わが子がいじめの加害者に!?親が知るべきいじめる子の心理とかかわり方
「わが子がほかの子をいじめていた」と知ったときは、たいていどの親も驚き、焦るものです。そして、「いじめはやってはいけないことだと教えなければ」と思うものですが、このときに子どもとのかかわり方を誤ると、子どもがさらに親に隠れていじめをしたり、乱暴に振る舞うことにつながる可能性があります。慌てて行動を起こさずに、まずは落ち着きましょう。
今回は心理カウンセラーの立場から、理解しておきたいいじめる子の心理と、親のかかわり方のポイントについて紹介します。
いじめる子の心理とは?年齢が上がるほど複雑に
まず、いじめる子の行動には、どのような心理が隠されているのかを把握しておきましょう。
自分のほうが強い、優秀だと認められたい
子どもに限らず、人間は誰しも周囲の誰か、とりわけ親しい人から認められたいと強く願っています。「スゴイ」と言われたい、一目置かれたいという気持ちから、誰かをいじめて自分を強く見せるという方法をとってしまう子どもがいます。
また友達から好かれたいとか、人気を得たいという気持ちとともに、自分が自分自身を強いと思いたいという気持ちも隠されています。
つまらないので、スカッとしたい
ストレスをためている子どもは、誰かをいじめてスカッとしたいと考えることがあります。毎日がつまらないので、困っている友達を見て笑えれば、一時しのぎですがストレス解消になるのです。つまらないというのは、面白いことが起こらないという意味でもありますが、親や先生に勉強や習い事など、楽しくないことを強要されているケースもあるでしょう。
幼児期の場合は、人の気持ちを考えることができないため、遊び感覚です。また成長しても、人の気持ちを考えることを教えられなければ、遊び感覚でいじめを続けることがあります。あくまでもいじめているのではなく、遊んでいるだけ、ふざけているだけというのが本人の気持ちです。
自分が上位であることに快楽を覚える
いじめが定着すると、相手との間に上下関係ができます。いじめることで自分が相手より上位であると認識すると、今度はその状態に快楽を覚えるようになるのです。この感覚は、幼児期であればただ楽しいだけのものかもしれませんが、成長するにしたがって依存性を帯びてきます。
人は「相手が自分の言いなりになる状態」を心理的に心地よいと感じることがあります。その心地よさをまた感じたいと考え、いじめを繰り返してしまうことがあるでしょう。
いじめる子に対する親のかかわり方
わが子が誰かをいじめていることが判明したら、どのように子どもにかかわればよいのでしょうか。親のかかわり方のポイントについて解説します。
1.やられたほうの気持ちを重視して教える
「わが子が誰かをいじめた」と聞いたら、子どもを“厳しく罰して教えなければならない”と考えるのは当然のことです。しかしそれも、やり過ぎてしまえば次のいじめの原因になってしまいます。
罰を与えるのではなく、しっかりと話をすることを主軸に考えましょう。またその際には「いじめるのは悪いことだ」と伝えるだけではなく、いじめられたときの相手の状態や気持ちを想像させることが大切です。子どもは、その状態が想像できないからこそ、遊び感覚、おふざけ感覚でいじめをしています。いじめられるつらさに目を向けさせることがポイントです。
2.わが子の気持ちを聞き、尊重する
いじめる子がストレスを抱えていたり、「日常がつまらない、強さを認めてほしい」と感じていることは、「誰もわかってくれない、共感してくれない、尊重してくれない」という気持ちに繋がっています。普段から子どもがどう考えているかにフォーカスを当て、気持ちを聞き出し、その気持ちを尊重しながら対応することが必要です。
理解したフリをしても、子どもの意見が通らないような毎日を送っていては何も変わりません。親の意見と子どもの意見がぶつかったときは、子どもの声をよく聞き、尊重できる方法がないかを考え工夫してみましょう。
3.親自身が誰かをけなしたり、悪口を言っていないか考える
親自身がいじめをしていなくても、家の中で子どもがいるときに、パートナーや義親、職場や近所の人をけなしたり、悪口を言ったりしていませんか。もちろん、大人は家の中で何と言おうと、外でしっかりと振る舞えばいじめにはならないことを知っています。しかし、子どもは区別がつかず「人をけなしてもよい」「悪口を言ってもよい」という認識をしてしまうことがあります。
親自身が誰かに悩みを相談したり、グチを言ってストレスを解消したりすることも、ある程度は必要です。しかし、できるだけそれは大人だけの時にしましょう。子どもにグチを言うのもおすすめしません。
心を満たしていじめのない未来を創りましょう
子どもが人の気持ちを想像できない状態、かつ自分の心が満たされないときに、いじめが起こりやすくなります。これを解消するためには、人の気持ちを想像できる知識と感情を身につけさせること。そして、人から尊重される、心が満たされた状態をつくることが重要です。
人の気持ちを想像できる力が身につけば、ほかの友達からも尊重されるようになり、人望が集まって心が落ち着くことに繋がるでしょう。
幼児期にいじめをする子は、決して重大なことと思わずに行動していることも少なくありません。厳しく罰すればよいというわけではないことをしっかりと心にとめると同時に、親の側が「私の育て方が悪い」と自分を責めすぎないことも大切です。幼児期は一歩一歩前に進んでいく途中、しかも道がまだ始まったばかりの時期です。逸れた道から本来の道へ導くイメージで、いじめない子ども、いじめない大人へ成長できるようかかわっていきましょう。