子どもの「パパやだ、ママがいい!」への工夫と対処法
“子育ては夫婦で協力してやりたい”と考えていても、子どもに「ママがいい!」と泣かれてしまい、結局ママが頑張ってしまう…そんなことはありませんか? パパが「わが子と密にかかわりたい」と思っていても、「パパやだ!」と言われたら悲しいし、接することに遠慮がちになってしまうこともあるでしょう。ママだって、パパに申し訳ない気持ちになりますし、何より分担ができないことで、ママ自身の負担が増えてしまいますよね。
今回は、そんな「ママがいい!」への対処法を紹介します。ママじゃなくちゃダメ、と子どもが言う時期は、6歳くらいまでに訪れやすいようです。この時期をどう過ごすかで、今後の子育て、そして夫婦関係も変わってきます。ぜひ参考にしてくださいね。
子どもが「ママがいい」と言う理由とは?
子どもが強く「パパやだ、ママがいい!」と主張する理由は、どこにあるのでしょうか。「ママがいい」の裏側にある子どもなりの理由を考えてみましょう。
・パパのやり方がいつもと違う
いつもママがやっていることをパパにお願いするとき、パパのやり方はどうしてもママとは違ってきます。ママのほうが圧倒的に長時間の育児を担っているような場合、子どもにとってパパに何かをされることは強烈な違和感や不安感を伴うため「ママがいい!」と言ってしまうと考えられるでしょう。
・ママがどこかへ行っちゃうのでは…と不安になる
いつもはママがやってくれるのに、今日はパパがやってくれるとなると、ママが自分を捨てて、どこかへ行ってしまうかも…と不安を覚える子どももいると考えられます。パパに子どもをお願いしてママがその場を離れたら「いなくなった!」と感じて不安です。ところが、ママが目の前にいても「なんで、ここにいるのに、私の面倒を見てくれないの?」と不満を感じるため、結局「ママがいい!」になってしまうのです。
・パパは信頼できない人だと感じている
ママがパパをあまり信頼していない場合、子どもも「パパは信頼できない」と感じてしまうことがあります。子どもはとても敏感で、ママの気持ちや、その場の雰囲気を察知することができるのです。ママがパパにイライラしていると、パパに対して「ママに信頼されていない人」あるいは「ママを困らせる人」という認識をもつことがあります。
「ママがいい」への対処法4つ
では、こうした「ママがいい!」へはどのように対処すると良いのでしょうか。おすすめの工夫や対処法には、以下のようなものがあります。
・1.ママから手順を習う
パパとママとでは違って当たり前ですが、手順だけでもママから教えてもらい、パパが実践するようにしてみましょう。
例えばママがいつも、ズボンをはかせてからシャツを着せてくれる場合、子どももそのつもりで「お着替えはズボンから!」と考えています。ところがパパが急にシャツを着せてきたら、子どもにとってそれは「いつもと違う!」という事件であり、スムーズに対応できないため「やりにくいからイヤ!」と感じてしまうのです。
そこで、ママがどんな順番でやっているのかをよく習っておきます。パパが同じことをやっても、最初はスムーズでなく、感覚が違うので嫌がるかもしれません。「ママに教えてもらったよ」「ママと同じにするよ」と言い聞かせながら、少しずつ子どもにも慣れてもらいましょう。
ちなみに遊びの時間の過ごし方、抱っこの仕方など、子どもがどんな状況や体勢に慣れているのかを、パパとママで共有しておくことも大切です。
・2.「ママがいい!」で折れない
「ママがいい!」と騒がれたら、パパは「ママがいいってさ…」と諦めがちですし、ママもつい「しょうがない、わかったよ」と手を出してしまいがちです。子どもによっては泣き叫ぶため、つい大人が折れてしまいますよね。しかし、これだと子どもは「泣けば、ママがきてくれる!」ということを学習するため、次も、またその次も、「泣かれて折れる」を繰り返すことになりかねません。
「パパは慣れていないからイヤ」という違和感も、「ママがどこかへ行ってしまうかもしれない」という不安も、大人が折れているうちは解決しないものです。折れずにパパが向き合うことで、「泣いてもママは来ない」「ママは離れて行っても、また戻ってくる!」と子どもに気づきを与えることができるでしょう。
また、少しずつパパのやり方にも慣れてくるので、違和感が払しょくされ、受け入れやすくなっていくでしょう。
とはいえ、もちろん最初は泣かれることが多いと思います。子どもが慣れるまで何か月というマニュアルもありません。しかし、大人が毎回折れて、涙とあきらめの時間を繰り返してしまうのに比べれば、子どもにとっても親にとっても早く平穏が訪れるのではないでしょうか。
・3.ママからパパへの信頼感を育む
正直、「ママがいい!」と子どもが泣いたからといって、家事で忙しいママにパパが育児をバトンタッチしてくる…ということが重なると、ママだってパパに対してイライラします。ところが、パパへのイライラが子どもに伝わり、さらに「ママがいい」と言わせる悪循環につながっているのも事実です。
パパとママが互いにそのリスクを理解し、ママはパパを信頼するよう、パパはママに信頼してもらえるよう、そして何よりもそれが子どもに伝わるよう、心掛けていくのがおすすめです。
実は先出のように「ママがいい!」で大人が折れてしまうのは、ママがパパを信頼していないため任せられず、パパもまたパパ自身を信頼できていない結果でもあります。「パパなら絶対大丈夫、だってパパだから!」とふたりともがしっかりと思えるようになると、大人が折れることがなくなり、子どももまた安心してパパに身を任せられるようになっていくでしょう。
・4.「ママがいい」という気持ちに共感する
意外に子どもを頑固にさせてしまうのが、「ママがいい!」という子どもに対して「そんなこと言ってはダメ」「泣いちゃダメ」と否定をする大人の対応です。意図したとおり泣きわめいてママが来てくれたときは別ですが、泣いてもママが来てくれず、そのうえ「泣いたら迷惑だよ!」などと言われてしまっては、小さな子どもはさらにかんしゃくを起こしてしまいます。
「ママがいい!」という子どもの気持ちに、パパもママも「そうだよね、ママがいいよね」と共感してみてください。ママだけでなくパパが共感してくれることで、子どもはパパに対して「気持ちをわかってもらえる人」という認識をもちます。また共感してもらえることで安心し、「ママがいい!」を和らげることに役立つでしょう。
すぐには治まらない「ママがいい!」に、忍耐強く笑って対応を
赤ちゃんのころから、食事やおむつ替え、抱っこや寝かしつけなど、すべての生活において、ママと子どもが過ごす時間は、パパと比べて長くなりがち。子どもは違和感に対して敏感なため、急にパパが担当になると「どうして!?」と焦ってしまいます。その違和感は急になくなるものではないため、いわゆる「パパいや期」もすぐに終わるものではありません。そこへどうやって対応していくかが、大人の腕の見せどころ、そして夫婦の頑張り時です。
子どもに泣かれると焦ってしまいますが、親はぜひ笑顔で、子どもの「ママがいい!」という感情を肯定し、受け流してみてください。親が笑顔でいることは、子どもにとって安心材料になります。ママもパパも笑顔で子どもの感情を受け止めると、子どもも両親を信頼しやすくなり、ママのほかにも身を任せられる人がいることを少しずつ知るでしょう。
そしてこの時期にママとパパが協力し合い、しっかりと子どもと向き合うことは、その後の子育てにも大きなプラスになるはずですよ。