中学受験をスタートさせる前の夫婦のすり合わせが合否を左右する!?その理由

中学受験をスタートさせる前の夫婦のすり合わせが合否を左右する!?その理由

【中学受験連載】第3回/近年、都市近郊で増えてきている中学受験。「気になるけれど、実際どうなの?」「うちの子どうする?」未就学児〜小学生のママ・パパへ、焦ることなく、無知でもなく、「自分たちらしい選択ができるようになるための知識」をお届けします。

連載の第一回目では、中学受験の総論を、第二回目は、メリット・デメリットについて書きました。3回目の今回は、意外と大事な夫婦間でのすり合わせについてお話しします。中学受験をスタートさせる前にイメージをしておくと良いでしょう。

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受験中に言ってはいけない、あの台詞


小学校受験から中学校受験までは、受験する子どもはまだ幼稚園〜小学生です。子どもが、自分の意志で受験を決めるわけではありません。それが高校受験や大学受験と大きく違うところです。小・中受験をご経験のない保護者には、そこをよく理解せず勘違いしてしまう方がいらっしゃいます。「あなたがやるって言ったんでしょ!」「あなたが行きたいって言った学校でしょ!」は、小中受験では子どもに言うべき言葉ではありません。それはご自身に問うべき言葉なのです。

小学生の子どもが自ら発した言葉、でもそれは親の与えた情報の中でのこと。「中学受験の全ては親の決定、親の責任」決めるのは親。そして何かあれば、最悪“辞める”を決断するも親。子どもにとって、受験をどんな経験にさせるか?良い経験にするも、傷ついた経験にするも、その全責任は親の自分にあることを、最後まで忘れてはいけません。

中学受験、いつから始めるの? 合格までの道のりは長い

中学受験を始めるのは、通常は、小4または、小3ですが、早い子だと小1から入塾するお子さんもいらっしゃいます。そこから6年生まで、、気の遠くなる時間ですよね。子どもにとっては尚更です。

その時期の子どもは、通常外で体を動かしたりして友達と遊んだり、夏休みは家でダラダラとしたいものです。自ら机にしがみついて勉強したいです!という子は、滅多にいないでしょう。それが子どもの自然な姿なのですから。自然な姿を堪えて、受験に向かうのは、子どもにとって大きな負担です。もちろん親にとっても同様に、時間的にも、精神的にも、経済的にも大きな負担には変わりありません。ですから、興味本位で始めるわけにはいかないのです。

一大プロジェクトですから、きちんと夫婦で納得した上で、選ぶ必要があります。そして夫婦で納得したのならば、その選択を正解とする覚悟を決めること。そのために、夫婦で同じ方向を向くことは必須です。どちらかが違う方向を見ていたり、家の中での価値観がグラグラしてしたりすれば、子どもは迷ってしまいます。このブレは、受験において最も危険です。

夫婦で覚悟を決め、この3つの問いに答えられるようになろう

大変な道のりを、わざわざ選ぶ理由は何なのか?2回目にお話ししたメリット・デメリットと、自分たちの価値観を照らし合わせながら、スタートするかどうかをまず話し合いましょう。そして下の3つの問いに、自分たちなりの言葉で答えられるようになっておきたいものです。「この3つの理由があるゆえに、中学受験をするのです」と言語ができると、選択に自信がもて、夫婦で同じ方向を見られるようになると思います。

  1. 子どもにどんな中高生生活を送ってもらいたいか?
  2. 子どもにつけさせたい力を3つ
  3. 人生の幸せとは何か?

長い受験生活の中では、悩んだり、苦しんだり、壁にぶち当たったりすることが、必ずあると思います。その際に、夫婦でこの基本に立ち帰るようにします。この3つを定めておくと、「何のために受験するのか?」の目的設定ができますし、「どんな学校を選ぶか?」の指標にもなります。そして、何か問題が起きた時に、「どう対処するか?」のヒントにもなります。仕事と同じで、夫婦で取り組むプロジェクト!と捉え、建設的な会話を心がけましょう。ここを曖昧にすると、後で、「あなたがああ言ったから」「お前がやりたかったんだろ」などと感情的に言い合うことにもなりかねません。

子どものためと始めた受験が原因で、夫婦仲が悪くなったりしたら、本末転倒ですよね。親がブレていると、当然ながら子どももブレてしまいます。夫婦が同じ方向を向くことは、受験の合否を左右すると言っても過言ではありません。そして、意外と大事な「子どもにどんなサインがあったら、撤退するか」。このボーダーラインも、実は大事です。次回はそこについてお話しします。

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担当カテゴリー

学び・遊び・教育

教育ジャーナリスト 田口まさ美

出版社の小学館で教育誌・ファッション誌編集含め23年以上(教育編集者として10年)携わり2022年独立。教育ジャンルでは初等教育教員向けコンテンツ中心に教育、学習、子供の心の育ち、非認知能力・海外の教育などのコンテンツ編集を経験。現在教育ジャーナリストとして親子に役立つ情報を発信。カナダ留学中の娘の母。Starflower inc.代表取締役。

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