「学びの多様化学校」ってどんなところ? 親子が安心して過ごせる居場所
小学校の先生の経験を持ちながら、自身もママとして子育てに奮闘する4人によるリレーコラム「ママ先生といっしょ」がスタート。先生目線で、ときにママの目線で。入学準備や、入学後の困りごとや悩みの解決方法の糸口を探ります。苦しいことがあっても、笑顔で突き進めるヒントが見つかるかも。今回は、小学校教員としての経験を持つゆきこ先生による「学びの多様化学校」についてです。
学びの多様化学校とは?
「学びの多様化学校」って知っていますか?この学校は、もともと「不登校特例校」として設立され、不登校の子どもたちが安心して学べる場所として運営されてきました。令和5年より多くの子どもたちが自分に合った方法で学べる場として、名前も「学びの多様化学校」に変わり、その役割が広がっています。現在、全国の16都道府県(うち7つは政令指定都市)で設置されており、公立校が21校、私立校が14校あります。また、小学校、中学校、高校、そして義務教育学校(小中一貫校)といったさまざまなタイプの学校が含まれています。また学校によってもタイプやカリキュラムもさまざま。今回はそんな学びの多様化学校はどんなところ? どういう過ごし方をしているの? という一例を紹介させてください。
子ども一人ひとりに合った学び方
学びの多様化学校では、子どもの個性や興味、学習スタイルに合わせた教育が提供されます。例えば、ある学校では、絵を描くことが好きな子どもにはアートを中心としたカリキュラムが用意されており、自然の中で学びたい子には、屋外活動を多く取り入れたプログラムが提供されています。
それらの学習内容も「決められたものをその日に必ずやらなければならない」ということは決してなく、登校した時の子どもの気分や状況に合わせて学び方や学ぶ内容を先生が寄り添って決めてくれます。学校に来ることそのものにハードルを感じている子どもたちも多く通っています。その日誰が学校に来るかどうかも分からないので、人数もそのときに把握し学習内容を決めていきます。
子どもにも保護者にもサポートを
子どもへのサポートだけでなく保護者へのサポートもあるのも学びの多様化学校の特徴です。保護者が学校に来る行事や活動が設けられていたり、保護者と先生が密にコミュニケーションを取ることができるようになっていたりします。おうちの方の中にはここへ入学してくる時点でしんどさや申し訳なさでいっぱいという方もいます。まずはおうちの方をサポートし、おうちの方が笑顔になること。それが子どもたちのサポートにもつながっていくそうです。
いつか学びの多様化学校がなくなっても
学びの多様化学校で行われていることは「公立の学校ではできないこと」ではなく、「ゆくゆくは公立の学校でもできると良いこと、広まったら良い考え方」なのだと思います。学校に行くことにハードルを感じる子どもたちが安心して行ける学校は、きっと、どんな子どもたちにとっても安心感のある居場所や学びの内容なのでしょう。
わが子が「学校行きたくない」と言ったらどうしよう。幼稚園や保育園と小学校は違うんだから、小学校みたいなやり方に今から合わせないと子どもが苦労してしまう・・・。そのように考えて「今の学校の状況に頑張って合わせて準備している」ご家庭もあるかもしれません。もしくは、もう今すでに学校がしんどくてしんどくてたまらなくて(その理由はきっとさまざまでしょう)、学校になかなか足が向かないお子さんと、そのお子さんに必死に寄り添っているおうちの方もいるかもしれません。そんなみなさんに届いてくれたら嬉しいです。どんな子どもたちでも安心して前向きに学べる場所や内容を必死に考えている先生たちがいること、「いつかどの学校でもその考え方が広がり、学びの多様化学校がなくなっても、どんな子どもたちも安心して過ごせる居場所があること」を願っている先生たちがいること。
もしかしたらお近くにはないかもしれませんが、情報はキャッチできるかと思います。気になった方はぜひ、学びの多様化学校について、調べてみてください。