「子ども部屋」は必要?わが家の結論と工夫を大公開
「子ども部屋って何歳から必要?」「異性きょうだいだけれど、同室はよくない?」「家が狭くて、子ども部屋作れないけれどまずいかな?」など、子ども部屋についてどうしたらよいか悩んでいるパパやママが多いように感じます。それぞれの家庭にとっての正解は違うと思いますが、今回はわが家の結論と工夫を紹介したいと思います。
子ども部屋ができたのはいつ? 歴史を紐解くと
私は建築関係の仕事をし、整理収納アドバイザーでもあることから、子ども部屋について相談されることが多々あります。そんな中、子ども部屋の歴史について調べてみました。子ども部屋の歴史を知っても正解がわかるわけではありませんが、歴史を紐解くことで、ヒントがあるのではないかと考えました。
子ども部屋の起源から紐解くと…
子ども部屋の紀源は、18世紀の西洋から。フィリップ・アリエス「〈子ども〉の誕生:アンシァン・レジーム期の子どもと家族生活」によると、家族のプライベート化、個室化が進む中、子ども部屋が作られるようになったのは、「子ども」という存在が認識されるようになったからなのだとか。子ども部屋は、家の中に最初から組み込まれていたものではなく、家族が近代化し、個人空間の必要性が高まったこと、それに合わせて、子どもの存在が認識されるようになったことから生まれたものであるようでした。
さて、明治時代に入ると、西洋の「子ども部屋」という概念が日本にも入ってきました。しかし日本の価値観に合わず、明治時代には普及しなかったようです。日本で本格的に子ども部屋が広まったのは、子どもを独自の存在として認める児童研究の動き、さらに子どもを尊重し個人主義を実践するという大正デモクラシーの思潮が加わり、「子ども本位」という概念が生み出されていった大正時代になってからだったようです(「子どもをめぐるデザインと近代:拡大する商品世界」より)。
子ども部屋の考え方の違い…欧米では寝室、日本では勉強部屋
欧米では、小さいときから子どもをひとりの個として扱っています。そのため生まれたらすぐに個室を与えて、夫婦とは別で眠ることが多いです。「個室をつくる」ということが「個を育む」ということでもあるのです。
一方、日本では寝室というよりも、勉強部屋として子ども部屋を捉えがち。今でこそリビング学習がもてはやされていますが、学習机を置くのは子ども部屋が一般的ではないでしょうか。また日本では、子どものひとり寝は就学以降がほとんどで、小学生ではまだ親と寝ている子が多く、中学生になっても親と寝ている子もいるようです。
わが家の子ども部屋の結論と工夫
子ども部屋に求められる役割は多くあり、いろいろな考え方があると思いますが、私が子ども部屋を考えるときに大切にしているのは「子どもたちが自由になれるスペースを一緒につくる」ということ。
わが家は、夫と、小学1年生の長男、年少の次男の4人家族。長男小学校入学、次男幼稚園入園のタイミングで、息子たちに「どこで寝たいか」「勉強は学習机でしたいか」「おもちゃはどこに置きたいか」改めて聞いてみました。
その結果、「家族みんなで寝たい(2人とも)」「勉強はみんながいるところでしたい(兄)」「大事なおもちゃは弟に勝手に触られないようにしたい(兄)」「おもちゃは駐車場に停めたい(弟)」との回答。ちなみに夫は「リビングにおもちゃが散らばっているのはくつろげない」と言っていました。
特注シーツで家族4人で寝られる工夫
家族みんなで寝たいという息子たちの意見を尊重して、現在、わが家ではシングルベッド3台を並べて、4人川の字になって寝ています。いつか「ひとりで寝たい」と言うことを想定して、ベッドだけではなく、マットレスもシングルサイズのものを3つ並べています。
しかし、そうするとマットレスの隙間が気になってしまうので、シーツは幅270cmのものを特注で作ってもらいました。とても大きなシーツなので、洗濯やベッドメイキングに手間はかかりますが、息子たちと一緒に寝られる間は、そんな手間も楽しみたいと思っています。
ベッドなどの大きなものを購入する時は、ちょっと先の家族の未来も想定しておくと失敗が少なくなるように思います。ベッドもマットレスもシングルサイズを購入しているので「ひとりで寝たい」と宣言された際には、柔軟に対応できるようにしています。
ダイニングテーブルを買い足して、みんながいるところで勉強ができる工夫
小学校入学を機に、学習机を購入する人も多いのでは? わが家も学習机を購入する予定でいましたが、最終的には学習机の代わりにダイニングテーブルをもう1台購入しました。
この選択は「勉強はみんながいるところでしたい」という長男の意見を踏まえてのものでしたが、もうひとつ嬉しい相乗効果が! 兄のやることに憧れを持つ次男が、自ら兄の隣に勉強道具を持っていき、隣に座って学習しているのです。ひとりサイズの学習机ではなく、大きなダイニングテーブルだったからこそなせる技! 次男にわからないことがあると、すぐ隣にいる長男が懇切丁寧に教えてあげている姿はとても微笑ましく、いつまでも見ていたい光景です。
またダイニングテーブルが2台あるのは、私にとってもメリットが! 子どもたちがハイダイニングテーブルで勉強していたら、夕飯の配膳はローダイニングテーブルにします。日によっては逆のことも。息子はどうやら、宿題のようなチャチャッと終えられるような種類のものはローダイニングテーブルで、じっくり取り組みたいものはハイダイニングテーブルで行っているようです。
どちらにせよ、2台ダイニングテーブルがあることで、息子の作業を中断させることなく夕飯の支度が完了できるのは、私にとって願ったり叶ったりなのです。
最近は夫と在宅ワークの日がかぶることも多々あるので、そんな時にも重宝しています。
ちなみに2台目に購入したダイニングテーブルの天板サイズは135×70cmとやや小さめで、私の会社デスクと同じサイズ! ゆくゆく、自室で勉強したいと言った際には、こちらのダイニングテーブルを学習机としても代用できると考えています。
組み合わせ自由なオープンボックスで、自分だけの場所を与える工夫
わが家はふるさと納税でもらったオープンボックスを、ライフスタイルに合わせて柔軟に変化させてきました。積木のように積み重ねることができるので、弟に触られたくないおもちゃは上の方に収納したり、次男要望の駐車場スペースを作ってみたり。
また今回「リビングにおもちゃが散らばっているのはくつろげない」という夫の意見を踏まえ、おもちゃ置き場はソファーの後ろへ移動させました。
どんなに散らかしていても、ソファーに座っている人の視界には入ってこないので、子どもにとっても大人にとっても居心地の良いリビングになっていると思います。
ライフスタイルに合わせて、オープンボックスを組み換えてきたのを見ていた長男は、自分のランドセル置き場のオープンボックスをずらして、新しく購入した鍵盤ハーモニカ置き場を作っていました。
このオープンボックス、並べて重ねると大きな家具のように見えますが、一つひとつは子どもでも移動させることのできるサイズ。個室で自分のものを管理したくなった際も柔軟に対応できそうです。
「子どもたちが自由になれるスペース」は、年齢とともに日々変化していくと思います。「子ども部屋とはこういうものだ」と決めつけ、そこへムリヤリ子どもをはめ込むのではなく、家族みんなで話し合って、その時その時のベストを見つけていくことが、家族にとっても、子どもにとっても、最高の「子ども部屋」になると感じています。