低学年の親に知っておいてほしい「傘トラブル」

低学年の親に知っておいてほしい「傘トラブル」

梅雨で雨が続きますね。朝から雨が降っている中、登校することも増えると思います。雨の日には傘を使いますが、実は子ども達と傘との関係は、意外と困ったり危なかったりすることが多いもの。そしてそれを親はなかなか気づかないのです。
今回は小学校教諭時代にあった傘に関する出来事と家庭で意識したい注意事項についてお話します。

開かない・閉じない・まとまらない…意外と難しい傘の使い方

最近の傘はワンタッチで開くものが多いですが、手開きタイプのものもありますね。
ワンタッチタイプのものは開くのは簡単ですが、子ども達は楽しくなってポンポンと何度も開いて遊んでしまうことがあります。
手開きタイプのものは開閉は丁寧にできますが、力が足りない子は自分で開け閉めできないことも。傘を買うときはデザインだけでなく、実際に子どもが自分で開けたり閉じたりしてみて使いやすいものを購入するのがよいと思います。
また、傘を新しく買ったり、久しぶりに使うときは家で少し練習しておくと安心です。

雨の日に実際にあった出来事

小学校1年生の担任をしていたころ。登校時間が過ぎても教室に来ない子がいて、探しに行くと下駄箱で閉じない傘に悪戦苦闘していたことや、開きっぱなしの傘が下駄箱に置きっぱなしになっていたことがありました。
下校のときに「先生、傘が開きません!」と言って持ってきた子の傘が錆びてしまって固まっていたことも。ほかにも傘の骨が折れていたり、金具が外れてしまっていたりすることもありました。

留め具はボタンよりも面ファスナータイプを

傘立てには、傘をくるっとまとめて留め具で止めてから入れると思いますが、これがなかなかできない子も多くいます。これも時々家で練習しておくといいですね。お子さんにやってみてもらい、上手にできる方法を教えてあげてください。
なお、留め具がボタンタイプだと留めるのがなかなか難しいので、上手にできるようになるまでは面ファスナータイプのものがおすすめです。

レインコートを着ていった時は大き目のレジ袋を持たせて

折り畳みの傘を持ってくる子もいましたが、これも使うのは最初のうちは難しいです。開けない、閉じられない…といったことがよくあるのでこちらも練習が必要です。
また、大雨のときはレインコートを着てくる子もいますが、学校で干しておく場所はありません。私が勤務していた学校ではランドセルの中に入れておいてもらっていました。レインコートについてくる、小さい袋に入れるのはなかなか大変なので、レインコート用に大き目のレジ袋を持って行かせるのがいいと思います。

傘には必ず記名を!記名したら補強を

小学校で多い忘れ物というと、鉛筆・消しゴム・上着・帽子・水筒などが挙げられますが、傘の忘れ物もかなり多いです。間違えて別のクラスの傘立てに入れてしまって見つからないこともよくあります。名前が書いてあれば持ち主の元へ戻りますが、無記名のもので引き取り手がいないと、学期や学年の終わりに処分されてしまうことも。

子ども同士だとこんなトラブルも…
同じデザインの傘を持ってきている子ども同士で、どちらも自分のものだと引かずにトラブルになることがあります。
透明のビニール傘だと、似たようなものが多いのでどれが自分のだか分からなくなりがちです。
新しい傘にしたばかりだとこれは自分のではないと言い張ったり、全然違う傘を勘違いして自分のものだと言ったりすることも子どもはよくあります。

子どもが「自分の傘だ」とわかる工夫を
これらを防ぐには、傘には必ず記名すること、これに尽きます。取っ手についているフイルムをはがしてしまい、その上に書いてあった名前がなくなってしまうこともあります。また、シールが貼ってあるだけだと剝がれてしまうこともあるので、上からテープを貼るなどして補強しておくと安心です。
防犯上の問題であまり目立つところに名前を書くのは抵抗があるというときは、傘をまとめるヒモの裏などの目立たないところに名前を書き、持ち手のところに自分のものだと分かるように目印のシールを貼るなどしておくと分かりやすくていいと思います。

さしていないときの傘の持ち方にも注意

子どもは長いものが大好きです。手にすると振り回す、なにかを叩くなどの行為をしてしまうことがあります。わが家の長男(幼稚園年長)もそんなタイプです。一緒にいるときは危なくて、つい親が傘を預かりたくなってしまうもの。でも小学生になってひとりで登下校するようになったらそうはいきません。
目が届かなくなってからでは注意もできないので、一緒にいるときに傘を持たせ、安全な使い方ややってはいけないことを何度も繰り返し伝えています。「この間も言ったのに」「何度も言っているのに」と思うこともよくありますが、本人いわく「振り回すのはいけないと分かっているけれどついやってしまう」とのこと。振り回すと楽しそうだなと思うとそれしか考えられなくなってしまうのだそうです(苦笑)。何度も何度も伝えていくことが大切だと思っています。

傘は使い方によっては危険がともなうことを実感

1年生の担任をしていたころ、私のクラスの児童の目の横に、別のクラスの児童の傘が刺さってあざになってしまったということがありました。ぶつけてしまった子は、クラスでもやんちゃな子で、ふざけてやってしまったとのことでした。学年主任の先生に声をかけられ、2人を校長室に呼んで話を聞き、注意をしました。
学年主任の先生いわく、わざわざ校長室まで呼んで話をしたのは、今回の一件は、「一歩間違えたら失明してしまっていたかもしれず、とても危険であったこと。傘の扱いを間違うと重大なことにつながる可能性があることをわかってもらうため」にあえて場所を選んだとのことでした。子どもにそのことをしっかり理解してもらうには大切な時間だったと感じています。
その後、クラス全体でも傘の使い方について確認をしました。傘は便利な道具ですが、使い方によっては危険がともなうことを、大人がきちんと教えていかなければいけないのだと実感したできごとでした。

今日はぜひお子さんの傘を開いて、名前の確認や傘の使い方について話をしてみてください。雨の季節、子ども達が上手に傘と付き合って過ごしていってほしいなと思います。

ライター

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こどもりびんぐ &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

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