食育のつもりが…コミュ二ケーション能力を高めた、 先輩パパの意外な教育法

食育のつもりが…コミュ二ケーション能力を高めた、 先輩パパの意外な教育法

あんふぁんWebをご覧のみなさん、こんにちは!子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長の杉山です。

きっとこのコラムを読んでいるパパはお子さんがまだ小さい方が多いと思いますが、僕はというと、長女はすでに成人しています。いやー、早いものです。小さい頃から二人で行動することが多く、将来役に立つかもしれないと思ったことをいろいろと伝えてきましたが、その結果みたいなものが感じられるようになってきました。

今回は中でも僕が食育を目的にしたことで効果を感じている3つの方法。そして、意外に食育以外のところにも影響があったと感じていることをお伝えしたいと思います。

「おいしくない」はやめる

子どもって本当に正直。こだわって一生懸命作った料理を出した時に、大人であればその手間や思いを踏まえて例えイマイチだったとしても「まあ、うん」みたいな返しをすると思います。(ただし、うちの妻は例外ですが涙)ところが子どもは「これ、おいしくない」とバッサリ言いがち。もちろん正直なことは悪いことではありません。ただ、表現は少し変えた方がいいと思ったのです。

「おいしい」か「おいしくない」かは、あくまで食べた人の感覚。主観です。ある人が「おいしくない」と思っている料理でも、他の人は「おいしい」と感じる場合があります。逆もしかり。だから「この料理はおいしくない」と、まるで事実のように表現すると、作った人にも失礼ですし、それをおいしいと思っている人にとっても気分がいいものではありません。

だから「私にとってはおいしくない」もしくは「私には合わない」「私は苦手」と「私は」をつけることを提案して、これがあくまで自分の感覚=主観であることを伝えました。これは「おもしろいorおもしろくない」「かっこいいorかっこよくない」などにも応用が利くことで、主観と事実を分ける練習だと考えていました。そうすることで、自分とは違う感覚や意見も認めることができて、いわゆる「どっちが正しい論争」しないで済むし、違う人を責めることもなくなるだろうと。

今はアート(クラシックバレエ)の世界にいる長女。いろいろな国の人と触れ合い、それぞれの個性が武器となる世界で認め合って前進していくことに抵抗なくなじんでいます。

自分に合うニンジンを探す

これもまた「おいしくない」に通じるところではありますが、子どもの好き嫌いに関すること。長女は無類のトマト好き。スーパーに行くと、まずはトマトを持ってきてカゴに入れます。一方であまり得意ではないのがニンジン。妻の好物、野菜スティックを作ってもニンジンを避けて食べていました。ある日、スーパーに行ったとき。僕がニンジンを取ると「えー、ニンジン苦手だな」とつぶやいたので…

「あーそれはたまたまあなたに合わないニンジンだったのかも」

そう返したら「え?ニンジンによって違うの?」と長女。「そりゃ、人間だって一人一人違うんだからニンジンだって同じに見えても全部違うんじゃないの?たぶん、ニンジンから見たら人間だってみんな同じに見えるはずだよ」と。なんとなく、そんなことを思いついたので話してみました。

すると「そっか!」と納得した長女は自分に合ったニンジンを探すためにしばらくニンジンの棚と向き合って、セレクトしてくれました。家に帰ってから、もちろんそのニンジンを調理するわけですが、食べてみたらやっぱりダメでした。ただ、今までとは反応が変わりました。「あーこれも違ったか」という感じです。まず、苦手なはずのニンジンを積極的に一口食べることに繋がったこともよかったですし、何より一つ一つに個性があるであろう「ニンジン」を一括りにして「苦手なもの」と決めつけなくなったことはよかったと思います。

これが今の長女の人間関係にもつながっているようにも感じます。どこの出身だから、どこの中学だから、というレッテルをあまり貼らずにフラットな感覚なので、かなり幅広い友人関係ができていると感じます。

今おいしいものは黒板にある

今でこそ、チェーン系の居酒屋を中心にファミリー層を意識した子ども向けのメニューがあって、ファミレスのように利用する人も増えていますが、20年近く前は家族で居酒屋に行くことは少なかったと思います。

でも、僕は保育園帰りの長女とたまに行っていました。仕事を片付けてお迎えに到着するのはギリギリ。もう、ご飯を作るのが面倒!そして一杯飲みたい!そんな時は、長女に了解をとった上で、近所の居酒屋に行っていたのです。幸いなことに長女はおつまみ系の料理が好きだったので、二人にとって楽しい時間だったのです。

そこで長女に僕が伝えたことが、「まず黒板を見ろ!」ということです。当たり前のことですが、お店に着いたら普通はメニューを開きますよね。そこにしか料理のラインナップがないからです。しかし、店にもよりますが、居酒屋は違います。その日のオススメが描かれた黒板があります。ここに書かれているのは板前さんのオススメしたいものはもちろん、通年出すことが難しい旬の食材を使ったメニューがたいていあります。

今しか食べられないものは黒板にあるのです。

そんな話をしてからは、行く度におしぼりで手を拭きながら黒板を眺める保育園児になりました。もう少し大きくなってからは「パパ、今年もサンマが出る季節になったね」なんて言い始めました。食べ物の旬を覚えることは食育のひとつ。それを言い訳に居酒屋に行く頻度を増やしました(笑)。
黒板作戦は後にまた別のことで役立ったことがあります。漢字が読めるようになってくると、その黒板に書かれた「〇〇県産」というのにも食いつくようになりました。おかげで、地理と特産のあたりは成績が良かったです。居酒屋様様です。

意識高く食育をしたなんて正直思っていませんでしたが、食事や食べるということを大事にしたいと思っていたので伝えてきたことは、いろいろな効果があったみたいです。そんなことがもしみなさんの参考になればうれしいです。

この記事を書いたのは

杉山錠士
1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。19歳と11歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。
■著書
*新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~(主婦の友インフォス情報社)
*急に「変われ」と言われても(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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