嫌いなら嫌いでいいのでは。ただ、どんなところが苦手なのか、親子で考えてみませんか。一緒に考えることで「この虫は苦手」「この虫は大丈夫」という発見があるかも。また実際に自然の中で虫に遭遇すると「気持ち悪い」トーク、結構盛り上がりますよ。
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親子で一緒に体験自然と遊ぼう
「子どもに自然に触れる機会を与えたい」と考える親は多いですよね。
だったら子どもだけじゃなく、親子一緒に自然の中で思いっ切り遊びませんか?
アウトドアプロデューサーの長谷部雅一さんに、アドバイスしてもらいました。
ビーコン代表。アウトドアプロデューサーとして、アウトドア事業に関する企画・運営の他、研修講師、ネイチャーインタープリター、登山ガイドなどを務める。イベントでは子どもや親子を対象としたワークショップなどで、親子の関係を深め、楽しく学び合える場を提供。自然を舞台にした幼児教育にも尽力している。
圧倒的な存在の中で 人も自然に戻れる
天気を意図的に晴れにすることって、できないですよね。「自然は人にとってかなわない、自分の思い通りにならない存在」です。一方で大前提として「人も自然の一部」でもあります。だから、圧倒的な存在の自然の中にいると、人は本来の自然な状態に戻り、リラックスできるのではないでしょうか。自然に触れる時間が長ければ長いほど、回数が多ければ多いほど、人は自然な状態になりやすいと私は考えています。
子どもの体と心の発達に◎ 非認知能力や社会性が育つ
自然にはフラットな場所がありません。子どもたちはその中で遊ぶことで、ボディーバランスが整います。体も頭もいっぱい使って遊ぶので、家に帰ったらしっかりご飯を食べ、ぐっすりと眠れるようになり、早寝早起きのリズムが身に付きます。
また、自然は「何でだろう?」と興味をかき立てる素材の宝庫。子どもたちはその中で、「遊び込み」や「遊びの創造」を繰り返し、非認知能力、私の解釈では「学んだことを自由自在に使いこなす力」が育ちます。さらに、自然の中で人が関わると、人は「話し合う」「助け合う」「受け止め合う」ようになり、社会性が育ちます。大人はヒントを与える、素材を提供するだけで十分。子どもたちは勝手に動き出しますよ。
99.4%の読者が機会を与えたいと回答 自然体験の機会を与えたい! でも“き”になることがいっぱい
多数の親が「子どもにぜひ自然体験を!」と思いつつ、でも“き”になることもいろいろあるようです。
そこで、長谷部さんに一つずつ答えてもらいました。
※データやコメントは2023年4月12日~26日にあんふぁん読者に実施したアンケートから。有効回答数1557
私も子どもも虫が苦手…(埼玉県)
何をしたらいいのか分からない(神奈川県)
親が先導する必要はありません。子どもの方が答えを持っています。子どもがやりたいことを一緒にやればいいのです。
潔癖症で泥遊びなども嫌がる(北海道)
親自身が汚れたくないと思っていませんか? 親も一緒にドロドロになりましょう。泥遊びが嫌いな子に「泥遊びしよう」といっても嫌がるもの。例えば「一緒に探検しよう」と公園の植木の隙間を縫って歩くうちに気が付いたら泥だらけ…といった経験で楽しさを伝えて。
ゲームばかりで外に出たがらない(福岡県)
子どもを無理に外に出そうしても反発します。自分の子どもが何にワクワクするかを考えて、プレゼンをしましょう。例えば「○○ちゃんと一緒にきれいな景色を見に行きたい」「森の中で生き物探しの探検に行こう」と。伝え方が重要です。
子どもが迷子になりそうで不安(兵庫県)
親も一緒に遊ぶのが基本。少し距離をおいた方がよさそうなときも、様子が分かる場所からしっかり見守りましょう。子どもに自然遊びの経験があればあるほど、「これ以上親と離れたらまずい」といった危機感知能力も育っていきます。
夏の水の事故が怖い(千葉県)
不安なら、プロを頼るのが一番。ガイドさんに連れて行ってもらいましょう。現場で何に気を付けるべきかを聞き、親も一緒に学んだらいいと思います。
危険な生き物や植物を知りたい(福岡県)
例えば、蛇の中でもマムシには毒があり、シマヘビやアオダイショウにはありません。またウルシ科の植物は皮膚炎になる危険があります。ただ初めのうちは見分けがつかないので、「蛇全体」「放射状に葉が広がっている植物(ウルシ科の特徴)」には近づかないなど、と大きな枠でルール作りを。
安全面がどうしても気になる(神奈川県)
子どもは身長が低く、ボディーバランスが未熟で、皮膚はデリケート。そんな子どもの立場で安全管理を心掛けて。ただ擦り傷、切り傷など病院に行くほどでもない傷は、子どもにとって経験値に。経験を積むことで、安全かどうか自分で判断できるようになります。
まずは子どもがやりたいことを! シーン別 自然遊び案内
「自然遊びは子どものころ以来」という人は、ぜひ子どもと一緒に体験し、経験値のアップデートを。
見えてくるものがいろいろあるはずです。
自然遊びは子どもがやりたいことするのが基本ですが、+αとして長谷部さんにシーン別におすすめの自然遊びを教えてもらいました。
Mountain/山
「頂上を目指さない」がカギ
「頂上に上ろう」と思わないだけで、楽しくなります。頂上を目指すと、時間やスピードにとらわれてしまい、思った通りに行かないと親はイライラ…。寄り道をいっぱいして、スピードも気にせず、いろいろ周りを見て、眺望を楽しみ、おいしいお弁当を食べ、大冒険した気持ちになればいいのです。山でゆっくりと過ごし、山を満喫しましょう。
River/川
「ガサガサ」で水辺の生き物探しを
「ガサガサ」が楽しいですよ。草が生えている川で、てっぺんが平らになっている五角形の水遊び用の網(タモ網)を使い、川底をガサガサしてみましょう。ヨシノボリやナマズ、ドジョウ、ヤゴ、サワガニなど、さまざまな生き物が見つかるはず。またSUPなどの乗り物も親子で一緒にできるのでおすすめです。
Sea/海
タイドプールは磯の生き物の宝庫
満潮時に水没していて、干潮時に水上に現れる岩の隙間の水たまりのことを「タイドプール」と言い、海の生き物を観察するおすすめのスポット。カニやエビ、ヤドカリなどのほか、ハゼなどの魚に出合えます。季節に関係なく遊べますが、潮の情報は事前にリサーチし、引き潮のタイミングを狙いましょう。
Camp/キャンプ
親が楽なスタイルで子どもとの時間を満喫
おしゃれなテントやギアでのキャンプがはやっていますが、子ども視点で考えると、「親が楽なスタイル」が一番。テントやギアの設営に手間取ると、その分親子で遊ぶ時間が減ってしまいます。常設テント、ロッジなどを活用するのも手です。キャンプでは、ナイフを使ったり(3歳ぐらいから使えます)、まき拾いをしたりして、一からたき火をするのもあり。近くを散策するだけでも楽しいはずですよ。
Park/公園
人が多く集まるところ“ではない” 場所へ
都心部の公園にも十分自然があります。公園では、遊具や芝生広場など人が集まるところ“ではない”場所へ親子で行ってみましょう(子どもだけで行かせないように注意を)。垣根、トイレや倉庫の裏などには、面白いものがいろいろそろっています。見たことがない草花を発見することも。クモの巣やアリジゴクも観察しがいがありますよ。
Night/夜
満点の星空に心揺さぶられて
「夜」は懐中電灯を持って歩くだけで、冒険ができちゃいます。また、何といっても美しい星空は夜の自然の醍醐味。シートを敷いて寝袋や毛布をかぶり、夜空を見上げると、満点の星々に誰もが心揺さぶられるはず。調べると流星群が見られる日も案外多くあります。次々に流星を見られたときは、願い事も忘れて見入ってしまうはず。
Rain/雨
森の中へ幻想的な景色を見に行こう
雨の日は森の中を歩くと面白いです。森の中は木々が傘代わりになって歩きやすく、みずみずしい自然を満喫できます。生き生きしたコケや水にしっとり濡れた葉など、景色はぐっと幻想的に。大人と違い、子どもは雨が平気な場合が多いもの。レインウエア・シューズなどでしっかりと対策をし、遊べる環境を整えてあげて。