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幼少期から始めるマネー教育、専門家が教える「貯金箱は3つに分けて」

幼少期から始めるマネー教育、専門家が教える「貯金箱は3つに分けて」

子どもにはまだ早いかな?と思いがちな、お金の話。アンケート(※)では88.4%の人がマネー教育に興味があると回答しましたが、「いつから始めたらいいか分からない」「ママ・パパ自身が知識不足だと感じる」などの理由で始められていないようです。専門家の先生に、子どもへのお金の伝え方を教えてもらいました。
※2024年10月7日~11月7日/ぎゅって読者にアンケート/有効回答数1067/小数点第二位以下四捨五入

教えてくれたのは…

川口幸子さんの画像

川口幸子さん

クラウドコンサルティング代表取締役。幼少期を欧米で過ごし、お金の教育の違いを実感。米国の大学を修了後、銀行業務等を経て、FP資格を取得。現在までに約2万人の前で登壇し、約1万人と個別の相談アドバイスを行うなど、お金の教育と資産形成の大切さを伝えている

日常生活の中でお金のことを伝えよう

欧米では、3歳ごろから家庭や教育機関でマネー教育が行われています。日本においても、デジタル化が加速しキャッシュレス決済が主流の今、お金そのものの価値を知る機会が減っており、マネー教育の必要性は高まってきています。

子どもにお金のことを教えるベストタイミングとは

「お金のことをいつから教えたら良いですか?」と聞かれることがありますが、子どもが興味を持ったタイミングがベスト。一緒に買い物に行ったときや、お年玉をもらうときなど、興味を示すきっかけはあるはず。そのときに応じて疑問に答えたり、使い方を話し合ったりしてみましょう。

例えば、おもちゃなどを欲しがったとき、ものを買って渡すのではなく、一緒に買いに行って、手に入れるまでのプロセスを経験するのもおすすめです。欲しいものはいくらで、どのように買うためのお金をためたらいいか一緒に考えたり、お金がたまったら一緒にお店に行きレジでお金を渡してお釣りを受け取ったりと、一連を経験する中でお金に触れる機会が増えて、より自分ごとにもなるはずです。

堅苦しく考えず、オープンに話せる機会を増やして

大事なのは、子どもとの日常生活の中でお金を話題にしていくこと。子どもが「お金のことはオープンに話しても良いんだ」と認識できることで、ゆくゆくトラブルになることも減り、親に相談しやすくなると思います。「マネー教育」と言ってしまうと堅苦しくなりますが、日常生活の中でお金のことを一緒に考える機会を増やすことから、始めてみましょう。

日常生活のひとコマから、親子で楽しく始めるマネー教育

point1 お会計は子どもと一緒に

平日は忙しくても、休日など余裕があるときは子どもと買い物に行きましょう。一緒に商品を選んで、お会計では子どもにお金を払ってもらい、お釣りを受け取る流れを経験。さらに、募金箱がレジ横にあったら、いくらか入れてもらうのもいいでしょう。

point2 お金をもらったら、お礼を形にしよう

お年玉やお小遣いなどお金を受け取ったら、お礼をする習慣を作りましょう。感謝を込めてお手紙を書いたり、くれた人の似顔絵を親子で一緒に描いて渡したり。もらったことに感謝することの大切さを知るきっかけになります。

point3 貯金箱は3つに分けてみて

【1】好きに使っていい貯金箱(=どれだけ使えるのかを考えられるようになる)【2】目的のための貯金箱(=目的のためにためることを覚える)【3】誰かのための貯金箱(=人から感謝されることで達成感を覚える)、この3種類の貯金箱を用意すると、お金の大切さを実感できるようになります。貯金箱は透明な空き瓶など、お金の動きが見えるものがおすすめ。ふたや瓶に絵を描くなどオリジナルにすると、貯金箱自体に愛着も湧きます。

point4 お小遣い帳は日記風に

お金を誰からもらったのか、なぜもらえたのか、もらったお金を何に使ったのか日記風に記録するのもおすすめ。買い物に行った場所で拾った落ち葉なども一緒に貼って、お小遣い帳をつけることを楽しみましょう。

ぎゅって読者に聞いた!おうちでこんなマネー教育

読者アンケートでは、さまざまなマネー教育の実践例が集まりました。ここでは一部を紹介します。

子どもと一緒に買い物に行く

カプセルトイや自動販売機でお金を払う際、子どもにいくら必要か聞いて自分で考えさせ、自分でお金を入れてもらっている。(埼玉県/2歳・5歳のママ)

スーパーやショッピングモールなどで、「これは◯◯円だね。お菓子◯個分くらいだよ」と話します。お金の感覚が育つよう、「これはちょっと高いから欲しいけど我慢しとこうかな~」と、親自身が心の声を全部話しながら買い物しています。(神奈川県/5歳・小学生のママ)

金額内で好きに買い物させたり、スーパーに一緒に行って商品と値段の話などをする。(東京都/0歳・3歳・5歳のママ)

おつかいを撮影してくれるサービスを使っておつかいデビューしました。その際に「100円たんけん」という絵本を読んだところ、お金に興味を持ってくれました。場所は選びますが、可能な場所では子ども自らお金を払ってもらいます。電子決済を使いたいところですが、そういうときは我慢します…(東京都/5歳のママ)

お金をためたり、使い方を教える

財布を買い与え、お年玉の使い方は本人に任せています。友達との貸し借りは厳禁ということも教えてます。また商品券も渡して使い方を教えています。(千葉県/3歳・6歳・小学生のパパ)

子どもにお金の価値を伝える

何でも「買って!」「これ買う!」というので、お金は有限であること、お金を稼ぐために皆が一生懸命働いているということを伝えています。また、「このおもちゃはミニカー何台分だよ」「このお菓子3つではミニカー1台と同じなんだよ」と息子の大好きなミニカーの単位でお金の価値をお話すると分かりやすいようで、よく「ミニカー何個分?」と聞かれるようになりました。(神奈川県/2歳・4歳のママ)

フリーマーケットに参加して売り手を体験

フリーマーケットに参加し、子どもに店長として販売経験をさせ、売り上げは子どもへのお小遣いにしました。どのようにお金が稼げるのかという流れが分かったのかなと思います。また、次にどうしたら好きなものが買えるのか考えていて、良い経験でした。(東京都/5歳のママ)

長男が店長、次男が店員としてキッズフリマに参加。売り上げは2人に分配し、キッズフリマで買い物をするか貯金に回すかの判断は子どもに任せています。(千葉県/5歳・小学生のママ)

子どもが好奇心を持てる、こんな商品・サービスも活用してみて

これから親子でマネー教育を始めるきっかけとして、子どもが楽しく、好奇心を持てるさまざまな商品・サービスを活用してみては。ここでは、マネー教室、ボードゲーム、アプリの3つを紹介します。

キッズ・マネー・スクール(日本こどもの生き抜く力育成協会)

4歳から参加できる体験型セミナー。買い物体験や職業体験、電子マネーに関する講座まで、年齢に合わせた幅広いコンテンツを1日2時間の単発で受講できます。親向けに「お小遣いの考え方」についても解説。子育て経験のある講師も多く、子どものお金について相談できます。お金の学びを通じて、子どもの「ありがとう」の気持ちを育むことができます。

お買い物ごっこでは、子どもが店長として商品作りから店内の装飾、販売までを体験。お金に興味を持てるきっかけに

イベントやクイズでお金と社会の仕組みが楽しく学べる!「こどもお金すごろく」(幻冬舎)

知っておきたいお金の使い方や知識を、クイズやゲームで学べるすごろく。キャッシュレス化が進む中、お金を扱う感覚を楽しく体験できます。「お買い物すごろく」「キッズマネーすごろく」の2種類があり、成長に合わせて長く楽しめ、税や保険など社会の仕組みまでも学べるのがポイント。分かりやすくも知識が深まる内容は、家族で盛り上がること間違いなし。

コマを進めるたびに、お金にさまざまな使い方があることが学べます。すごろくなので何度も楽しめるのも◎

マネー学習アプリ「まねぶー」(mediba)

SDGsを意識して生まれたマネー学習アプリです。仕事体験や、アプリ内通貨「マネブ」での買い物など、3歳の小さな子どもでもできる簡単なゲームを通してお金に触れ、遊びながら自然に考え方が身に付きます。特に仕事は身近にある実在の企業の仕事がアプリ内でできるようになっているので、親子のコミュニケーションにもつながります。

アプリは無料で、時間制限を付けられて、子どもの一人ごっこ遊びにも最適。ひらがな、足し算や引き算、パズルなど知育要素も

イラスト/nanako

※この記事は、2025年1月発行の「ぎゅって 2025年2月号 首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです

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