できていないことばかり注意してしまう…子どもに厳しくしがちな人に、意識してほしいこととは?

できていないことばかり注意してしまう…子どもに厳しくしがちな人に、意識してほしいこととは?

子どものことを思うあまり、できていないことばかり注意してしまう…そんなパパはいませんか?「子どもについ厳しくしてしまうという人に、意識してほしいこと」について、大阪教育大学教授で大阪教育大学附属天王寺小学校長の小崎恭弘さんに教えてもらいました。

子どもをほめよう、というけれど

「子どもをほめて育てましょう!」最近子育て関連の雑誌やネット上などでよく聞くフレーズです。もちろんほめること自体は決して悪いことではありませんし、そのことで子どもたちがやる気を出したり、肯定感をもったりする部分もたくさんあります。ぜひ子どもたちをいっぱいほめてあげてほしいと思います。

とはいうものの、ほめ続けるだけで子どもたちがよく育つとも思いません。時にはいけないことをしっかりと伝えたり、叱ったりすることも必要だと思います。良いことも悪いことも含め、子どもとの関わり方のバランスが大切なのだと思います。

子どもに厳しすぎる“上司のような”パパたち

しかし時々、“子どもとの関わりのバランス感が悪い”パパについて、ママから相談を受けることがあります。先日も講演会後に4歳児のママから相談を受けました。「子どもに対してできないところばかりを注意するパパなのですが、あまりに厳しすぎるように感じます。どのようにしてあげたらいいですか?」。思い起こせば、過去に何度も同じような相談を受けました。一部だとは思いますが、子どもたちにかなり厳しいパパたちが存在します。イメージとしては、なんでもダメ出しをする上司といったところでしょうか。

「どうしてピーマンだけ残しているの?なんでもきちん食べないとダメでしょ」「自分でクツを履きなさい。そんなこともできないなら幼稚園に行った時困るよ」。ある意味「しつけ」であり、子どもの成長や将来の良き生活を願っての言葉や行動であると思います。子どものことが大切であるからこそ、ついつい厳しい口調やパパの理想とする姿を求めているのだと思います。

しかし、子ども側から見た感じるものはどのようなことでしょうか?少し視点を変えて考えてみましょう。

子どもたちは一生懸命。できることや良いところに目を向けよう

子どもたちは一生懸命に生きる生き物です。それは良いことも、そして時には大人から見ると良くないことも含めてです。一生懸命というのは、全力で物事に挑むということで、そのことに集中しているということです。行動や気持ちをうまくコントロールができません。大人から見る「うまくする」「加減をする」「調整を行う」「適度に対応する」などが苦手です。だからこそ子どもという存在自体が素敵なものなのでしょう。この一生懸命さは、いやなことや苦手なものに対しても当然ですが発揮されます。「キライなモノは嫌い」「いやなことはしたくない」という感じです。潔いですね。

しかしパパにはそれが許せない。子どもが自分の思い通りにならない。それも「子どものため」に言っている事やしていることに対して、嫌がられたり反抗されたりすることが。だから余計に厳しく対応してしまうのでしょう。その気持ちは大切にしてほしいと思いますが、ここの「子どものため」というフレーズが曲者です。

4歳の子どもは生まれて来て、まだ1500日ほどです。その間に言葉を覚えて立って歩いて、家族やお友だちと一緒に生活ができるようになってきました。これってとてもすごいことだと思います。だから、できないことやダメなことよりもまず、できることや良いところに目を向けてあげてほしいです。ダメ出しではなく、できたことの素敵さを認めてあげてください。未来に向けて、できないことが気になるのはわかります。けれど未来とは、今現在の積み重ねの先にしか存在しません。未来のために今を我慢したり無理をしたりするのは、もったいないと思います。大切なのは「今・ここで」子どもがご機嫌に過ごすことです。

パパに限らず、親はぜひ子どもの良いところを見つけてあげて、今日という日を素敵に過ごせるようにしてあげましょう。その先に子どもの豊かな育ちがあるのですから。

教えてくれたのは

小崎恭弘さん
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。
http://kasei.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/teachers/5.html

ライター

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&あんふぁん編集部 &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

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