もしかしていじめ?と思ったとき親子で読みたい絵本5選
「わが子の様子がなんとなくおかしい。学校でなにかあった?」「もしかしていじめ?でも子どもは何も言ってくれない」そんな時、絵本を通して会話の糸口を探してみませんか。絵本専門士が選ぶ5冊を紹介します。
「いじめ」ってどんなことをいうのかな
「いじめだよ!」
文:フランチェスコ ビトー、絵:ベルナデット ジェルベ、訳:栗栖カイ、ブロンズ新社
「ふとってる子をからかうのはいじめだよ」「ひとにつば、かみのけをひっぱること、けとばすこと、これもいじめだよ」
おもしろくて調子にのってしたいたずらも、相手の気持ちに立って考えてみると、いじめになってしまうことがあると教えてくれます。
自分ではふざけていただけのつもりでも相手にとっては、「いじめ」と感じられることもあるということ、「いじめてやろう」そんな気持ちがなくてもいじめを起こしてしまうこともあることを知ることができます。絵本を通して、「こんなことされたらイヤだよね」と一緒になって考えるきっかけになるのではないでしょうか。
※現在「品切れ・重版未定」の絵本です。図書館などで探してみてください
イヤなことはイヤと意思表示していい
「うさこちゃんとたれみみくん」
作・絵:ディック・ブルーナ、訳:まつおかきょうこ、福音館書店
転校生がきました。片耳がたれているダーンのことを、みんなは「たれみみくん」と呼びます。うさこちゃんはそのことが気になっていました。うさこちゃんはダーンに「イヤじゃないのか」とたずねます。本当はイヤだったと知ったうさこちゃんは、みんなに名前で呼ぼうと提案します。
悪気はなく、親しみを込めて言ったつもりでも、相手にとってはイヤなこともあることが、小さい子にもわかりやすく書かれています。
この絵本をきっかけに、子ども自身がイヤな呼び名で呼ばれた時に、「どう思う?イヤってみんなに言えるかな?」と聞いてみるのもいいと思います。人に不快な思いをさせないことも大事だけれど、自分が「イヤ」と声をあげることの大切さについても、一緒にお話しできるといいですね。
ウワサや人の評価で判断していない?
「あしなが」
作:あきやまただし 講談社
最近この町にやってきたあしなが。お金持ちだとか、子犬を誘拐して食べているとか、ウワサ話が横行します。「かっこいいけど、最低のやつ」と思っていたけれど、実際はみんなと同じ野良犬で話してみると…結構いいやつだったのです。
ウワサ話や人づての評価だけで人を判断してはいけませんね。「あなたが根も葉もないウワサ話を立てられたらどう思う?イヤだよね」と自分自身のことに置き換えて考えられるように促してみてはどうでしょう。
「自分たちと違う子=異質なもの、自分たちの仲間ではない、友達ではない」と考えがちですが、まずはその考え方にストップ! 自分と考え方の違う子もいる、服装の違う子もいる、肌の色が違うかもしれない、そんなことを考えるきっかけになる一冊です。
勇気を出して声をあげてみる!できるかな?
「ちっちゃな サリーは みていたよ ひとりでも ゆうきを だせたなら」
文:ジャスティン・ロバーツ、絵:クリスチャン・ロビンソン、訳:中井はるの、岩崎書店
クラスで一番ちっちゃくて、存在感のない女の子は、ある日、気になっていたことに声をあげます。
声をあげてみると、意外にもみんなが共感してくれました。ひとりではなかなか勇気が出ませんが、ひとりの小さな発言がみんなの意識を大きく変えることになりました。
気になっていたけれど、見てみぬふりもできない。勇気を出してサリーは声をあげましたが、声をあげられない子だってもちろんいます。日々、「何か学校で困ってることない?」と声をかけてあげながら、ママになら言ってもいいのかなと思ってもらえるような土台を作っていきましょう。
あら不思議!イヤな部分の見え方が変わった
「ひっくりカエル!」
作:あんべひろし、絵:内田コーイチロウ、小学館
人や物事に対する見方を変える「リフレーミング」という心理学の手法が用いられています。
自分に自信のないとき、180度考え方を変えてみてはどうでしょう。こうも受け取れるけれど、裏を返せばこういう風にも考えられるよね、と。
自分のことも、お友達のことも、「こういうところ、イヤだな。きらい!」と思うようなことがあるかもしれません。そんな時には、リフレーミングです。目線を変えて見方を変えてみると、あら不思議!イヤな部分もいいように思えてきます。
まずは絵本を通して、リフレーミングをゲーム感覚でお子さんとやりとりしてみては? それが定着してきたら、「〇〇ちゃんにこんなことされた。キライ!」と言うことがあれば、「でももしかしたら、〇〇ちゃんはこう思ってたのかもしれないよ」と声かけしてみたら、少し目線が変わるかもしれません。
自己肯定感の少ないお子さんへの声かけの参考にもなります。
読みっぱなしではなく、会話の糸口としての絵本
絵本にはたくさんのメッセージが込められています。しかし、幼い子ども達には、それをしっかりと理解し、自分の生活の中の場面に置き換えることは難しい一面もあります。そこで絵本は読みっぱなしにするのではなく、会話の糸口にしてほしいなと思います。
絵本のシーンや会話をきっかけに、日々の会話が増えたり、最近子どもの様子がおかしいなと思った時に、ママやパパから話題を引き出せるといいですね。いじめや差別をテーマにした絵本が身近にあることは、園や学校で、自分からは話しにくいことが起きたときにも、ママやパパには相談できるという関係性づくりに役立つのではないかと思います。
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