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注意すると、目をそらします
注意すると、目をそらします
小2の息子ですが、私が何か物事を注意すると、目をそらし「こっちを見なさい!」と言ってもなかなか目を合わせようとしません。しつこく私を見るように注意した方がいいのか、先に話を進めた方がいいのか、いつもイライラが2倍になります!(東京都・ららんさん/36歳)
なぜ、目を合わせないのか?
なぜ、目を合わせないのか?
子どもが目を合わせないのは、どうしてでしょうか。それは、自分にとって不快だと感じるからなのです。ママが「目を合わせなさい」と言うときに、「なんとしても目を合わせるんだ」という意気込みを感じてしまっているのではないでしょうか。
そんな風に声をかけられたら、その人を見るのにはちょっと勇気が必要なのではないでしょうか。それは、大人も同じではないかを思うのです。「こっち見てくれる?」と優しく言われれば、「何かいいことがありそうだ」と期待するし、「こっち見て!」と言われたら、「何か悪いことがありそうだ」思ってしまうことは、普通の感覚だと思います。
たぶん、ららんさんは「人と人は目を向けて話すものだ!」との思いがあるのではないでしょうか。でも、私たち大人だって、ずっと相手の目を見て話をしているでしょうか。それは、心理的に誰でもきつく感じるものなのです。
だから、私は学生たちの面接指導で、「面接官の目をずっと見るのはきついし、プレッシャーになるから、相手の胸元を見るようにするといいよ」と教えています。
友達に目を向けて話をしたり、普通のときには親と目を合わせて話が出来ているのなら、心配することはありません。
「まなざし効果」を上手に使おう
「まなざし効果」というのがあるのですが、ご存知でしょうか。アメリカの小学校で行われた有名な実験で、「期待を込めたまなざしで見た結果、子どもがとても成長し、成績まで伸びた」というものです。
よく「目力」とか「目は口ほどにものを言う」などと言われます。言い得て妙だと思うのです。「この子はかわいいな」というまなざしで見てあげれば、かわいくなっていきます。逆に「この子はダメな子だな」というまなざしで見ると、本当にダメになっていくのです。これは、不思議なくらいそうなります。
私のクラスで、親から「あんたはダメな子ね」とか「あんたなんか生むんじゃなかった」と言われて育った子がいました。本当に大変な子で、荒れまくっていました。お母さんと話し合い、「『この子は大丈夫だ』とか『きっと良くなるはずだ』というまなざしで見てください」と言って実行したら、3カ月で立ち直り、険しかった顔が穏やかになりました。
時には返事をしなくても、優しいまなざしで見つめ続けてみてください。きっと、自分から目を合わせる子になること、間違いなしです。また、目を合わせなくても本当に必要なときは、注意をしたりしてもよいのではないでしょうか。
プロフィール
増田修治先生
白梅学園大学子ども学部子ども学科准教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。