「どうせムリ」「もうヤダ」ネガティブ思考な子の親がやりがちなNG言動

「どうせムリ」「もうヤダ」ネガティブ思考な子の親がやりがちなNG言動

「ネガティブ思考」とは、自分に自信がもてず、「どうせ失敗する」と挑戦する前から諦めてしまう、イヤなことを引きずってしまうなど、悲観的に物事をとらえる考え方のこと。わが子が「どうせムリ」「もうヤダ」が口グセになっていたり、「ちょっとのことで落ち込んで諦めがち」だと心配になりますよね。
しかし、子どもの心がどう成長していくかは、親の言葉がけや行動によって変わってきます。今回は心理カウンセラーの立場から、ネガティブ思考の子の親が気をつけたいこと、やりがちなNG言動について紹介します。

ネガティブ思考になる生活要因は

ネガティブ思考の子どもの場合、普段の生活の中に原因がある可能性も。
親から頻繁に怒られたり、どなられたりすること、自分のしたことに対して親から長時間責められること、親のグチや心配ごとをよく聞かされること、親に自分の好きなものを否定されることなどが挙げられます。
もしこれらの項目に心当たりがあるようでしたら、それをできる限り排除することを視野に入れながら、気をつけたい3つのことをチェックしていきましょう。

1.親自身が心配しすぎない

子どもが前向きに物事を考えられない原因として大きいのは、実は「親の心配性」です。親が心配性だと、子どもかわいさに制限することが多くなり、子どもは思ったようにチャレンジができない環境からネガティブ思考になりがち。
さらに、常に「そんなことをしたらきっと失敗するから、もっとこうしなさい」などと声をかけていると、子どもは自分自身の判断力を信頼できなくなるため、どんどん悲観的になっていきます。

「しっかりさせなければ!」がしっかりしない子をつくる

親に多いのが、「人に迷惑をかけない、人から後ろ指をさされない、しっかりさせないと」という考え方をするタイプです。
子どもとは、しっかりしていなくて当たり前のもの。しつけや学習・経験をゆっくりと身につけながら大人になるのですから、子どものうちは大人と同じようにはいきません。
それなのに、自分の子どもが「しっかりしていない」ことに焦り、頻繁に叱ったり過度に指導を行ったりすると、そのことが原因で子どもは萎縮し、ネガティブ思考になって、ますますしっかりできなくなってしまうのです。
親が怖い顔をして指導するのではなく、わが子が「いつかはできる」ことを信じて根気よく指導することが、しっかりとした大人に育てることにつながるでしょう。

2.口グセに気をつける

次に親が気をつけたいのは口グセです。
具体的には、「それじゃダメ」「それは間違ってる」「なんで〇〇したの?」「みっともない(恥ずかしい)」などがあります。
「それじゃダメだよ」「それは間違ってるよ」というのは、何かを禁止する時のほかに、何かにチャレンジしている子どものやり方を否定する時にも使われる言葉です。しかし子どもは試行錯誤しながら学んでいきます。失敗は成功の母、その失敗は果たして「間違っている」のでしょうか?
また、「なんで〇〇したの?」は、いけないことをした子どもを怒る時に親がつい言ってしまいがちな言葉。しかし、子どもはなんでやったかと聞かれても、理由がわからないことも多いので、それに答えることができません。すると、子どもは「自分は怒られるようなことをした上に答えることもできないダメな子だ」と自分を位置づけるようになるのです。
「みっともない!」というのも、子どもがいけないことをした時に使うことがあるかもしれません。時には、その行動が他人にどう見えるか、ということを子どもに意識させなくてはならないこともあります。でも、特に幼い子どもには「みっともない」というのがどういうことかピンとこないので、ただ自分が情けない人間なのだと否定されたことだけが記憶に残ります。もっと丁寧に、その行動がいけない理由を説明する言葉を発してほしいと思います。

親自身が言われる立場になって

ちなみにわが家では、子どもが目の前でチャレンジをしている時、そのままでは成功しなさそうだなと思ったら、「そのやり方で、次の〇〇ができるかな?」「あれっ、そうだっけ?それって正解だったっけ?」と助け船を出すことはあります。その際、「それは違う」という言い方は極力避けるようにしています。そしてもちろん、自分で考えたほうがいいと思う時は放っておきます。
親自身がその言葉を言われたらどう感じるか、言われる立場になって考えてみると、それがOKなのかNGなのか、すぐにわかると思います。
たとえば会社で、上司から同じように言われたら?と、自分の口グセを考えてみるのがわかりやすいかもしれませんね。

3.客観的な視点で物事をとらえる

子どもになくて、大人にあるもの。それは、客観的な視点です。…と、言いたいところなのですが、実は大人もかなり客観的な視点を失い、自分の価値観だけで子どもに意見を押しつけてしまうことがあります。ですから、子どもとともに自分自身が客観的であるよう、心がけるといいですね。
子どもにも、大人にも共通することですが、客観的に自分を見ることを忘れると、自分の「できること」よりも「できないこと」に目がいきがちになります。一方、客観的になると、できなかったことはさておき、自分ができたことがいくつもあるんだ!と知ることができるでしょう。

「できたことを指摘する」だけでOK

褒めることは大切だ!と言われるため、親の側も「褒めなくては!…でも、どうやって?」と構えているところがあります。しかし実際には「できたことを指摘する」だけでも効果的。
「あっ、これ、できたんだ!頑張ったね」という簡単な言葉で、できたことに目を向けるようにすると、子どもは、「あっ、できてたんだ」という初めての気づきを得て、次のチャレンジの時も「失敗するかもしれない、イヤだ」というネガティブな気持ちより、「また、できるかも」というポジティブな気持ちをもてるようになるのです。
客観視して言葉に出さない限り、気づかず、なかったことになってしまう「小さな成功体験」は生活の中にたくさんあります。子どもが自分でそれを見つけられるようになるまで、親が口に出して、気づかせるお手伝いしてあげるといいですね。

子どもの自己肯定感を落とさない!

子どもは、頻繁にかけた言葉の通りに育ちます。いつも「ダメだね」という言葉をかけられればダメな方向へ進んでいくでしょうし、「遅いねえ」と言われ続ければどんどん行動が遅くなるものです。
子どもの考え方の基礎を作っているのは、「自己肯定感」です。子どもは生来、自分が何ができないかを知らないため、なんでもできると思っていることが多く、自己肯定感が高い存在であると言われています。親の側は、子どもがもっている高い自己肯定感を落とさないよう心がけるのはもちろん、子どもがネガティブ思考だと感じた時には、まず自分自身の言動を見直してみることが大切です。

ライター

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心理カウンセラー、占い師 あん茉莉安

ふたりの女子の母。専門はスピリチュアルと発達心理学。得意分野は幼児教育、習い事、小学校お受験、中学受験など。趣味は歌とバイオリン。教員免許、図書館司書、学校図書館司書の資格をもっています。占いやパワーストーンを通してさまざまな癒しを皆さまへお届けしています。

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