「自分の子が何を考えているのがわからない!」わかる日は来る?先輩パパコラム

わが子が突然好物を食べなくなった!

おふくろの味はなぜ飽きないのか?そこには明確な理由があると聞いたことがあります。文献などを読んだわけではないので、正確な情報かどうかはわかりませんが、“わずかな味のブレ”がカギを握っているということです。
機械でもない普通の人間が毎日同じ味のものを作るのは至難の業。むしろ同じ味で作れることは才能です。特に女性は体調の変化が大きいため味のブレが生じやすいようなのですが、むしろこれが食べる方にとってもおいしく感じるというのです。食べる方の体調も毎日かわりますが、何よりまったく同じ味を食べ続けると飽きてしまうという理由があるみたいです。反対に飲食店では同じ味が求められますから、体調の変化が少ない男性の料理人が多いことも納得できますよね。

特にうちの母親は、味のブレがなかなかのものでした。何せ全て目分量。そりゃまあそうなりますよね。でも、おいしかったし、今でも実家に帰って食べると安心します。
それはさておき、僕はこの話を聞いて妙に納得するとともに、人間の面白さを感じました。毎日違うのがいいということもあるんですね。

一方で困ることもありました。

娘が小さかった頃、親子丼が大好きでした。元々小食なのでいろいろ困ることはあったのですが、どんなに機嫌が悪くて食べるのを嫌がっていてもこれを出せば食べてくれるという鉄板メニューだったんです。最初のうちは時々しか出していなかったのですが、ある時、多分仕事が立て込んで忙しくなった時期があり、考える余裕がなかったので、親子丼を連発していたのですが、ある日突然「これ食べない」と言い出したんです。

え?昨日まであんなに食べてたのに…
明確な理由はいまだにわかりません。きっと本人もはっきりとはわかっていなかったと思います。その後も時々そういうことがありました。昨日まで好きだったはずのものが急に苦手なものになってしまう。子育てをしている中で同じような経験をした人は結構いるんじゃないでしょうか?

うちの子が何考えているかわからなくて…

パパ友やママ友からそんな相談を受けることがありますが、そんな時にこの親子丼の話をします。結論から言うと「僕もいまだにわかりません」としか言えないんです。

長女に関して言えば20年、次女で言えば12年も一緒にいるわけですから、ある程度、考え方の傾向は感じられるし、性格もなんとなくわかる部分もあります。でも、わからないこともたくさんあります。もっと長く一緒にいる妻の事に至っては、傾向すらつかめているかどうか怪しいもの。そうでなければ、変な地雷を踏むことだってないはずです。

「今日という日は二度と来ない」と言いますが、人間だって毎日変わります。若いうちは成長、いつの頃からかは劣化もあるでしょう。気分もテンションも毎日違います。特に成長が著しく、感情もまだコントロール練習中の子どもたちはなおさらでしょう。

「わが子であろうと何を考えているかわからない」ということを受け容れて、腹をくくってその変化や「今」考えていること、感じていることをよく観察して推測することが大切なんだと思っています。

観察が大切なのは2つ理由があります。ひとつは子どもが感じていることや考えていることをうまく伝えられるかというと難しいですよね。そしてもうひとつは、本当のことを言うとは限らないということです。ある程度大きくなって説明がうまくなったとしても、いやむしろ、大きくなるほどに「本当のことを言わない方がいい」と考えることも増えるでしょう。自分が子どもの頃、親に聞かれたことを全て正直に答えていましたか?

「わが子のことは全てわかる」という人の方が気になる

以前、小学校のイベントの中で女の子がいきなり男の子に突き飛ばされてケガをしたことがありました。しかも僕の目の前で。幸い大事にはなりませんでしたが、男の子のお母さんに事情を説明すると「うちの子はそんなことしません!」と言いました。同時に、それまで自分でやったと認めて謝っていた男の子も「僕はやってない」と言い出したのです。この時は本当に参りました。

正直、こういったお母さんの気持ちはわからなくもないです。そりゃやっていない方がいいわけです。でも、わが子が親の思い通りにならないことなんていくらでもあるわけです。なのに、自分の見ているわが子の姿が100%であると思い込むと、よくないことが起こりそうです。
そうやって「この子はこうだ!」と親が決めつけてしまうことは、子どもにとっても窮屈ではないかと思います。
何もこれは「うちの子は優等生だ」という決めつけだけでなく、「うちの子は全然できない」という決めつけも同じです。どうせできないと思われている中で頑張るのはしんどいですよね。

わからないからわが子は面白い!

きっとわからないから面白いんだと思います。
先ほど挙げた親子丼の例は、僕にとって困ることでしたが、反対に昨日まで嫌と言っていたことを今日は突然率先してやってくるようなうれしい変化だったあります。そういう時には何を考えているかわからないなんて誰も言いませんが、結局同じことだと思います。
「わが子のことがわからない」と悩むのはとても健全なことで、向き合っている証拠だと思います。

わからないから注意深く見る、わからないから興味を持てる。いわゆるミステリアスなものに興味が出るようなものかもしれません。ずっと見続けていないとわからない変化もありますが、それに気づけたときのうれしさといったら!
でも、わかったと思えても一瞬で変わったりして、子育てというよりも人間って本当に奥深いなあと思います。

この記事を書いたのは

杉山錠士
1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。19歳と11歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。
■著書
*新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~(主婦の友インフォス情報社)
*急に「変われ」と言われても(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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