【席替えの悩み】いつも落ち着きのない子の隣に…先生にどう相談する?
子どもたちの学校生活の楽しみのひとつ、席替え。今度は誰の隣かな?どんな席になるのかな?ドキドキしながら待っている子も多いです。
でもせっかく新しい席になったのに、わが子がなんだかちょっと困っていそう…ということもあると思います。
そこで今回は、席替えで困ったとき、「どこまで先生にお願いしていい?」「どんなふうに相談すればいいの?」という点について、元小学校教諭の経験から対処法をお伝えします。
視力が弱いなどの配慮が必要なときは「年度初めに」
先生が工夫をしながら席を決めている
最近の小学校での席替えは担任の先生が座席を決めるのが主流です。年度初めはなんの情報もないので出席番号順で決めますが、2回目からはみんなが落ち着いて授業を受けられるよう、交流関係や個性、身長の高低や学習態度など、さまざまなことを考慮して決めています。
学校では自席での学習が多く、隣の席の子とペアワークをしたり、近くの友達と班を作ってグループワークをしたりといった活動も行われるので、座席によって学習環境は大きく変わります。そのため先生たちもいろいろな工夫をしながら座席を決めています。
配慮してほしいことは、できるだけ具体的に伝える
「視力が弱くて席が前の方でないと黒板の文字が読めない」「掲示物が目に入る場所だと気が散ってしまって学習に集中できない」など、座席の位置に配慮が必要な場合は、年度が始まったらすぐに先生にひと言伝えておくとよいと思います。
できるだけ具体的に「2列目までなら見えます」「一番後ろの席だと見えません」と伝えてもらえると分かりやすいです。小学校入学したてなどでどの程度か分からないときは、「視力が弱く、黒板の字が見づらいと言っているので様子をみてほしい」と、言っておくのがいいでしょう。
伝える方法は入学前に提出する書類の備考欄に書く、連絡帳に書くなど。もしくは、個人面談や保護者会のときに話しておけば大丈夫です。
子どもは自分では先生に伝えられないことも
私が小学1年生を担任していたとき、あれこれ考えて席替えをした翌日、一番後ろになった子の保護者から「一番後ろでは黒板の字が見えません」とお手紙をいただいたことがありました。
教えてもらったのはありがたかったのですが、席替えをした後に班の目標を決めたりグループの当番を決めたりして、グループの活動をすでにスタートさせてしまっていたので調整するのに苦労しました。
子ども自身が先生にその場で言えればよいのですが、なかなかそれを言い出せない子もいます。また、自分の視力が弱いことに気づいていない子もいます。低学年のうちは気になることがあれば、事前に保護者から担任へ様子をみてもらうようお願いしておくといいと思います。
「いつも落ち着きがない子の隣にされてしまう」という悩みには
時々、「うちの子がいつもお世話係にされている」という保護者の声を聞くことがあります。
学校にはいろいろな子どもがいますし、先生ひとりで30人を手厚くみるのは難しいもの。手伝いをしてくれる子の存在はとても頼りになります。そのため、しっかりしている子、落ち着きがある子、マジメな子は、ちょっとお手伝いが必要な子の隣になりがちです。ですが、お手伝いが必要な子のお世話ばかりで自分のことに手が回らないような状態では、保護者が心配されるのもわかります。
私が担任のときは、しっかり者の子どもを、ちょっと対応が大変な子の隣にした場合は、次の席替えでは落ち着ける席に…とひとりに負担がかかりすぎないように工夫しながら座席決めをしていました。
しかし、保護者が見ると続けて同じようなお世話係を任命されている子どももいるのだと思います。きっと先生はその子なら大丈夫、頼りになると信頼してその席にしているのでしょう。
そこで、まずはわが子の様子をよく見てみてください。子ども自身が「それぐらいなんてことない!大丈夫」と思っているようなら成長するチャンスと考えて、見守ってよいと思います。
担任の先生に相談するときは
ただ、あまりにも授業に集中できていなかったり、負担に感じているなと思ったら、担任の先生に相談してみるのがいいでしょう。
そのときは「〇〇くんの隣はやめてください」「△△ちゃんの隣にしてください」というお願いの仕方ではなく、「授業に集中できず、困っているようです」「〇〇くんと以前トラブルがあり心配しています」と情報や状況を伝え、様子を見てもらうようお願いすると、先生も対応しやすいのではないかと思います。
かかわり方を子どもが学び、教えられることも
パパやママが、子どもから話を聞いて「授業中は話しかけられても気にしない」「片づけの仕方を教えてあげる」など、対処法を一緒に考えてあげることで、子ども自身の成長につながる場合も多いです。
また、子どもたちは適応力が高いので、「この子が怒っているときは、ひとりにしてあげるのがいいんだよ」「優しく、ひとつずつ教えてあげるとわかるんだよ」など、その子とどんな付き合い方をするとうまくいくのかを学んでいて、先生である私が教えられることも多かったです。
座席がかわると学校生活もかわります。子どもたちは新しい友達ができたり、大変な思いをしたり、さまざまな経験をします。親としては「わが子がいい状態でいられること」を最優先に考えますが、いろいろな面を見ながら、保護者と先生が手を取り合って、子どもたちの成長を協力して見守っていけるといいなと思います。