「ドッジボール」だった会話が心を癒して優しい「キャッチボール」に! ママ先生が綴るコラム

小学校の先生の経験を持ちながら、自身もママとして子育てに奮闘する4人によるリレーコラム「ママ先生といっしょ」。先生目線で、ときにママの目線で。入学準備や、入学後の困りごとや悩みの解決方法の糸口を探ります。苦しいことがあっても、笑顔で突き進めるヒントが見つかるかも。

第二回は、小学校教員としての経験を持つ、りな先生です。お迎えに行くと、「まだ遊ぶ!」と怒るお子さん。この後の忙しさを想像しながら「それ終わったらね!」と疲れをぶつけるように伝えていたと言います。そんなドッジボールのような会話がキャッチボールに変わった経緯について、紹介してもらいます。

キャッチボールの会話ができるようになった理由は?(写真はイメージ)

にこにこのお迎えから、イライラ親子に

育休から復帰した、4月。仕事をすることでまた社会と繋がれたことが嬉しく、お迎えに行く時も「ママだよ!」と明るく行くことができました。子どもたちも、まだ不慣れな園の生活ということもあり、お迎えを喜んでいるように感じました。にこにこしながら「帰ろうか!」と言い合えていました。
しかし、お互いに疲れが出てきました。イヤイヤ期も重なり、遊びを止められず、すんなり「帰ろう!」とならないこともありました。「疲れているし、この後ご飯、お風呂、寝かしつけもある。早く寝かせたいのに…」という想いで待っていると「もういい!」と遊びをやめて帰ろうとする娘たち。子どもながらに色々察知したのだと思いますが、私もイライラしているので「え!?どっち!?」と思うままに言葉をぶつけます。クラスの子どもたち相手なら一旦立ち止まって「どうしようか」と考えられるのに、わが子相手だとそうはいかないことがありました。

疲れを癒しながらお迎えへ!

どうにかしたい…。私のイライラが伝わっているという自覚があったので、まずは自分の心の疲れに焦点を当てました。そして、「疲れは職場に置いて、心を癒しながらお迎えへ!」と意識しました。すぐにはうまくいきませんでしたが、職場から園までの運転中に好きな音楽を流したり、「こんな話をしよう」と考えたりすることで、心を満たしていきました。
そうすると、娘たちがイライラしていても、心が落ち着いているので引っ張られずに済みました。余裕があるのでどんなボールが来ても、「そっかー」「お〜疲れているねえ」と返せます。そして、「早く寝かせたいけど、まぁ、そんな日もあるか」と思うようにしました。この「そんな日もあるか」という言葉は、自分で自分を冷静に、そして穏やかにしてくれたように思います。気付けば会話が楽しめるほどになっていきました。

毎日毎回は、無理でも

とは言っても、「疲れすぎてしんどい…」という日だってあります。そんな時は無理しません。「本当に疲れちゃって…はぁ」と言ってもいいし、「ママだってイライラする!」と言っていい。イライラ親子の日が来ても、「そんな日もある!明日少しでも変われたらOK!」なんて思うようにする。毎日色々なことがある中で、ずっとにこにこでいるのは難しい。「今はキャッチボールできない」とボールを置いてもいい。でも、そんな日々だからこそ、優しいキャッチボールができたときに、コミュニケーションを楽しめる。そんな風に思います。子どもたちとの会話って、楽しくておもしろい。「もうこんな言葉が使えるんだ!」「そうやって表現するんだ」と、瑞々しい感性の中で言葉にしたものを受け取って、よく驚きます。時々可愛い言い間違いもあり、それが直るとなんだか切なくなることもありました。

そもそも優しいキャッチボールって?

「ドッジボールは嫌だ、優しいキャッチボールがいい」と思う自分に、目を向けてみました。育休中の余裕のある時は、にこにこと穏やかな親子の時間が流れていました。使う言葉も表情も言い方も優しくて、「あの時間が私にとっての優しいキャッチボール。これからもそうしたい」と改めて思いました。そんな時にふと目にした、娘たちの生まれたばかりの写真。こんなにこんなに小さかったのに、少しずつ大きくなって、イライラをぶつけるほどに成長してきている。よく考えたら、自分の気持ちを自分の言葉で伝えられる、ドッジボールができることもすごいこと、とジーンとしました。私は元ママ先生ですが、先生だからと言って子育てのプロではありません。きっとこれからもイライラ親子の日も来るでしょう。それでも優しいキャッチボールを思い出してコミュニケーションをとっていきたいと思います。

ライター

ママ先生りな先生の画像

ママ先生 りな先生

りな先生こと平野里那(ひらのりな)。元小学校教諭。小1、年中の姉妹のママ。4年半の育休後、高学年を担任しながら家族も大切にして人生を楽しめるママ先生として過ごし、Instagram(@rina_mama_sensei)にて仕事と家庭の両立のコツを発信。現職中に「先生がママ先生になったら読む本」を共著で出版。読売新聞「♯30代の挑戦」掲載。現在は300人を超える「ママ先生の会」を運営しつつ、ママ先生、ワーママを対象にコーチングを軸においたスクールを経営。

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