「パパ見知り」&「ママがいい!」に効く魔法の言葉「◯◯◯」

「パパ見知り」&「ママがいい!」に効く魔法の言葉「◯◯◯」

あんふぁんWebをご覧のみなさん、こんにちは!子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長の杉山です。今月は、幼稚園で配っている「あんふぁん」誌面特集で、悩めるパパたちへアドバイスをさせていただきました。よければご覧ください。https://enfant.living.jp/upbringing/tokusyu/1045167/2/

20年前から変わらない悩み

さて、徐々にではありますが、男性の育休取得率は上がってきました。また数値には現れませんが、育休を取らず(取れず?)とも、週末の公園には子連れのパパがたくさんいて、ショッピングセンターなどでもベビーカーを押すパパの姿を見かけることは本当に増えてきたと思います。

手放しに「時代が変わった」とまで言っていいかはわかりませんが、少なくとも僕が育児をスタートさせた20年前とは景色が変わっているように感じます。

ただ、イベントやセミナーで出会う子育て真っ最中のパパたちの話を聞くと、その悩みはあまり変わっていないように感じることがあります。夫婦間のコミュニケーションの悩みや仕事との両立に関する悩みはその代表的なものだと思いますが、もうひとつよく聞くのが、「なんだか娘に嫌がられる…」「息子から『ママがいい』って言われちゃう…」という悩みです。

わかります。めっちゃわかります。

急いで仕事を終わらせて、疲れた体に鞭打って帰宅。妻も助かるだろうと思って一緒に遊んだりしていると「えーん!!!」響き渡る泣き声。もしくは「やめて!ママがいいの!」という声。

切なさとむなしさに包まれた無力感と脱力感。時にはそれにイライラしてしまうこともあったと思います。

でも!それほど落ち込む必要はないのです!

生後すぐの「2番じゃだめ」

人見知りが始まるのが生後半年くらいからと言われますが、これは段々と人の区別がついてきた証拠のようです。はっきりとした違いまではわからなくても「何かいつもと違う」ということ。赤ちゃんは未熟で自分ではできないことが多いがゆえに、最も安全にお世話をしてくれる人を探す本能があって、いつもと違う人だとすぐには信頼ができないので「違う!」と抵抗するということです。そうするとおのずと一緒にいる時間が長い人がベースになるので、多くの場合で「パパ<ママ」となってしまい、パパに抵抗する「パパ見知り」をしてしまうということのようです。

重要なポイントは「最も安全に」ということ。つまりその場にいる中で1番でないといけない。2番じゃダメ。でも、裏を返すと、1番の人、つまりママがいない状況だったら変わってくる可能性があります。例えば、ママがお出かけしている時にパパと赤ちゃん二人きりのケース。最初のうちは、本来1番であるママを探してギャーギャー泣くとしても、そのうちパパにも慣れてきて大丈夫になることがあるのです。慣れるまでの時間は個人差があるので、ママが帰ってくるまで続くこともあるとは思いますが。

パパが1番になりえるケースは他にもあります。例えば公園や子育て支援施設にパパと二人で行った場合に、子どもにとって1番安心な人がパパになる可能性は十分にありますよね。そうやって1番でいる時間を増やすことで信頼を勝ち取っていくことで、その後の信頼関係にもつながっていくと思います。

ただ、この方法のさらに重要なポイントは「パパがママに次ぐ2番目であること」が条件になります。そうじゃないと、ママがいないところに行ってもパパは1番になれないケースが出てきます。むしろ「信用できない1位」になっていたら、どこに行ってもダメです。

家の中で「パパ見知り」をくらって落ち込んだり、「もういいよ」とすねてたりする暇はありません。2位の座を死守しなければ!とはいえ、子どもが「パパ見知り」をしている時に無理やり近づこうとしたり、ちょっかいを出したりするのは逆効果。簡単に2位から陥落してしまうので、妻の裏方に回るなど別の方法で家庭運営に関わるようにしていきましょう。

妻がどんな態度を取るかはきっと自分次第

いくら理論としてわかっていても、最愛のわが子に嫌がられるということは大いに傷つきます。そんな落ち込んでいるタイミングで、目に映るのは妻に抱かれて落ち着くわが子。「自分は父親としてダメなんじゃないか」とまで思うことがあります。ここにダメ押しで「やっぱりあなたは頼りないね」と言わんばかりの冷たい妻の視線。もしくは「やーい、嫌がられて落ち込んでやんのー」という茶化し。そんな状況になったら、わが子に対する落ち込みはベクトルを変えて妻への怒りに変わることも少なくないでしょう。

この時、妻に「そういう時くらいやさしくしてよ」とお願いすることもできるとは思いますが、お願いなんてしなくても労わってくれる関係性を作る方が大事だと思います。要は、普段から妻の状況に共感して労わりや感謝を伝えていることこそが、巡り巡って返ってくることなんだと思います。わが子に嫌がられて落ち込んでいる時にダメ押しを食らうのはおそらくではありますが、自業自得なところが少なからずあると思った方がいいと、僕は考えています。

なぜなら、妻を責めずにすむからです。

もちろん、辛い思いを理解してよ!と思うことはありますが、思い通りにはならないことの方が多い。でも、自分から相手に寄り添うスタンスを実践しまくって、そうすることが当たり前の関係性を作り上げた時にこそ、いい関係になれると思うようにしています。

いずれにしても「パパ見知り」はそんなに長くは続きません。ママだけでなくパパの事も認識できるようになれば、落ち着くとおもいます。ただ、その後にやってくるのもまた厄介です。

幼児期の「ママがいい!」の計り知れない攻撃力

1歳後半くらいからでしょうか。少しずつ言葉が達者になってきた時に、再び「パパ見知り」の悪夢がよみがえってきます。それは・・・

「ママがいい!」

という反抗。赤ちゃんに嫌がられるのとは違って、なんとも切れ味の鋭い失格の烙印。実際はそこまでのことでもないのですが、感覚的にはそのくらいの攻撃力を持っています。言葉って本当に残酷。そしてオブラートゼロの表現がその残酷さを倍増させます。

これまでの楽しかったわが子との思い出が走馬灯のように駆け巡ります。
これまたわかっていても、失恋とほぼ同じくらいのダメージを負うんです。

ただ、僕は個人的にコレの対抗策には早めにたどり着きました。小さい子どもとはいえ、こうして言葉を話すようになったわけで、こちらも言葉である程度のコミュニケーションを取れることは大きいところ。

ある日の夜、寝かしつけをしようと寝室に向かった時に娘から「ママがいい!」と言われたので、即座にこう返しました。

「オレも」

娘のきょとんとした顔は今でも忘れられません。そして、一緒に妻のところに行って「オレたちママと寝たいんだけど、どう?」と質問すると、妻は「あとでいく」と一言。僕は娘と「先に行って一緒に待とう」という話でまとまり、穏やかに寝室に行くことができました。もちろん娘は待ち切れず絵本を読んでいる途中で爆睡しました。

娘との関係性を変えた!「オレも」という言葉

最初は反射的に出た言葉だったのですが、後々分析してみると「オレも」という一言は娘と僕の関係性をがらりと変えたことに気付きました。それまでは「パパはママと自分を引き離す敵」だったのですが、「パパは私と同じようにママと一緒に寝たい仲間」になったのです。なんて便利な言葉でしょう。でも、娘が「ママがいい」という気持ちもわからなくもないし、自分にとっても「ママがいい」というのは嘘ではありません。

以降、「オレも」は結構使いました。娘がスーパーのお菓子売り場で「これ欲しい!」と言ったら「オレも欲しい!」と仲間スタンスに入ります。その上で、「オレも欲しいんだけど、今ちょっとお金足りないから、次は買うためにお金を貯めて来よう!」みたいな感じです。ただ、この場合、次に来た時には本当に買うようにして自分の信用を落とさないように気を付けていました。でも次に来た時にはそれが欲しいと言ったことすら忘れてしまうことの方が多かったと思います。

いずれにしても、「パパ見知り」にあったって、「ママがいい!」と言われ倒したって、終わってみればいい思い出。もう落ち込むのはしょうがないところなので、一喜一憂できる今をぜひ楽しんでください。

この記事を書いたのは

杉山錠士
1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。
■著書
*新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~(主婦の友インフォス情報社)
*急に「変われ」と言われても(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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