文字がきれいに書けない子、どうすれば上手になる?

文字がきれいに書けない子、どうすれば上手になる?

子どもの書いたノートや連絡帳を見たときに「枠からはみ出してるし、汚くて読めない…」と感じたことはありませんか? 「学校でも家でも何度も丁寧に書くように言ってるのに、何で直らないの?ずっとこのままなの?」と心配になることも。実は、いくらまわりの大人から「丁寧に」「きれいに」と言われても、「どうやったらきれいな文字になるのかわからない」と感じる子どもも多いのではないかと思います。
そこで、今回は文字をきれいに書く方法と「書けない」特性について考えていきます。小学校の通常級担任や特別支援教育コーディネーターとして活動した経験から、詳しくお伝えします。

字がきれい=字の形が再現できる

低学年のうちは文字の形をしっかり覚えて、きれいに書く練習を繰り返します。家で子どもに丁寧に文字を書かせたいときは「きれいに書きなさい」ではなくて、見本となる文字を示して、「これと同じ形に、マネして書いてみて」と声をかけるといいですよ。間違い探しやパズルのような感覚がもてればばっちりです。
文字の形には次のようにさまざまな特徴があり、再現して書くときには大切な点がたくさんあります。
・はらう
・はねる
・とめる
・折れる
・とめはらい
マスのどの位置から書き始めるか・進む方向(角度)はどちらか
・線の長さはどのくらいか
などです。
文字の線や形をよく見てその特徴をマネすることで、いわゆる「きれいな文字」を書くことができます。まずは「そっくりさんを作るんだよ」という伝えながら練習を始めましょう。

マスと十字リーダーを意識する

文字の形を正しく再現するためには何度も練習が必要です。文字を練習するときには、必ず「十字リーダー」があるマスを使いましょう。マスの中が十字に仕切られているもののことです。
十字リーダーのあるマスで練習する理由は以下の通りです。
・文字の書き順を確認する
・4つのどのマスからはじまり、どのマスを通っているか確認する
・線の終わりのマスを確認して、ゴール地点をつくる
・1マス書き終わったら、同じように何度か練習する
さらに、十字リーダーを赤線でなぞることでマスが区切られて見やすくなります(この方法は、書き方教室の先生に教えてもらいました)。
マスの部屋ごとに色分けすると視覚的な情報が多すぎるので、子どもによってはわかりにくくなる場合があります。大人がチェックするときも、「スタートがぴったり同じ場所になっているね」とか「どの線の上を通るかな?」「どのくらい線からはみ出ているかな?」と、同じ形を書けるような声かけができるといいですね。

子どもがもつ特性も気をつけて見る

もし何度練習しても筆圧が上がらなかったり、極端に違う文字を書く場合は、子どもが文字を書くことに対してなんらかの特性を持っている可能性があります。文字を書くときに気になる特性のひとつが書字障害(ディスグラフィア)です。書字障害とは、LD(学習障害)に含まれ、「書く」ことに困難がでる特性です。大きな特徴としては、知的発達に大きな遅れがないのに文字を書くことだけが苦手だという点です。
具体的には、以下のような困り感をもちます。
・マスや行から大きくはみ出る
・書いた文字が鏡文字になる
・漢字を覚えることが極端に苦手
また、書字障害以外にも発達性協調運動障害が原因で体の動かし方に困難があり、文字を書きにくい場合もあります。日常生活を特に問題なく過ごしている人でも、極度に不器用な場合はこれに当てはまる可能性があります。
文字を書く練習自体がまったくできない場合や保護者が子どもの様子を見ていて気になるところがある場合は、担任の先生に相談してみるのもいいかもしれません。そして、特性に応じて学校に合理的配慮を依頼する必要もあるでしょう。上手に書きたいのに思うようにできず、困っているのは子ども本人です。環境を整えるところから、まわりがサポートしてあげたいですね。

無理せず楽しめる雰囲気が大切

上でもお伝えしたように、学校に配慮をお願いすることができれば、文字を書くことが苦手でもまったく問題ありません。最近では、学校でも以下のような配慮を積極的に取り入れるようになっています。
・今はスマホやパソコンで文字を入力できる
・音声入力ソフトなども、精度が上がっている
・タブレットでの学習がどんどん普及していて、当たり前になっている
もちろん美しい文字が書ければ、まわりの人からほめられて子どもの自信にもなります。だから、文字を書く練習すること自体はいいことです。しかし繰り返し書くこと以外にもその子どもが自己肯定感を高められるような方法、時間の長さ、道具などを取り入れていけるようにしたいですね。目標を決めて、達成できたら何かごほうびを用意するのもいいでしょう。子どもに無理をさせない、楽しめるような工夫で楽しく練習できることが一番です。

ライター

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こどもりびんぐ &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

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