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「学校へ行くのが面倒くさい」という小3の息子、モチベーションをあげるにはどうしたらいい?
困ったら増田先生に聞いてみよう!放課後相談室
Q.「学校へ行くのが面倒くさい」という小3の息子。どうしたらいい?
小3の男の子です。「学校へ行くのが面倒くさい」と毎日のように言ってきます。いざ行ってしまえば、帰ってきてその日の出来事を話してくれたりと、問題ないようですが、 以前と比べ6時間授業の日が増えたことで、遊ぶ時間が減り その中で宿題や家庭学習もあり、子どものメンタルを保つことが親としてもかなり大変です。 親子ゲンカになってしまうことも多々あります。 毎朝、子どものモチベーションを上げるような声かけや、してやれることはありますか?(めい)
A.新しい問題として「小3プロブレム」が起きているのです!
小学校には「学級編制基準」というのがあります。現在、小学校1年生では35人が、2~6年生では40人が学級定数です。しかしながら、自治体ごとに【小学校2年生の36人以上学級解消】※と称して、「小学校2年生が36人以上の学級となる学校に加配定数を措置することにより、学級増による少人数化を図り、小学校2年生の36人以上学級を解消するとして、35人以下学級を実現しています。全部の自治体ではありませんが、ほとんどの自治体で1・2年生では35人以下の学級編制になっています。
そうした状況の中で「小3プロブレム」という現象が起きているのです。
例えば、学年の人数が106人とします。1・2年生では35人学級のため、4学級(26人、26人、27人、27人)になります。しかし3年生からは40人学級になるので、3学級(35人、35人、36人)になるのです。つまり35人学級だった1・2年生に対して、3年生になるとクラスの人数が10人近く増えることになります。子どもにとっても、教師にとっても、クラスの人数が10人近く増えるということは、大きなストレスになります。
最近、対応に困難さを抱える子どもが増えている背景を考えると、学級の人数が増えると困難さを抱える子どもの割合も増えることになります。これも教師・子どもにとって、大きなストレスなのです。こうしたことを「小3プロブレム」と私は呼んでいます。
さらに大きな問題は授業時数の増加です。1年生が850時間、2年生が910時間、3年生が980時間、4・5・6年は1015時間になっています。1年生から2年生は60時間の増加、2年生から3年生は70時間の増加、3年生から4・5・6年は35時間の増加です。3年生に限っていうと、前学習指導要領より35時間も増加しています。増えた35時間は外国語です。
こうしたことは意外と知られていないのではないでしょうか。クラスの人数が増え、授業時間が70時間増加し、6時間授業が増えていくのです。子どもにとって、大変なストレスがかかることが容易に想像できませんか。
ストレスがかかっていることを理解してあげてください
教師の多忙化はよくいわれますが、小学生の多忙化も存在しているのです。親御さんたちが小学校時代に比べて、今の子ども達の方がはるかに忙しくなっています。そこに塾や習い事が入ってくれば、子どもの多忙感は一層増します。塾や習い事がいけないといっているのではありません。子どもの忙しさを理解した上で、子どもとの合意の上で進めていくことがこれからは必要になってくるのだということです。
また心配なのは、放課後の遊びがなくなることで、子どもの社会性が低くなってしまうのではないかということです。子どもの社会性は、同輩集団で群れた経験の中から育っていきます。AI時代になるからこそ、他者と折り合いをつける社会性がより必要になってくると思うのです。
6時間授業が終わって、帰ってきたらすぐに宿題をやらせようとすると、遊び時間はなくなります。宿題を短時間で終わらせる工夫をして遊び時間を確保するか、遊んで帰ってきてから宿題をやらせるか、お子さんとよく話し合ってみてください。最適解まではいかなくても、適切解を考えることはできるのではないかと思うのです。
また「学校は忙しいよね。よくがんばって学校に行けているね」と励ましの言葉をかけてあげてください。学校へ行くことは普通のことではないのです。どの子も大変な思いをして学校に行っていることをわかってあげてほしいのです。
子どもにとって大切なのは、将来の幸せではありません。今の幸せと充実感なのです。親子のあり方を考える時期にきているのではないでしょうか。
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