訂正や否定で教えない!モンテッソーリ「教えながら、教えなさい」の極意
時短で、賢く、楽しく子育て。働くママでも、毎日たった5分からできる!知育や子どもの心と体を育てるノウハウを、SakuraEdu代表の荒井聖子さんに教えてもらいます。今回のテーマは「教えながら、教えるの極意」について。
子ども達が積み木を使って片付ける際に、箱の中にガチャンガチャン!と大きな音を立てて入れる場面によく出くわします。また、ハサミの刃が開いたままで机にポイっと置く場面もよく見かけます。つい、間髪入れずに「静かに!」「危ないよ!」などと言いたくなるものです。
モンテッソーリ女史は、まるで何かの呪文のようですが、「教えながら、教えなさい」という言葉を遺しています。これは裏を返せば簡単なことで、「訂正や否定で教えない」という意味なのです。
例えば、このような場面なら「ちょっと見ていてね」と言って、音がしないように積み木を入れて見せます。これが「教えながら」の意味です。見せた後に「あなたはできるかな?やってみる?」というと、子どもは大抵の場合、動きをまねしてきちんと入れることができます。
次の瞬間またガチャン!が始まることは多々ありますが、子どもはまねを繰り返すことで、やがて自分の習慣として身に付けていくのです。私自身もそうでしたが、子どもが小さいときにはやることが多くて手がいっぱいで、ついついさっと手を出して子どものしたことを直したり、言葉で「○○しないで!」と注意してしまうもの。
けれど、正しい方法や良い方法を教わらなければ知るすべがありません。訂正や否定ばかりされていると、やがて子どもは自分でやることを放棄して、「ママやってー!」となってしまいます。私達でも仕事で訂正や否定を繰り返されるより、どうしたら良いかの意見を知りたいものですよね。
あいさつやお礼をきちんとさせたい、読書をしてほしい、ゲームばかりさせたくない、食事のマナーを教えたい、服や持ち物の始末をしてほしい、言葉遣いを直したいなどの生活習慣はもちろんのこと、学習やスポーツを始める場面でも同じことが言えると思います。
典型的な例が運筆です。1年生になって書き取りが始まると、鉛筆の持ち方、姿勢、手の動かし方、空いている手の置き場所など、ついつい言葉で注意を促します。また、書いた文字が間違っていたらその箇所を修正します。
それで問題なく伸びていく場合は良いのですが、子どもの利き手側に並んで座り、子どもに「こうして欲しい」と思う方法をゆっくり見せてあげれば、より理解しやすく身に付きやすいでしょう。
「それ違うよ。ダメ!やめて。ちゃんと直して。こうしたら良いよ。」が、もしも口癖になっていたらちょっと一息つきましょう。「教えながら、教えなさい」は、良き方法を示すこと、そこに子どもの成長の鍵があるのです。