「観察日記」まとめ方のコツを現役教師が伝授!
小学校低学年のお子さんがいる家庭では、夏休みの宿題でアサガオや夏野菜の「観察日記」が出ていませんか。お子さんの鉛筆が進まない様子に、困っている保護者もいるのではないでしょうか。そこで今回は、現役小学校教諭が「観察日記をスラスラまとめるコツ」をお伝えします。
文章の基本は「誰が読んでも、同じものをイメージできる」
観察日記は、自分が観察したものを記録する文章です。誰が読んでも、同じものをイメージできるような文章が望ましいです。そのためには観察のポイントを具体的にすることが大事。文章はこの3つのポイントで書いてみましょう。
1.五感を使ってさまざまな視点で
・目で見てどんな色?どんな形?
・触ると?
・振ってみるとどんな音?
・匂いは?
・食べた場合は味も!
2.抽象的な言葉は具体的に言い換えて
・「きれい」よりも「花びらの先は紫色で、真ん中に向かって白くなる」
・「小さい」よりも「人差し指1本分」
・「面白い形のきゅうり」よりも「バナナみたいな形のきゅうり」
3.わかりやすい文章を意識する
・なるべく短い文章で簡潔に
・「朝顔の花はまわりが濃い青色で、真ん中が白色でした」など、色を書くときは、どの部分かを明確に書く
・「触ってみると、毛がふわふわでした」など、どのように観察したかを書く
お子さんが文章を書くときに困っていたら、1のポイントを意識して声をかけてあげましょう。それでも困っていたら、「今日はトマトの実を見てみよう」など、観察する部分を絞ってあげてもよいかもしれません。
そして、文章をチェックするときは、2と3のポイントで見てあげると読み手に伝わる文章になります。「きれいって、何がきれいなの?」「小さいってどれくらいかな?」と、踏み込んで聞いていくとよいでしょう。
絵を描くときは虫メガネモードで!
観察対象を絵で表すのは、苦手な子どもにとってはなかなか難易度が高いですよね。
まず、絵を描くときに、てっぺんから植木鉢まで描く必要はありません。観察したときに、よく見た部分をクローズアップして描いてほしいのです。「どこが一番気になる?」「一番面白いなと思うところはどこ?」など、お子さんにはよく観察した部分だけを描くように声をかけてあげてください。
最初に虫メガネを描いてあげるのもおすすめ
それでもどこを切り取ったら良いか分からず、全体を描こうとするお子さんもいるかと思います。その場合は、親が最初に、観察カードの絵を描く部分に大きく虫メガネを描いてあげてください。そしてお子さんに「この虫メガネの中に、自分が一番よく見たところを大きく描いてね」と伝えます。虫メガネの絵が描かれているのが気になる場合は、後で消せば大丈夫です。簡単にできるので、よかったら試してみてください。
大切なのは「見たまま」を書くこと
観察日記は、観察したものをそのまま記録するものです。図工でも創作文でもありません。だから上手に描こうとして、実際にはない色を使ったり、ないものを加えて描いたりしないようにしましょう。
またデッサンのように、何本も線を描かず、輪郭は1本の線で描き上げてください。文章も、想像したことや感想などを書くよりも、見たままのことを書くように心がけましょう。
変化に気づかせる声かけで思考力アップ
先生が観察日記を見たときに、成長の経過や変化が書かれていると、「よく気づいたな、よく見ているんだな」と感じます。
一緒に観察するときに、「前に観察した時と違うところはどこ?」「成長したところはどこかな?」など、変化に気づかせるように声をかけてあげてください。変化や違いを考えながら観察する練習になり、思考力がアップします。
ぜひ親子で会話しながら観察を
お子さんが今まで大切に育てたお花や野菜です。10分で構いません。一緒に植木鉢の前に座って植物の変化についてお話ししてください。きっと一生懸命育てた植物を見てもらえること自体が、お子さんにとって喜びだと思います。
そこから、植物の様子に目を向けて一緒にお話しましょう。「トマトの実が赤いね」「お花は何個あるかな」当たり前のことで構いません。それが観察するポイントになり、観察日記を書くことに繋がります。
親子のコミュニケーションもとれて宿題も進められるのが「観察日記」の魅力です。ぜひ楽しく取り組んでほしいなと思います。