる場合、先生たちは即警察に通報してください。ためらってはいけませんよ」という内容です。
当日の大臣記者会見でも一番最初に話題に上げられており、非常に重要視されています。詳しく見ると、こんな内容が書かれていました。

・児童生徒の命や安全を守ることを最優先にし、ためらわないこと
・犯罪行為として扱われるべきいじめは、直ちに警察へ相談・通報すること
・警察との日常的な連携を強化すること
・いじめの被害者、加害者それぞれに対して、指導・支援を強化していくこと
・いじめ防止対策を保護者・学校それぞれの立場から進めること

これまでのいじめ対応の中で、多くの学校が「できていなかった」ための通知である、とも書かれています。被害者の心身の傷を思うと遅すぎる状態ですが、今後ぜひ改善してほしいところです。

犯罪にあたるいじめの例

文科省から出された文書では、具体的に犯罪としてあつかうべき例についても紹介されています。資料にある「警察に相談又は通報すべきいじめの事例」から一部を抜粋して紹介します。太字になっている部分が犯罪としての分類になります。

・無理やりズボンを脱がす → 暴行
・断れば危害を加えると脅し、オンラインゲームのアイテムを購入させる → 恐喝
・自転車を壊す、制服を切り裂く → 器物損壊
・度胸試しやゲームとして、危険なことや苦痛と感じることをさせる → 強要
・インターネットに実名をあげて、「気持ち悪い」「不細工」などと書く → 名誉棄損
・同級生の裸の写真・動画データを友人に提供する → 児童ポルノ提供等

人によっては「こんなものも犯罪になるの?」と感じるかもしれません。いじめをしている子どもたちも、軽い気持ちでこうした行動をとっており、教師として話を聞いていると驚くこともあります。何がいけないことなのか、具体的かつ丁寧に、子どもへ伝えていくことが大切です。

保護者も通報できるの?

犯罪にあたるようないじめの被害にあったときや見かけたときには、保護者からも通報して大丈夫です。いじめられているのがわが子でもほかの子でも、関係なく通報してください。窓口を紹介します。

・緊急性があり、今すぐ駆けつけてもらいたいとき:#110に電話
・今すぐではないが、現場に来てほしい、見てほしいとき:管轄の警察署に電話
・犯罪にあたるか判断に困るとき:#9110の相談窓口に電話

また、このほかに「少年相談窓口」があります。警視庁HPに各都道府県窓口の一覧がありますが、そのトップには「お子さんのことで悩みを抱えているご家族やいじめ、犯罪等の被害に遭い、悩んでいる子ども自身のために」と書かれています。遠慮なく相談してくださいね。

親子で知っておきたい「こども六法」

2019年に発売された「こども六法」という本を知っていますか。法律をまとめた本として一般的には「六法全書」がありますが、「こども六法」は法律の中でも特に、子どもに知ってほしい法律7つをまとめたものです。大きなイラストでふりがなもついているので、非常に読みやすくなっています。

「こども六法」/弘文堂 山崎聡一郎(著)、伊藤ハムスター(イラスト)

Amazonでチェック

・刑法
・刑事訴訟法
・少年法
・民法
・民事訴訟法
・日本国憲法
・いじめ防止対策基本法

先ほど「犯罪にあたるいじめの例」としてあげた内容も、刑法の中で紹介されています。社会科の勉強としても役立ちますし、ウソや悪口、人やものを傷つける行動について、「これはなぜ、やってはいけないことなのか」を理解する助けになるでしょう。親の目で読んでいても「こんな法律あったんだ!」と初めて知る話が数多く出てきます。 図書館で借りてみるのも良いでしょう。小さい子ども向けにボードゲーム化されたものや、法律を理解することに特化した関連書籍もあります。
現在、こども六法本書より『いじめ防止対策推進法』『いじめで悩んでいるきみへ』​​がネットで無料公開されています。この機会にぜひ、お子さんと一緒に読んでみてください。

「いじめ」について保護者が正しく理解し、行動しよう

自分の子どもがいじめによる犯罪被害にあったとき、そしてわが子が加害者になっているかもと感じたとき、どうするべきか、保護者一人ひとりが理解し、行動していく必要があります。
これからの日本で、集団の中で傷つく子どもが減るように、私達大人が、いち早く気づいて適切な対応をしていきたいですね。

ライター

こどもりびんぐ&あんふぁん編集部の画像

こどもりびんぐ &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

学び・遊び・教育:新着記事

電子書籍

幼稚園児とママ・パパの情報誌

親子の保育園生活を応援する情報誌