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今すぐやめて!子どもの暴言をエスカレートさせる4つのNG対処法
子どもの言葉遣いが気になったことはありませんか? 成長にともなって、それまで聞いたことのない暴言が子どもの口から出てくることは、よくあること。子どもの暴言をやめさせたくて手を尽くしているけれど、まったく減らない…という場合は、対応を間違えているのかもしれません。
今回は子どもの暴言について、NG対応や暴言の原因、そして試してみたい対処法を紹介します。
間違った対応が子どもの暴言を助長してしまう
まずは、暴言がエスカレートしかねないNGな対処法を見てみましょう。
子どもを怒鳴ってやめさせようとする
「子どもがダメなことをしたときは、しっかりと叱る!」と考えている人は多いと思います。しかし、暴言を吐く子どもに対して、怒鳴ってやめさせようとするのはまったくの逆効果となります。
怒鳴ることと、暴言を吐くこととは、基本的に同じカテゴリーに属する行動です。つまり相手を威圧することで自分を優位に立たせようとしていることには変わりがありません。人は相手から威圧されると、反抗的になることで威圧されまいとします。子どもに暴言を吐かれた親が怒鳴ることで自分の立場を守ろうとするのと同じく、親に怒鳴られた子どもも、暴言を吐くことで自分の立ち位置を守ろうとするのです。
人格を否定する、暴力で抑えつける
大声で怒鳴るだけでは済まず、人格を否定したり、叩く、殴るといった方法で暴言を抑えようとするのは、強権的なタイプのパパやママにありがちな対応です。「これだからバカは」「だからあなたはダメなのよ」といった反応は、例え怒鳴っていなくても子どもの心を傷つけ、暴言をエスカレートさせるだけの結果となります。力によって抑えつけても結果は同じでしょう。
萎縮して何も言えなくなる、優しく下手に出る
怒鳴る子どもに対して萎縮してしまうのは、それまで人から丁寧に扱われて育ってきたママにありがちな反応です。粗暴なものに対して、とりあえず要求を呑んだり、「そんなこと言ったらダメだからね…」とつぶやく程度の対応で済ませたりするのは、子どもに「暴言によって優位に立つ」という成功体験や、「言うことを聞かせるためには、暴言を吐けばいいんだ」という学びを与えてしまいます。
放置する
怒鳴るのもダメ、叩いてもダメ、下手に出てもダメなら、放っておこうと考える保護者もいます。そこには「そのうち落ち着いて収まるだろう」という考えもあるでしょう。しかし放置をすれば、子どもは「暴言が認められた」と認識するので、エスカレートすることがあっても、自然と暴言が収まることはありません。
子どもの暴言の原因は?
子どもの暴言を収めるには、暴言の原因を把握しておくことが大切です。まずは原因として考えられることを挙げてみましょう。
友達やマンガ、ゲームなどの影響
突然の暴言の原因として大きいのは、やはり友達です。友達同士で、マンガやゲーム、インターネットなどから暴言を知り、お互いに暴言を交えたコミュニケーションをとる文化が醸成されている場合、家でも同じように暴言を使う可能性が高いといえます。ここには「暴言を使うことがカッコイイ」という認識があったり、「暴言を使うと友達から一目置かれる」という現実が関係していたりするでしょう。
親の影響
親の言葉遣いが汚いと、無意識に子どもがマネをしていることがあります。暴言に対して、怒鳴る、人格を否定する、また暴力を振るうといったような対応をしている場合、親からの影響が子どもの暴言という形で表出していることが多いでしょう。また、ママは暴言を使わないけれどパパはよく使うためにマネをしてしまう(あるいは反対)といったケースもあります。
子どもがSOSを出している
落ち着いた対応が必要なケースのひとつとして、学校など家の外で友達から暴言を吐かれるシチュエーションがあり、子どもが家族にSOSを出している可能性があります。いわゆる、いじめに近いものから、学校などでイヤなことがありモヤモヤがたまっていた、イヤだが対処方法がわからない、というケースまでさまざまです。他の原因が考えられないという場合は、子どもの身辺をよく観察しなければなりません。
暴言を吐きがちな子どもとのかかわり方
子どもと適切なかかわり方をすることで、暴言をやめさせることができる可能性はぐんと高くなります。子どもの暴言が気になるときの、子どもとのかかわり方を紹介します。
親側が言動に気をつけ、不適切なものは即時やめる
まずは親側が子どもに対して、あるいは家庭のなかで、暴言を吐いていないか気をつけてみましょう。また、怒鳴る、暴力に訴えるといった方法で子どもの教育を行っていないかも注意のしどころです。
「しつけ」と称して手をあげても、子どもに粗暴な心を植えつけるだけですし、何よりも親自身が粗暴であるのに子どもにやめろとは言えません。適切でない教育方法がある場合は、今すぐにやめましょう。
子どもにつらいことがないか聞いてみる
子どものイライラが落ち着いているタイミングを見計らい、学校や友達との間にイヤなことがないか聞いてみましょう。日常のなかにイヤなことが溜まっていると、気持ちがくさくさして暴言につながりやすくなります。原因を取り除いたり、不満を聞いてあげたりすることで、暴言がおさまる可能性があるでしょう。「何かあった?」と聞いても、子どもが素直に言わないこともあるので、その場合は、無理に追及せずに時間をかけてよく観察してください。場合によっては先生と連絡を取ることも視野に入れましょう。
暴言の後に子どもが利益になることをしない
子どもが家庭のなかで暴言を吐いても、むやみになだめたり、優しくしたりしてはいけません。なかには優しくすることで子どもの気持ちを収めようとする親もいますが、それが子どもにとって得になることならば、子どもは次もまた暴言を吐いて優しくされようとするでしょう。「わかった、わかった」といってなだめる、おやつをあげる、お小遣いをあげるといった方法も、状況を悪化させるだけです。暴言に萎縮してしまうタイプのママやパパは特に注意してください。
ヒステリックにならない
いけないことをした子どもには「叱る」という対処がスタンダードですが、この場合は「諭す」という言葉が適切かと思います。小学校入学前の幼い子が暴言を使う場合、大きな理由なく「格好いい」というイメージだけで使っていることがほとんどです。それがいけない言葉だということ、人をイヤな気持ちにさせる言葉だということを、ゆっくりと言って聞かせましょう。小学生でも基本的には同じです。世の中では受け入れられない言葉遣いであることを話し、「そのような言葉遣いをしては、いけません」と毎回しっかりと伝えることです。
このとき「ダメだって言ってるでしょう!」とヒステリックにならないよう気をつけてください。大声を出すと、子どもから「大声で人を威圧することでしか命令できない」と認識され、子どもからの信頼を失う原因になります。
暴言は「小さい子だから」と見逃さず丁寧な対処を
幼児や小学校低学年の暴言は、「いつか収まるだろう」と見逃してしまいたくなるものです。いちいち怒るのだってエネルギーが要りますよね。しかし、毎回のように丁寧な対処をしていくことが、中学年や高学年の暴言を最小限にとどめる布石となっていきます。丁寧に対処することをおすすめします。
とはいえ、子どもの文化のなかである程度の暴言は避けて通れないものでもあります。仲間内で、大人からみて「汚い言葉遣い」をすることで仲間意識を高めていく部分もあるのが現実です。すべてを規制するのではなく、「仲間内の場と、そうでない場との区別をつけさせる」という観点で教育していくことも必要になるでしょう。また、それが子ども達の中で流行語的な扱いになっている他愛ないもの(仲間内なら使ってもいいようなもの)なのか、人を傷つける言葉(どんな相手にも使ってはいけないもの)であるかどうか、といった部分でも、叱り方、諭し方を変えなくてはなりません。後者についてはもちろん、「どんなときにも絶対に言ってはいけない」と教える必要がありますね。
親の対応も、臨機応変なものが求められる場面ですが、あくまでも冷静に。いつか子どもがティーンエイジを迎えたとき、一目置かれるような態度を目指してみると良いでしょう。